2006年12月17日

シンプリシティ 著者:ビル・ジェンセン 訳:吉川明希

 情報過多な現代において、自分は何をするべきなのかを見出すことは重要である。本書ではその方法を具体的に説明している。4章構成で、1章は現在の状況を説明し、何が物事を複雑にしているのか?仕事をしている人たちは何に不満を持っているのかを上げている。2章、3章ではシンプルにするためのツールの紹介をしている。2章は仕事をする人、3章は会社の仕組みに重点を置いている。4章はこれまでのまとめで、将来どうあるべきかをロールプレイのような感じでまとめている。
 シンプルにできない原因として、「情報を探し出せない」、「無駄なコミュニケーションが多い」、「明確な成功イメージがない」、「メンバーが有機的に関わることができない」、というものが上がっている。これらはそれぞれ、ナレッジマネジメントの失敗(=情報を集めただけ)、会議が多い(=結果の出ない会議ばかり)、経営者がビジョンを明らかにしない(=経営者自身も何をするべきなのか判断できない)、関わりたくてもかかわることができない(=密室政治)と読み替えることができるだろう。これらを解決するための知・感・用・行・成というツールを用いている。
 知・感・用・行・成というツールはそれぞれ、何が本当に重要であるかを「知」る、どのような「感」情を人々にもたらすかを考慮し計画する、適切な資源とツールだけを「用」いる、実行に際して各人に対する期待を設定し管理する、他人に伝達可能な「成」功のイメージを創り上げる、という意味である。これらのツール・考え方をベースにいくつかのやり方を具体的に説明している。これらのツールは組織を運営する立場の人々だけでなく、組織で働く人々も共に使うことで初めて意味をなすというものである。しかしながら、これらを質問に置き換えたときには多すぎる情報(=雑音)を選別することにも使用できるという指摘も合わせて書かれている。
 2章、3章は少々複雑ではあるものの、よりシンプルに仕事をするための「仕込み」であるとするならば仕方がないだろう。実践的な内容ばかりなので、すぐに試すことができる。

posted by 孤舞 at 00:00| 読了
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