見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2024年6月展覧会拾遺

2024-07-03 23:19:07 | 行ったもの(美術館・見仏)

府中市美術館 『Beautiful Japan 吉田初三郎の世界』(2024年5月18日~7月7日)

 大正から昭和にかけて、空高く飛ぶ鳥や飛行機から見下ろした視点による鳥瞰図のスタイルで数多くの名所案内を描いた吉田初三郎(よしだ はつさぶろう、1884-1955)の世界の魅力に迫る。吉田初三郎の名前は、2005年の江戸博『美しき日本』、2016年の近美『ようこそ日本へ』など、ツーリズムをテーマとした展覧会で何度か見てきた。本展は総合的な回顧展ということで、鹿子木孟郎に学んだ油彩の風景画なども展示されているが、本領はやはり鳥瞰図スタイルの名所案内図である。明るく楽しい雰囲気を演出するため、かなり大胆なデフォルメを施したものが多い。子供の頃の学習雑誌に載っていたSF的な未来都市図に通じるところもあるように思った。京王線の沿線観光図もあり。

東京ステーションギャラリー 『どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより』(2024年4月27日~6月23日)

 大都市江戸・東京に暮らした人々が、どのように動物とかかわってきたかを物語る美術品や工芸品など約240件を、休館中の江戸東京博物館のコレクションから選りすぐって紹介する。2022年にパリ日本文化会館(フランス)で好評を博した「いきもの:江戸東京 動物たちとの暮らし」展を拡充した凱旋帰国展でもある。江戸博には何度も行っているのだが、初めて見るような作品が多くて楽しかった。歴博所蔵の『江戸図屏風』(複製)が出ていて、馬はたくさん描かれているが、牛は1頭しかいないという注釈が付いていて、黒田日出男先生の『江戸名所図屏風を読む』に書いてあったことを思い出した。東京の名産、今戸人形のウサギやキツネ、縮緬細工のひよこ、ブリキ玩具の金魚も可愛かった。

太田記念美術館 『国芳の団扇絵-猫と歌舞伎とチャキチャキ娘』(2024年6月1日~7月28日)

 国芳の団扇絵だけの展覧会。団扇は、江戸っ子にとって夏の暑さをしのぐための必需品であると同時にお洒落アイテムでもあり、歌舞伎ファンの推し活グッズでもあったという。国芳も積極的に団扇絵を手がけており、特に好んだ画題が「猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」だった。国芳といえば、カッコいい武者絵、奇ッ怪な化け物など、魅力は尽きないが、江戸の人々にとっての最大公約数は、このサブタイトルだったかもしれない。団扇絵は消耗品で現存数が少ないこともあってか、初めて見る作品も多かった。

黎明アートルーム 『江戸琳派と磁州窯』(2024年5月21日〜2024年6月30日)

 磁州窯を目当てに見に行った。2階展示室の『白地黒掻落牡丹文瓶』と『緑釉鉄絵牡丹文瓶』は確かに磁州窯の優品だったが、それ以外は、あまり磁州窯らしい作品がなかった。金~元代の三彩や紅緑彩の磁州窯も好きではあるが。むしろ期待していなかった五彩(呉須赤絵、南京赤絵)が楽しかった。こういう民窯は、うつわの数だけ多種多様なデザインがあるのだな。琳派は鈴木其一の大作『四季花鳥図屏風』が印象に残った。


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