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捨てないでと言っている真空管--2

若い頃、というよりほぼ学生の頃ですが、ジャンクオーディオなんかやっていまして、その当時のことをちょっと述べております。

日本の真空管は米国と同じ表示だったと思いますが、例えば6BM8とかの名前だとすると最初の数字はヒーターを暖めるための電圧値を言ってまして、この場合は6Vをかけるのですね。正確には6.3ボルトだったかな。欧州はまた表示が違っていまして私にはよくわかりません。

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今6BM8と言いましたが、これはオーディオで真空管をいじったことのある人なら知らぬものはない有名管でして、私も布団に入れる程大好きでした。言っときますがね、私の布団なんか女性だって入ったことありませんよ。誰が入るかそんなもんにって話ですが、まあそれくらい惚れ惚れする真空管だったってことですよ。複合管なのですが、12AX7の三極部と6AR5という5極管が一緒になったものだと最初は説明されました。しかし6AR5よりは高性能だったと思います。中学校の音楽室にあったステレオはこれのプッシュプルでした。ピンは9ピン。




大体ミニチュア管は7ピンと9ピンがありまして、9ピンは概ね複合管でした。ここに転がっている左から三本は7ピンの35W4と9ピンの32A8というやつですが、32A8は16A8なんかと共に6BM8のヒーター違いでして、使う用途によって色々作られていました。8B8というのもあったかな。ぞろぞろ並んでいるのはそのファミリーです。テレビの出力にもよく使われました。

32A8二本と35W4の一本を直列すると32+32+35で99ボルトになるので電源からそのまま引っ張ってヒーターを暖めることができました。ですので左右に一本ずつ32A8でクリスタルピックアップからの信号を増幅して音を鳴らせたのです。これだと電源トランスが要らないので、ステレオポータブル電蓄に持ってこいでして、この球は実はそれ用に作られたのじゃないかと思います。35W4は単純な整流管です。32A8は250ボルトくらいかけると3.5ワットくらい出せるのですが小型電蓄だと100ボルトをそのまま整流してかけるので1ワットくらい出せればという設計でしたね。

下に並んでいる二本は7189というこれも有名なやつでした。出力段用の球ですが、6BQ5という前身があってそのパワーアップしたものだったように思います。差し替えて使えたはずです。これなども当時のマニア系の雑誌でアンプの設計に無茶苦茶使われていて、これが手元にあるということは私も作ったのですが不思議なことにあまり印象に残っていないのですよ。この辺りからは結構高い電圧をかける必要があって、一度感電して両手の指先に穴が開いた経験のある自分としては、徐々に石ころに傾きましたですね。そのとき脇が開いていて助かりました。7189はシングルで5ワットくらい出せたと思います。普通はB級プッシュで20ワット以上出す設計でした。

今のアンプに比べると出力が小さいじゃないかと思うでしょうが、昔のスピーカーは能率がよくてそれでもかなりの音が出たのです。個人的に思うのですがスピーカーの能率は響きとも関係してるのじゃないかという気がします。昔のスピーカーは響きが良かった。現在のスピーカーは能率の低いのを高出力のアンプで鳴らすソリッドな感じの音じゃないですかね。勝手なことを言いますが。もっともこれは真空管とトランジスタアンプのダンピング係数の違いだとも言われているようです。この辺は難しい話ですので割愛します。私もよく知りません。

感電のことを言いましたが、昔の戦車の無線機用に作られたようなでかい球に高電圧かけて馬鹿でかいトランス使ってちょっとしか出力の出ないアンプを作っていた人がいましたが、あんな恐ろしいことをよくやるもんだと思っていました。既に亡くなられたオーディオ評論家の上杉佳郎さん辺りがその名人だったのじゃないでしょうか。KT66アンプで有名だったんじゃないかな。

私は途中から真空管アンプが怖くなりました。

長くなりすぎますので、適当な時に続きを書きます。
by yumewomitamae | 2024-07-05 03:54 | 趣味 | Comments(0)
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