見もの・読みもの日記

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2023年7月関西旅行:名品ギャラリー(京都国立博物館)

2023-07-17 16:35:52 | 行ったもの(美術館・見仏)

京都国立博物館 特集展示『茶の湯の道具 茶碗』(2023年6月20日~9月10日);『新収品展』(2023年6月13日~7月17日);名品ギャラリー『縄文土器と土偶』『15世紀の白描絵巻』『地蔵と閻魔』『古筆とかなの美』『袈裟と名物裂-舶載された染織-』『錺りの美-仏をかざる-』『豪商の蔵III-茶室を彩る漆-』

 各地の博物館・美術館で夏の企画展が始まっている。加えて、見に行きたい公演や祭礼もある一方、地元・東京の夏の行事も復活しており、仕事もあり、経費の制約もあり、いろいろ考えた結果、三連休の土日だけ関西で遊んできた。

 京博は2つの特集を含む常設展示。うぉ~久しぶりだ~!と思ったが、2022年1月にも、いちおう常設展期間に来ていた。しかし今年のように、夏場をまるっと常設展示にあてるのは、近年、珍しいのではないだろうか。かつて、いまの明治古都館が特別展会場で、平成知新館の前の常設展ギャラリーがあった頃は、私はけっこう常設展を目当てに京博に来ていた。お手軽な料金で特別展級の国宝・重文を見ることができ、新しいジャンルに出会うこともできて、とてもよかった。いまの京博は、施設的な制約で常設展示を「常設」できていないのだが、早くなんとかしてほしい。

 3階の「茶碗」は日中韓(唐物茶碗、高麗茶碗、和物茶碗)の名品が集合。絵高麗、井戸茶碗など高麗茶碗多めの印象を受けたのは、畠山記念館(休館中)のコレクションが出ていたためかもしれない。2階「15世紀の白描絵巻」は『中宮物語絵巻』『藤の衣物語絵巻』『源氏歌合絵巻』を展示。『中宮物語』面白いなあ。物語の筋は、ほぼラノベか少女マンガである。いや中国語の解説に「貴公子」「貴女」とあるのを読んでいると、宮廷恋愛ファンタジードラマみたいな気がしてくる。後半が失われているのが惜しい。「新収品」は、磁州窯(金~元時代)の『黒釉掻落牡丹文壺』や『伝後伏見天皇宸翰』(室町時代)が寄贈で入ってくるのがすごい。装飾が見事なオランダ製の『木彫交椅』(17世紀)など購入品も展示されていた。

 1階は彫刻展示の大ギャラリーに入って驚いた。巨大な甲冑姿の天王像が、周囲を睥睨するように立っていたのだ。よく見ると、間にほかの仏像を挟んで左右の端に1躯ずつ。近寄ってみるとキャプションに「東福寺展先行展示」の注が付いていた。東博でも見たものだが、照明や展示空間の効果か、京博のほうがカッコよく見えた。特に、向かって右の吽形がよい。ミケランジェロの彫刻(見たことないけど)みたいな気品と迫力。ふだんは「東福寺の収蔵庫に収められている」というのはもったいない。大きな仏像と向かい合うかたちで、ガラスケースに収まっていたのは、十王坐像(+倶生神+奪衣婆)。十王が揃うものとしては現存する最も古い作例だという。「京都・常念寺」とあっても、どこのお寺か分からなかったが、翌日、奈良博『聖地 南山城』展で同じ名前に出会うことになる(たぶん木津川市加茂町のお寺)。

 1階「古筆とかなの美」は14件のうち、国宝3件、重美5件。手鑑『藻塩草』を久しぶりに見た。『石山切』の貫之集断簡が4件、伊勢集断簡が3件。これはもう、京博にしかできない常設展示だろう。更紗や金襴もおもしろかったし、鍍金の透かし彫りの華籠や経箱も美しかった。京博が常設展示を復活してくれたら、私は1年くらい京都に住んで、通い倒すのであるが…。


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