英作問題『いちご 』
6. イチゴ大福とは、餅の中に、あんことイチゴの果実が包み込まれた人気の和菓子だ。
⇒ 日本的な事象を英語で説明するということも、なかなか難しいことで、日本特有の食品やら、今回なら和菓子にあたるものを、どう伝えるかということも、簡単にはいかないが、こういう時も、すぐにわからないからといって、和英辞典やネットに頼る前に、自分で言えるのではないかと思って、挑戦してみることが、大切である。調べるにしても、自分なりの答えを出してからにする。それによって、自力で英語を話す、よい練習となる。
イチゴ大福に限らないが、よく外国人に、日本固有の事象等を、そのまま固有名詞でのみ伝える人もいるが、それでは相手は何のことやらわからない。
今回の課題のように、イチゴ大福と言った後に、そもそもイチゴ大福は~ というように、ちゃんと説明することを忘れてはならない。相手がどんな人か、長年日本に在住している外国人か、来日したばかりか等によって、話の展開は変わるだろう。
細かい説明をする際に、英作で鍛えた説明力が大いに役立つ。
もちは rice cakeで 、あんこは、sweet beans という。
これらも、簡単なので覚えて然るべきだが、説明すると、Rice cakes are made from rice. とか、We need rice to make rice cakes. We make rice cakes with (from) rice.
We need (red) beans and sugar to make sweet beans. You put beans in a pot and cook (boil) them, and you put sugar in the pot to make them sweet. という感じだろう。
rice cake でも sweet beans でも何でもよいが、それを覚えるのは当然必要なのだが、単に日本語と英語で対象で覚えるだけでなく、それを英語で説明できることが、英会話力向上のために必要だ。
『イチゴ大福とは、餅の中に、あんことイチゴの果実が包み込まれた人気の和菓子だ。』
さて、今回の課題だが『包み込まれた』という箇所を考えたい。
包むというと、何か風呂敷か何かで包むみたいな感じであるが、一番大事なのは、日本語を見ても、日本語で考えないことである。何か逆説めいているが、日本語は、単なる取っ掛かりに過ぎない。日本語は、単なる情報である。その情報としての日本語を見たら、すぐにイメージを思い浮かべることが大切。日本語で考えるのと、イメージでとらえるのは、雲泥の差がある。
イメージで考えると、包むという言葉ではなく、イチゴと餅を立体的に見る。立体的に、空間上において、外側に餅があり、内側にイチゴが位置した状態がイメージできる。となると、包むというより、単に物理的に、どこに何がある、という情報だけになる。
要するに、情報として考えると、単にイチゴが餅の中にある、というだけのことである。よってhave 等で十分だとわかる。
・The sweets have strawberries inside.
・The sweets have strawberrries and sweet bean paste inside.
包み込むということは、中にあることであるとともに、中に入れることである。よって put を使い
・Ichigo-daifuku is a kind of Japanese sweets. To make ichigo-daifuku, you put strawberries and sweet bean paste in rice cakes.
一文にすると
・Ichigo-daifuku is one of Japanese sweets made from rice cakes that have strawberries and sweet bean paste inside.
包むということは、何かの中に何かがあること、もしくは、何かが何かを中に持つこと。
包むというと、思い浮かぶのが wrap や、pack, package 等だろうが、have が使えるので、あえてそれらを無理して使う必要はない。packは、ゆうパックとあるように、荷物の文脈で、服などをカバンに詰め込む等によく使い、wrap も、サランラップとある通り、食べ物を包んだり、ギフト包装(gift-wrap) 等の文脈が多い。使ってもいいかもしれないが、have 等の基本動詞以外は、通常それぞれ特定の文脈においてのみ使われるので、それ以外の文脈で使うことは避けることが無難である。
大福(daihuku)と饅頭(manju) を 英語のウィキペディアをざっと読んでみると、stuff (注:staff(スタッフ→職員、従業員)とは異なる)という語があった。stuff とは、詰め込むという意味で、鶏肉の中に色々詰めた料理(stuffed chicken breast等)で使われる語で、他にも、ぬいぐるみを英語で stuffed animals (stuffed dog, cat 等)という。あとは、contain (含む)や、be covered in/with 等もあった。ご参考まで。
『イチゴ大福とは、餅の中に、あんことイチゴの果実が包み込まれた人気の和菓子だ。』
あとは、人気の和菓子。人気=popular でよい。別にpopular でなくてもよい。知っていても、知らないとして、あえて別の案を考えることは、よい英作、英会話の練習となる。
少し対話形式で、考察する。
What does it mean to be popular? Can you explain in your own words?
Popular? I don't know.
Imagine you really like to eat this kind of sweets that have strawberries and sweet been paste inside. How do you feel when you see them?
I will be very happy. I really want to eat them.
Right. That's how you feel if you love it.
Now let's think about the meaning of being popular. Are the sweets popular when you are the only one who likes them?
No.
What do we need if we want to say something is popular?
We need people, many people.
How do many people feel if we say something is popular.
Many people like it.
上記の問答で分かる通り、人気とは、多くの人がそれを好むことである。
英英辞典(ロングマン)で popular を見ると、 liked by a lot of people. とある。
うちの教室では、こういう風に、英語による問答を大切にしている。
popular に限らず、様々な言葉や、事柄の意味を、新たに考え、掘り下げることにより、自分で考え、自分の言葉で言い表して、英語の表現力をつけることを意図している。
こういう問答を通して、答えを求める方式を、英語で Socratic method という。ギリシャの哲学者ソクラテスの問答法(ディアレクティケー)である。
英語を話すということは、日本語を英語に訳すことではない。
英語を話すということは、つまるところ、英語で感じ、英語で考え、英語で話すことである。
英作練習という、実用英語を身に付ける術(すべ)も、その到達地点を念頭に置かなければ、その努力は徒労に終わる。
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