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「病院に行かないし、医療費控除なんて関係ない」と考える人が還付金を取りっぱぐれるワケ


写真はイメージです Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン

少しでも高すぎる税金を抑えたいというサラリーマンにとって、確定申告は必須だ。しかし、いざ始めると、どれから手をつけたら良いのかわからず四苦八苦する人もいるだろう。そんな人は医療費控除から手をつけてみるのはどうだろうか?元国税調査官の大村大次郎氏が節税初心者にオススメの医療費控除活用術を解説する。※本稿は、大村大次郎『知らないと大損! サラリーマンが税金を取り戻す完全マニュアル』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。

節税に初めて挑戦するなら

まず医療費控除を使い倒そう

 医療費控除という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。

 年末のビジネス誌などで時々、特集されたりしていますからね。

「医療費控除って、やってみたいけれど、どうやればいいのかわからない」

 という人も多いでしょう。

 そういう方々は、ぜひこの機会にチャレンジしてみてください。

 医療費控除は、対象範囲が広いので誰にでも簡単にできるものなのです。そして、医療費控除はほとんどの方が、少額であっても税金還付になるのです。

 サラリーマンが「税金が還付されるとはどういうことか」と体感するには、うってつけのアイテムといえます。

 医療費控除は、簡単にいえば、年間10万円以上の医療費を支払っていれば、若干の税金が戻ってくる、という制度です(本当はもう少し複雑な計算があります、詳細は後述)。

 そして医療費の領収書さえ残しておけば、誰でも医療費控除の申告をすることができます。だから、やろうと思えば、今日からでもできるのです。

「俺は、病院なんてめったに行かない。だから医療費控除なんて関係ない」

 と思った方もいるでしょう。

 でも、医療費控除というのは、病院に支払ったお金だけが対象ではないのです。

 病院での治療費、入院費のみならず、通院での交通費、薬屋さんで買った市販薬、場合によっては、ビタミン剤、栄養ドリンク、按摩、マッサージなども含まれるのです。また昨今、はやりの禁煙治療、ED治療などの費用も医療費控除の対象になるのです。

 そういうのを全部足したら、だいたい誰でも年間10万円以上にくらいにはなるでしょう?

 ちなみに医療費控除の対象となる主な医療費は次の通りです。

(1)病気やけがで病院に支払った診療代や歯の治療代

(2)治療薬の購入費

(3)入院や通院のための交通費

(4)按摩・マッサージ・指圧師、鍼灸師などによる施術費

(5)保健師や看護師、特に依頼した人へ支払う療養の世話の費用

(6)助産師による分べんの介助料

(7)介護保険制度を利用し、指定介護老人福祉施設においてサービスを受けたことにより支払った金額のうちの2分の1相当額や一定の在宅サービスを受けたことによる自己負担額に相当する金額

(注)この他にも医療用器具の購入費、義手や義足等の購入費用も対象となります。

 けっこういろんなものが対象になるでしょう?

 また医療費控除には他にも、いろんな裏ワザがあるのです。禁煙治療、ED治療、それに場合によっては温泉療養、スポーツジムの会費なども、医療費控除とすることもできるのです。

医療費控除を使えば一般家庭でも

3万~4万円の税金還付が期待できる

 これを知っているのと知らないのとでは、大違いです。

 なので医療費控除は、サラリーマンが節税をする上での突破口ともいえます。医療費控除は、サラリーマンの節税の基本的な要素を備えています。医療費控除を会得すれば、他のいろんな節税方法も使えるようになるのです。

 まずは医療費控除の仕組みについて、簡単にご説明しておきましょう。

 医療費控除というのは、その年において多額の医療費を支払った場合に、その支払った医療費のうち一定の金額をその年の所得金額から控除できるというものです。

 医療費控除の計算は以下の通りです。

その年に支払った医療費(保険金等で戻った金額を除く)-10万円(注)=医療費控除額(最高200万円)

(注)10万円又は所得金額の5%いずれか少ない金額となります。

 たとえば、年収500万円の人がいたとします。この人(家庭)の年間の医療費が30万円かかったとします。

 となると、30万円から10万円を差し引いた残額20万円が医療費控除額となります。

 課税対象となる所得から20万円を差し引くことができるのです。つまりは、これに税率をかけた分が還付されます。この人の場合だと、所得税、住民税合わせてだいたい3万~4万円が還付されると思ってください。

 年間30万円くらいの医療費って、普通の家庭で普通に使っているものです。それを申告すれば3万~4万円が戻ってくるのです。

 つまりは、普通の家庭が普通に申告すれば、3万~4万円が還付になるのです。

 サラリーマンのお父さんの小遣いの平均が月3万円程度とされているので、お父さんの1カ月分のお小遣いが浮くということになります。

 医療費控除を申告するのとしないのとでは、大きな違いでしょう?

治療に関するものなら幅広くOK

市販薬も医療費控除の対象に

 医療費控除の額を増やそうと思えば、まず重要ポイントとなるのが、市販薬です。

 病院に行かない人でも、市販薬というのはけっこう購入しているものです。風邪薬、目、湿布など、健康な人でも何かしら購入しているものでしょう?

 この市販薬を医療費控除として申告できれば、医療費控除の範囲はグンと広がるはずです。

 で、市販薬の場合、医療費控除の対象となるケースとならないケースがあります。その違いは何なのか、というと、簡単にいえば「治療に関するものかどうか」ということです。

「治療に関するもの」とはどういうことかというと、怪我や病気をしたり、体の具合が悪かったりして、それを「治す」ために買ったものであれば、医療費控除の対象となるということです。医者の処方のない市販薬でも、大丈夫です。

 一方、「治療に関するもの」でないものというのは、予防のためや置き薬のために買ったものなのです。つまり、具体的な病気、怪我の症状があって、それを治すために買ったものであればOK、そうじゃない場合はダメということです。

 でも予防か治療かというのは、曖昧な部分でもあります。

 たとえば、ちょっと風邪気味だなあ、薬でも飲んでおくか、と思って市販薬を購入した場合。これは予防なのか、治療なのか、判別は難しいところです。

 こういうときは、どう判断すればいいか?

 有体にいえば、自分が「治療だと思えば治療」ですし、「予防だと思えば予防」ということになるのです。

「治療のための費用」の範囲は

どこまでが含まれるのか

『知らないと大損! サラリーマンが税金を取り戻す完全マニュアル』 (宝島社) 大村大次郎 著© ダイヤモンド・オンライン

 日本の税制では、「申告納税制度」というシステムを採用しています。これは、税金は納税者が自分で申告し、自分で納めるという制度です。この申告納税制度のもとでは、納税者が申告した内容については、明らかな間違いがなければ、申告をそのまま認めるということになっています。

 だから、医療費控除の場合も、本人が治療のためと思って購入した市販薬については、税務当局が「それは治療ではなく予防のためのものだ」ということを証明できない限りは、治療のために購入したとして認められるのです。

 もちろん、これは治療か予防か、曖昧なものに限られます。明らかに予防のために購入したということが客観的にわかるものを「これは治療のために買った」と言い張っても、それは通りませんので、ご注意ください。

 ちなみに、医療関係の支出で、医療費控除の対象とはならないものの具体例が、税務当局から出されていますので、ご紹介しておきますね。

医療控除の対象とならない主な費用

(1)医師等に対する謝礼

(2)健康診断や美容整形の費用

(3)予防や健康増進のための健康食品や栄養ドリンク剤などの購入費

(4)近視や遠視のためのメガネや補聴器等の購入費

(5)お見舞いのための交通費やガソリン代

(注)親族などに支払う世話代や未払いの医療費なども対象とならない。

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