貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

餡子玉:スパニッシュ・メニライト

2023-09-24 08:53:15 | 単品

ごろん。

餡子玉? 齧りたくなる、歯でかち割りたくなる。
メニライト Menilite。スペイン、Albacete産。東サ新宿さん(お、略したね)のフェアで。

存在は薄々知っていたけど、目の前にこんな見事な「ごろん」を出されたら、やっぱ手が出る。
「メニライト・オパール」とも呼ばれる。和名は「珪乳石」。多孔質の非晶質石英で水をかなり含む。
確かにたくさんの孔がある。持つと柔らかい、粉っぽい感じがして、手に少しねっとりとした粉っぽさが移る。ほんとにお菓子みたい。

質感も触感も、あまりこんなものはない。とても面白い。

見事な球形なので水で研磨されたのかと思うけれど、そうではない。
2010年くらいにスペインでこういう白色で丸っこい不思議な形をしたものがたくさん見つかったらしい。球形だけではなくて、二つ三つくっついていたりあちこち出っ張っていたりする。
で、妖精が作ったのではということで「フェアリー・ストーン」とも呼ばれる。
ケベックあたりでもちょっと平らなものが出るらしくて、クリスタルワールドさんで「フェアリー・ストーン」として売っていた。やや灰色だったと思う。
はて、これは何じゃい。

メニライトは mindat によると、
《オパール化したコンクリーション。泥灰岩や透石膏や頁岩の中に産する。オパールの変種と思われてきたが、おそらく不純物を含んだ若いフリントのノジュールで、石英に結晶化する前のもの。鉱物ではなく岩石と言うべきもの。》
名前は18世紀にパリ近郊のメニルモンタンで発見されたことによる。

コンクリーションというのは、《堆積物の砕屑粒子間の隙間に鉱物が析出・充填することによって凝結したものを指す。 いわば"天然のセメント"である。通常、球形あるいは卵形だが、不規則な形状になっていることもある。》ウィキ
泥灰岩 marls は《細粒砕屑粒子の泥質物質と、石灰岩の主成分である炭酸カルシウムが混合してできた中間的組成の堆積岩。 おもに粘土鉱物と方解石からなる。マールともいう。》同
頁岩 shale は《堆積岩の一種。粘土の不完全に固結した岩石で、泥板岩とも呼ばれる。》
フリント flint は火打石。非常に硬質な玉髄質の石英からできている岩石の一種。

要するに広く「コンクリーション」と呼ばれる岩石なのですね。
このコンクリーションの中にはセプタリアンとかモキ・マーブルなんかも含まれる。あら、セプタリアンって微生物が関与しているのかと思ったら違うのね。アメリカで産する「キャノンボール・コンクリーション」というやつは3メートルもあるものがあるらしい。
日本でも産して「こぶり石」「ほとけ石」「菩薩石」とも呼ばれる。木内石亭『雲根志』には「菩薩石」として紹介されている。

ああめんどい。
結局のところ、こういったものがどうやってできるかはまだわかっていないらしい。
堆積物中の珪藻のシリカが凝集したのだけれど、高温高圧でなかったためにチャートにはならずに終わったということでしょう。つまりは「生焼けチャート」?
けど、どうしてこんな形になる? 鳴石もそうだけど、ガイアの子分の中には丸いのが好きなやつらがいるのか?(誰だよそれ)
この「スパニッシュ・メニライト」は純度も高そうだし、形も面白いし、なかなかいいですね。

しかしどう見てもお菓子だなこりゃ。


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