インバウンドコラム
【コロナ:世界の動き】日本、人数制限付き新規入国を検討。駐日中国大使館、中国渡航に直行便利用呼びかけ。タイ、10月1日から外国人観光客の受け入れ検討
2021.03.10
日本、東京五輪・パラリンピック関連の新規入国へ向け人数制限を導入
日本政府は、東京五輪・パラリンピックの開催に伴う選手や関係者の訪日に向け、外国人の新規入国を、人数制限を設けた上で例外的に認める制度を導入することを明らかにした。現在日本は新規入国を停止しているが、離別した家族との再会や治療、国際会議への出席といった「特段の事情」に該当すれば例外的に入国を許可している。そのため、政府は緊急事態宣言解除後を念頭に、「特段の事情」による入国許可を段階的に広げつつ、1日平均2000人程度の入国者総数の制限を導入する考えだ。
一方で、防疫措置を強化し、全ての入国者を対象に搭乗72時間以内に行った検査の陰性証明書の提示を求める。また、入国後14日間は自主隔離を要請し、全入国者に位置確認アプリを導入するほか、国が設置する「入国者健康確認センター」から1日1回のビデオ通話で状況観察を行う。3日以上連絡が取れない場合は民間の警備会社が見回りをするという。
11カ国・地域を対象とした中長期滞在者向けの「レジデンストラック」においては、変異ウイルスが確認されていない国から新規入国を再開する方向で検討を進める。ただし、隣国の中国や韓国などでは変異ウイルスが確認されているため、国境再開までの道のりは長くなりそうだ。
東京五輪・パラリンピック、年内開催に「同意しない」が日英独で過半数
東京五輪・パラリンピックの海外からの観光客受け入れについて、見送る可能性が出ている。丸川珠代五輪相は3日、記者団の取材に対し、「非常に厳しい状況を踏まえ、慎重な判断が必要だ」と述べた。一方、英紙タイムズは3月3日、2021年の東京五輪・パラリンピックについて、「中止する時が来た」と題するコラムを掲載した。コラムでは、五輪開催による感染拡大の可能性が指摘され、「日本政府は非公式ながら中止せざるを得ないと結論づけた」と書かれており、日本政府はこの報道について「断固として真実ではない」との声明を発表している。
東京商工リサーチが国内の企業を対象に今年2月に行った調査によると、「予定通りの開催」を選んだ企業は7.7%で、前回調査時(昨年7月〜8月)から14.8ポイント下落したことがわかった。最も多かったのは「開催延期」(33%)で、「中止」と回答した企業は22%だった。
また、独米PR戦略大手「ケクストCNC」が行った日米欧6カ国の世論調査でも、東京五輪の年内開催に「同意しない」との回答が、日本、英国、ドイツで過半数を占めていたことが明らかになっている。
駐日中国大使館、第三国経由では健康コード発行されないことへの注意喚起
駐日中国大使館は、日本から中国へ渡航する際、第三国・地域(台湾、香港、マカオを含む)を経由した場合は健康コードが発行されないため、直行便を利用するよう呼びかけている。なお、訪中する際は、搭乗2日前以内に行った新型コロナウイルス感染症のPCR検査と抗体検査のダブル陰性証明を提出しなくてはならない。
「健康コード」とは、スマホアプリでその人の新型コロナへの感染リスク度を3段階に分けて表示するもので、搭乗する際に提示する必要がある。また、中国入国後もこれなしでは生活ができないと言われるほど、あらゆる場所で提示が求められる。
中国、春節休暇後に花見ブームが到来
中国では、春節休暇後に人々の観光熱が高まり、お花見ブームが到来している。携程(Ctrip)のデータによると、2月末に「花見」というキーワードで検索された数が前月比280%増加し、携程(Ctrip)で花見スポットへ旅行を予約した人は115%増加したという。花見シーズンに合わせた航空チケットのディスカウントも、花見観光を後押ししているようだ。同社のデータによると、2021年3月のエコノミークラスの航空券の平均価格は、2019年の同期比で約20%安くなっている。
シンガポール、香港との「トラベルバブル」に向け協議を再開
シンガポール民間航空庁は、隔離なしで両国・地域間の渡航を認める「トラベルバブル」の実現に向けて、香港と協議を再開したことを明らかにした。両国は昨年11月にトラベルバブルを開始することで合意したが、その後香港で新規感染者が増加したことを受け、延期となっていた。しかし、最近になって香港の感染状況が改善したため、協議を再開したとういう。
シンガポール航空は、IATA(国際航空運送協会)が開発した「IATAトラベルパス」を、ロンドン行きの一部フライトで試験的に導入すると発表した。期間は3月15日〜3月28日で、渡航者はアプリ上で、顔写真、パスポート情報、フライト情報、PCR検査結果などを一元管理することができる。同社は今年の中頃までに自社のアプリとIATAトラベルパスとを統合し、ワクチン接種履歴などの情報を利用できるようにすると発表している。
香港政府、ワクチンパスポートの導入を検討
香港では、昨年11月から拡大した新型コロナウイルス感染症の「第4波」が収まりつつあるが、準備を進めてきた「トラベルバブル」は未だ再導入できない状況にある。商務・経済発展局の邱騰華局長は2月28日の会見で、トラベルバブルの再始動は香港の感染状況が落ち着くのを待つ必要があると述べ、「ワクチンパスポート」の導入を検討していることも明らかにした。しかし、海外旅行の解禁については、少なくとも都市全体で集団免疫ができてからだと述べた。
韓国、ワクチンパスポートに慎重姿勢
韓国政府は3月3日、新型コロナウイルス感染症へのワクチンの「ワクチンパスポート」の導入について、まずは多国間の議論を通じた規範を作る必要があるとの見解を示した。韓国政府はワクチンの効能の不確実性などを懸念し、ワクチンパスポート導入には慎重な姿勢を示している。
韓国では現在、海外からの入国者に対して14日間隔離を義務付けているが、中央防疫対策本部は旅行業協会(KATA)から2月27日に受け取った隔離緩和に関する質問書に対し、「当面は厳しい」と回答している。
タイ、10月1日から外国人観光客の受け入れを検討
タイ政府が、今年10月1日より外国人観光客の受け入れを検討していることが明らかになった。また同政府はワクチン接種者に自由を認める「ワクチンパスポート」の導入についても議論していることを明かし、まずは国内のワクチン接種者に政府が証明書を発行し、将来的にはこれをワクチンパスポートとして利用できるよう検討しているという。外国人の入国におけるワクチンパスポートの導入については、WHOなどの国際機関の認証を条件とするとしている。
人気観光地5カ所で、エリア隔離の導入を計画
タイ政府はまた、外国人観光客の隔離措置として、「エリア隔離」の導入を計画している。この措置では、プーケットやパタヤ、サムイ島といった外国人に人気の観光地5カ所にある宿泊施設を対象に、海外から入国した観光客を3日間のみ客室に隔離し、その後11日間はホテルの敷地内を自由に行動してもらえるというもの。すでに50以上の宿泊施設が同プログラムへの参加を表明している。
同政府はすでに、入国後の隔離ホテルを検索および予約できるサイト「エントリー・タイランド(Entry Thailand)」を開設し、タイ航空と連携して政府が認可したゴルフコースを満喫できる「ゴルフ隔離」プログラムを開始するなど、外国人観光客への対策を急速に進めている。
EU、「デジタルグリーンパス」構築に向けた法案提出へ
EUは、域内で運用する「デジタルグリーンパス」を発行するための法案を、3月末までに議会に提出するという。デジタルグリーンパスは、ワクチンの接種証明やPCR検査結果が登録できるデジタル証明書。EUは夏のホリデーシーズンに向けてEU域内の国境を徐々に再開していくことを目指しているが、一方で、運用を開始するまでに少なくとも3カ月はかかるとの声もあがっている。
台湾、濃厚接触者の自宅待機は「1戸に1人」
台湾の中央感染症指揮センターは27日、濃厚接触者に対する14日間の外出制限措置ついて、3月1日より防疫ホテルや集中検疫所で行うか、自宅での待機を選んだ場合は「1戸に1人」とすると発表した。1月に桃園市の病院で起きたクラスターで、4世帯の家族で感染したことを受けてこの措置を講じた。
また、同センターは3日、オーストラリアを「低リスク国」に指定。これにより、オーストラリアから台湾に入境する短期滞在のビジネス客は、14日間の隔離期間を5日間に短縮することができる。
ベトナム、感染が抑制されハノイとホーチミン間の隔離なし
ベトナムの首都ハノイ市では、新型コロナウイルスの市中感染の発生を受けて2月1日から市内の教育機関で休校措置を講じていたが、3月2日から再開を許可した。2月1日から3月1日までの1カ月間は、自宅でのオンライン授業で対応した。また、同市ではレストランやカフェなどの飲食店も一時閉鎖していたが、3月2日から店内飲食の営業再開を認めている。
ハノイとホーチミンでは新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せているため、両都市間の移動では、隔離措置は講じられていないという。
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