ダーツはなんだかんだ、競技者人口はそれなりに多いと思う。
 
 店舗が各地で存続し、チームも組め、全国規模の大会はじめ大小の大会に人が集まる。

 こういっては悪いが、冬季オリンピックのマイナー競技であるスケルトンとかリュージュと比較すると、日本における競技人口は間違いなく多いと思う(これらの競技はそもそも日本で「やること」自体非常に難しい。というか今は長野のコース廃止でコース自体なかったような・・・)。

 PDCにおいてはここ最近のイギリスではサッカーに次ぐ発展をしたといわれるほど、目覚ましい成長を遂げているらしい。トップのマイケル・ファン・ガーウェンの年収は先日引退したスノーボードの英雄・ショーンホワイトに比肩するレベルである(10億円レベル)。

 ただ、日本において「ダーツ」は知っていてもダーツの「やり方」「ルール」を知ってる人はほとんどいないのが実情だとおもう。
 「プロ」も「大会」も「ルール」も、何もかもダーツにのめり込まないと知ることはない、という状況で、ボードを見たら「あ、ダーツだ」と連想はできても、それの使い方を知ってるのは良くも悪くも「ほぼ競技人口と同じ」な状況である。

 スポーツ競技は通常「やる側(プレイヤー)」と「見る側(やらないけど見て楽しむ)」、あとは「運営(バッハIOC会長、オーナー、GM、スタッフ等)」に分けられると思う。

 ダーツは正直「やる側」と「運営」が圧倒している世界に見える。

 これを含め、どういったものがダーツの発展にどう影響を与えているか、個人的な視点で考えてみた。

.廛譽ぅ筺屡羹鼎大きすぎる、観客不在

 ダーツのプレイヤーは全スポーツ中、案外多いのではないか。プロ登録者数は2000人を超え、プロスポーツ1位ではないかと言われる

 さらに一般大会への参加意欲が強い人が多い。ちなみにダーツやってる人でダーツをやる理由は大会に出ることであったり、リーグに出ることであるという人も多く、コロナ禍でそれらがストップしたことは彼らを「辞めさせる」理由にすらなったといえる。

 結果、業界のほとんどはプレイヤーであり、純粋な観戦客は非常に少ない
 そのため、プレイヤーが自己負担をして大会を支えているのが実情である。さらに、観客増への努力ははっきり言って非常に乏しい(これは後述する)と感じる。この辺は発展を考えると非常に大きな課題に思える。


※ちなみに筆者は「プロ数ナンバーワン」はあまり名誉なものではないと感じる。プロの数は運営のコントロール次第である。参入・維持を易しく、退場を緩くすれば必然的に「やる気のある人」がプロでいられるので増えるのは当然。それでいいなら野球やサッカーの「プロ」も途方もない数になる可能性は十分あるわけで。

※ダーツのプロでいることは「楽」というのは語弊があるが、他みたいに実力や意欲を他に査定されて「あなたはいらない」と戦力外通告を受けることはめったになく、プレッシャー自体は比較的少ないといえる。意欲があれば続けることが可能というのは、全般的に「厳しい」プロスポーツの世界ではかなり自由で「やさしい」と言えるのではないか。

▲廛譽ぅ筺爾寮簑仗瑤「多すぎる」、そしてスペースを取る

 ダーツはプロ2000人超、一般プレイヤーも多数おり、非常に多い数となっている。これらの人が一斉に集まるため、会場は基本的に大規模ではなければならない。先述の通りそもそもダーツは「観客が少ない」競技であるので、そこから考えると大規模会場でやれるレベルにないとはっきり言って思う(格闘技でいえば間違いなく「後楽園ホール」レベルだが、実際はRIZINがやる「スーパーアリーナ」レベルでやっている感じ)。

 これらの会場はコストは大きいため、選手は多いとはいえ負担は馬鹿にならない。また、会場確保次第では小さすぎて出場者をカバーできないプロ大会もあるのが実情。
 そのうえ、試合の台にスペースを取るので、広い会場も大半のスペースが埋まってしまうので「可処分空間」が存外少なくて、観客は(選手も)やや狭い環境で動くことを強いられる。(コロナ禍で大会開催にしにくい理由の一つだと思う)

 そして一番の問題はこの要因により「変化しにくい」ことにあると思う。大量参加・大規模会場のやり方しかできないわけであり、モチベーションが比較的高い選手が負担することはたしかに安定性がある運営と言えるかもしれない一方で、柔軟性に欠ける。コロナ禍のようなイレギュラーに非常に弱い構造になってると考えられる。
 
4儺匈容世里燭瓩療慘鷲垪

 ここ最近はコロナ禍であるため、無観客試合となっており責められないが、正直コロナ前からも観客獲得に熱心だったといえない。
 正直、スポーツ業界を大きくしていくうえでファンは不可欠だ。顕著なのは格闘技で、下世話な話だが、「ファンがどれだけ熱狂し金を動かすか」が選手や業界の収入にダイレクトに影響している
 アメリカでは「試合単位で視聴権を買う=PPV」方式が定着している。一試合5000円に届くような高額な放映権を買ってパッキャオやマクレガーを応援するからこそ、彼らのファイトマネーは途方もない額(時には100億円を超える)になるのだ。
 また、日本の場合は小規模だがチケットを選手が「手売り」して席を埋めて団体に貢献する(選手の収入になる、団体に客が呼べるアピールができて出場権をつかめる)という手法もとれる。K-1→RIZINで活躍してる皇治選手は千人単位の「皇治軍団」を呼べるので重宝されているところはあると思う(最近は負けが込んでるので頑張ってほしいが・・・)。

 格闘技と比較して(他のスポーツも)、正直ダーツは観客獲得へのインセンティブが根本的に不足しているといっていい。
 具体的には会場都合の無観客試合、入場料無料(観客の存在=収入にならない)、会場でのPR不足(会場に来ても大会やってるのかわからない雰囲気)などが挙げられる。

 特に入場料無料は正直観客PR効果があるか不明で、先述の「格闘技の手売り」の通り実は「選手が貢献しにくい」方式でもある。手売り収入があれば頑張る選手はいるだろうし、今より客が呼べる余地はあるのだが、その下地としての収入がないので選手側も努力しようがない。

 そもそも、会場都合で有料にすると賃料が上がるから無料にしている、というネガティブ事情があるため、「無料」を生かす発想がないのではないかとも噂されており、純粋に収入・集客の機会を喪失しているように感じてしまう。

て汎辰淵好櫂鵐機爾了伝箸漾0貳夢覿箸スポンサーやる意義があるのか

 もちろん選手側だけでなく、スポンサーもダーツ大会についている。大会によってはハイネケン、レッドブルなどのそうそうたるメンバーが支援していたりはする。

 ただ、ほとんどはダーツ関連企業で、もちろんスポーツ業界ではそれが当然だと思うが、ダーツが特殊なところは会場内での物品販売が盛んなところである。

 TARGET、トリニダードなどをはじめとしたダーツ関連企業がブースを設け、物販で会場で収益を上げているのだ。ブースを出展できる権利にはスポンサーになることが必要であり、団体にスポンサー料を支払いすることによって出店できるともいえる。
 
 ちなみにこういった物販ではダーツ販売のほか、ガチャによってトートバッグなどの製品が当たるようになっている。特賞は豪華商品であるし、現地に集まるプレイヤーは意欲にまみれていることもあるので、これによる収益は結構あるとは思う。それ自体は喜ばしいこと。

 ただ、これもコロナ禍による出店ができない状況だと暗雲がたちこめる。物販ができないとスポンサー料支払いが不安になる小さな企業もダーツ関連事業をやっていると思われる。

 また、物販を要しない企業もある(たいていのスポーツはそこまで期待できない)ので、そういった企業からすると別の旨味がないと参加する意義はない。
 発展という意味ではスポンサーはダーツ関連企業だけだと足りないというより付け足さないといけないわけで、それを獲得するための努力が求められるところである。

タ汎盍

 ダーツ業界の人が有名人に絡むときとにかくダーツやろうよみたいな形で絡むケースが多い。

 正直それではその有名人がダーツをやるようになるかというとそうではないし、下手すると辞めるケースのほうが多いのではないだろうか。

 ダーツのバレル(コア部分)なんて、正直一般人からすると小さな鉄の塊でしかないわけで(実際はタングステンや真鍮だけどw)、それが万を超えるのも信じられないと思うのだ・・・
 
 昔「バレル5000円って安いですよね」って言ったらその店のベテランの人に「感覚がダーツぁーなんだよお前、5000円って安くないぞ」って言われたこともあった。
 ダーツ一般人や初心者側の心にどう寄り添えるかは大事であって、あんまり魔(ダーツ)界の論理を押し付けるのは違うと思う。

 ポーカーが各分野のプレイヤーを呼んで大会をやったように、有名人も呼んでメイキングするくらいじゃないと、半端に絡まれるとそりゃ有名人もやる気なくしますよね。ダーツバーに意欲的に来た客とは違うのだからアプローチを考えて優しく接して楽しみたいところ。

Δわりに
 
 最後は駆け足になってしまったけど、ダーツの課題について自分なりに考えてみた。
 主にプロシーンのところになってしまったが、個人的にはダーツバーなどの一般のところについては多様化が進んでいて、プレイヤーもそれなりにいるので、あんまり過度に変なことを押し付けなければ致命的に盛り下がることはないと思う。

 プロに関しては観客数が少ない(ように思える、実数不明だけど実数がそもそもあるのか謎)状況で、これは長期的にはやはりいい影響を与えるとは思えないので、課題だと思うのであるけれど実際はここへのテコ入れがないどころか、会場都合で入れないようになることがザラ、という悲しい事実である(コロナ禍は仕方ないが)。

 まずはコロナ禍を乗り切ることだが、そこから後も安泰ではないのが世の中なので、なんとか乗り切って未来のダーツを作れる状況になればいいなと感じます。

いじょ。