何度か書いてきたことだが、米中経済戦争がかなり深刻になってきた。日本では中国経済が忽ちに破綻するような経済記事が多数掲載されている。勝ってる勝ってると言いたいのだろう。水産品全面輸入禁止も経済戦争だと思えば理解しやすい。お互い屁理屈を付けて経済攻撃をしているのだ。
中国経済崩壊を書いていれば、提灯行列記事が読んで貰えるのだ。日本国民が一番楽しみにしている記事なのだ。停滞の日本の溜飲なのだ。中国はそう簡単に経済崩壊をしない。その理由は資本主義経済に於いて、中国はまだまだ経済成長をする要素があるからだ。14億の消費者と安くよく働く労働者。
中国経済は世界の生産基地時代を終わろうとしている。日本や韓国や台湾の企業が徐々に撤退を始めている。安い労働者や安い施設費安い税金というような時代をやや終わろうとしている。アメリカよりも成長余地が多く残されているところが強みだ。
14億人の教育の高い国民が存在する。消費余地がまだまだある。不動産バブルと言うが、中国の人口から見れば、家が余っているわけではない。価格が調整されれば、買う人は居る。不動産投資は行政と連携されている。独裁的国家の経営指導が徹底している。ウクライナ侵攻以降の世界情勢は中国に有利に働いている。
中国の問題点を数えていれば確かに切りが無いほどだ。戦争だから、アメリカ側では崩壊を待っているのだ。だから安易に中国の悪い所を取り上げることになる。北京紫禁城水害。三峡ダム崩壊。長江の渇水。砂漠化拡大。高学歴就職難。良い所を取り上げたところで、注目記事にならないから、そうした記事はほとんど無い。
そのために日本人の多くは明日にでも台湾侵攻があるとか、バブル崩壊で中国経済が崩壊するとか、思い込まされている人が驚くほど居る。冷静に分析すればそんなことはない。中国の方が、日本やアメリカよりも、経済が拡大する条件がまだまだある。発展途上国の側面がある中国なのだ。
不動産バブル崩壊と言っても、まだ住宅が不足しているのだ。富裕層以外では手が出ない価格だから、暴落を始めた。土地所有を個人は行えないから、土地は投資対象にならない。建物しか購入できない。土地を所有している地方公共団体、あるいは国から、土地を借りる形でマンショを作るらしい。
各地方が競って建設会社と共同で、マンション開発をする。これを富裕層が投資対象にして購入する。農地に関して言えば、部落の共同所有のような形らしい。部落単位で、会社を作り共同で運営する。有機農産物村であれば村単位で会社組織になる。嫌でも有機農業をやらざるえない。
自由はない代わりに、効率が良い。この村はキノコ村となれば、日本のきの子会社の数十倍のキノコ工場が出現する。もちろんすべてが整理されているようでもなくて、実に複雑な形が存在するので、土地制度については教えられてもなかなか理解できない。
良い面から言えば、その集落にいれば、役割が与えられる。農業機械が得意。根気よくやれる。体力があまりない。それぞれに会社の社員のように働く。しかし、やる気のある者は自由を求めて都会に出て行くことになる。先ずは勉学に励んで、より高度な学校を目指す。
そうした国家資本主義とも言える状態が、アメリカとの経済競争に勝り始めたのだ。中国の上層部の商売人としての判断が良かったことと、実働部隊の行動が素早いために、経済競争に勝利をし始めた。そこでアメリカは様々な制限を加えて、成長を止めようとしている。これが経済戦争と言える状態にまで深刻化している。
自由に生きると言うことは人間の根源的欲求である。中国人に於いてもいささかも変わらない。国家が自由を制限を加えすぎれば、経済は停滞をする。やりたいことをやるのでなければ、人間は能力を十分に発揮できない。この点では確かに中国は曲がり角にきていると言える。
経済的に余裕が出てきた時代に成長した今の若者世代は、やりたいことを仕事にしたいと、就職をえり好みし始めている。それが20%を超える失業率と言う驚くべきことになった。一方で希望の職に就くことの出来た高学歴の若者の80%の人達は意欲的に働いているのかも知れない。
日本と違うのは、3K職場を厭わない沢山の人口がまだあるという点である。農村から出てくる多数の若者が、都会での過酷の労働をになっている。まだまだ発展途上国的要素が大きいのだ。中国はまだまだ経済発展を続けるとみて間違いが無い。
今後何が起こってくるかである。まず台湾侵攻はやらない。このまま5年の時を稼げば、台湾との平和的統一の可能性が高まる。もし平和的統一が出来れば、習近平は毛沢東を超えて、中国中興の祖になれると考えているはずだ。間違いなく平和的統一が第一の狙いだ。
そして、いよいよ中国からのお金や人間流出が起こると予測する。豊かになっても自由が無いからである。十分な資産を持ったとしても、何時国家に不当な理由で取り上げられるかも分からない。これでは不安だろう。海外に資産を移す人が増える。当然日本で土地を買う人も増える。円安の今は投資の機会とみているはずだ。
土地を所有できない中国富裕層にしてみれば、日本の土地神話を安定資産とみるはずだ。脱出基地にできるかも知れないと考えるだろう。上昇意欲の強い中国人である。海外で生きる事を恐れない中国人である。いつの間にか世界中に移動を始めている可能性がある。
日本にも来るはずだ。すでに来ているのかも知れない。中国人も変わってきているが、日本人が中国人を受け入れられるかどうかが重要なことになる。中国の富裕層は現状でもきているはずだが、外見がおなじだし、余り目立たないように日本で暮らしている。日本で働くこともないのだろう。
子供の教育のために日本で暮らしているのだろう。日本にもそういうインターナショナルスクールが沢山あるようだ。英語教育なのだろう。どれだけ日本の社会と接点があるのかは分からないが、日本にとっては有望な人財になる可能性がある。日本の新しい成長要素になる可能性もある。
中国からの観光客も重要な交流だ。大切にしなければならない。爆買いなどと言う嫌らしい言葉を早く辞めなければならない。日本経済はそれで持ち直すかも知れない可能性すらあるのだ。顧客として重要なだけでなく、日本を知ってもらうことで、中国人も変わるはずだ。
日本と中国の国民同士が理解し合えば、戦争など起こらない。経済だって、中国経済の上昇の余波を受けることが出来る。中国人は何時までも独裁国家に我慢しているはずがない。国家資本主義の優秀性を評価しているのだ。まだまだ、この方式で世界の競争に勝てると考えているのだ。