インバウンドコラム
【世界の動き】日本政府「観光とコロナ対策との両立」を強調。国ごとに対応が分かれる14日間の隔離措置。厳格な中国、イギリスは短縮へ
日本、経済活動とコロナ対策を両立させていく方針
菅総理大臣は16日、新型コロナの感染状況について新規陽性者数の増加傾向にあるが「感染防止対策をしっかり講じた上で、経済活動と両立させながら経済を回復させていく」と強調。Go To トラベルについても「観光立国として、感染対策と両立させながら乗り越えていく必要がある」との姿勢を示した。
加藤官房長官は13日の記者会見で、感染状況が悪化した都道府県を「Go To トラベル」の対象から除外するか否かについては、現状では「Go To トラベル」を見直すような状況にはないとの見解を示している。
Go To トラベル、ビジネス目的は支援対象外
Go To トラベルは11月6日から、ビジネス出張や観光を主な目的としない商品やサービスを含む旅行が対象外となっているが、Go To トラベル事務局は13日、ホテル事業者に対して、Go To トラベルを利用し宿泊している旅行者から会社名義の領収書等を請求された場合、支援の対象外となる旨を説明し会社名の領収書の発行しないよう求めた。それでもなお、会社名の領収証等を求める場合は、Go To トラベルの支援対象外となる。その場合は、Go To トラベルの支援割引のない宿泊代金を請求し、会社名義の領収書を発行するとともに、地域共通クーポンの返却を求めることになる。旅行者がすでに地域共通クーポンを使用しており返却できない場合には、後日事務局から地域共通クーポンと同額が請求される。
Go To イート感染地域では一定人数以上、対象外へ
16日に開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部において、飲食業支援策の「Go To イート」に関して菅総理大臣は、感染拡大が見られる地域では、一定の人数以上での人数での飲食は対象外とする方向で、地方自治体に求めた。例えば5人以上を対象外にするとの目安も提示。同日、農林水産省も「子供を除く4人以下での飲食を対象とする」との目安を示したが、具体的な方針は自治体の判断となる。
また、地方公共団体が飲食店などの営業時間短縮要請を行う場合、500億円を新たな原資として、地方創生臨時交付金の追加配分を行うことも併せて発表した。
IOCバッハ会長、開催目指し首相らと会談
16日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は菅総理大臣らと会談し、2021年の東京大会の開催に向けて連携していくことで一致した。バッハ会長は「スタジアムに観客が入り、安全に試合を観戦できると確信している。日本だけでなくIOCも貢献するべく努力する」と述べて、開催に向けた準備を進めていくことを強調。五輪ではIOCが認めた国・地域の選手団や関係者については、平等に入国を認めるという原則がある。外国人観光客を含め観客を入れた開催を目指すという。
新型コロナウイルスのワクチンが手に入る状況になれば、約1万人の選手団や、大会関係者7〜8万人へのワクチン費用をIOCが負担することを表明した。バッハ会長は東京大会実現に向け、今後も緊密に連携して協力していくことも確認した。
海外から来日する観光客についてもワクチンを接種した上での来日を望む考えを示したが、観戦者の入国可否は政府が決定する権限を持つ。日本政府は、選手団や関係者には厳しい行動ルールを課すことで入国後14日間の隔離を免除する方針だ。日本政府は、海外からの観戦者への対応については、感染状況を見極めながら2021年春に決定するとしている。
東京五輪には200以上の国・地域が参加の意向を示している。組織委員会は900万枚の観戦チケットを販売予定で、そのうちすでに100万近くは海外からの観戦者向けチケットとして販売済みとなっている。
イギリス、帰国者に対する14日間の強制隔離を短縮へ
イギリスでは12日、新型コロナウイルスの新規感染者数が3万3470人と過去最多を更新した。イギリス政府は11月5日からイングランド全域で外出規制や店舗閉鎖などの強力なロックダウンを導入しているが、新型コロナによる12日の死者は563人となり、累計死者数は5万人(11月16日現在)を超えている。
感染拡大が続く中、シャップス運輸相は9日、海外からの帰国者に対する14日間の隔離措置短縮に向けた、新型コロナウイルス検査の実施計画が進んでいると述べた。イングランドでのロックダウンは12月2日までとされているが、シャップス運輸相はロックダウン解除後に新システムを導入できると発表している。
国ごとに対応が分かれる14日間の隔離措置
入国後14日間の隔離措置については、国によって対応が分かれている。中国の場合、入国者は空港でのPCR検査後、旅客全員がバスで政府指定のホテルに移動し、食事も日に3回、部屋の扉の外に配布され、部屋から一歩も出られない状態となる。また、1日2回の健康チェックと体温測定があり、13日目のPCR検査で陰性が確認できた後に隔離が解除されるなど、厳しい規制下に置かれる。
一方日本では、空港でのPCR検査で陰性を確認した後に、移動に公共交通を使用しないことや、自宅やホテルでの14日間待機を口頭と文書で要請されるが、待機期間中は電話で健康確認があるのみ。実際にどこまで厳密にするかは各自の対応に任されているのが現状だ。
WHOは無症状者において「検体採取日から10日間(従前は14日間)経過した場合に退院可能とする」という基準を発表しているため、入国時の隔離措置を14日間としている国が多くなっている。
やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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