Bonne(ボンヌ)のブログ

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2024年GW: スペイン・フランスの旅 ⑲ソフィア王妃センターで「ゲルニカ」を鑑賞しました・・・

  今日は曇り空で気温は27℃くらいでしたが、やはり湿度が高くて不快な関東地方南部。
  今夜はタイガースの試合は無いので、落ち着いて過ごしました。


  さて、今夜はスペイン・マドリードの記事の続きです。マドリードの最後の日となる
 3日目の月曜日。朝から教会を見学した後、お買い物(帽子とワイン)とチョコレート・
 ショップに立ち寄り、急いでホテルに戻ってギリギリの午前11時にチェック・アウトを
 しました。荷物は預かってもらって、この後はマドリード、いやスペインの誇る美術館を
 見学します。(なんだか美術館続きやな~ by妻)


  ホテル近くのプエルタ・デル・ソル広場から地下鉄1号線に乗り、再びエスタシオン・
 デル・アルテ(芸術の駅)まで参ります。ここから歩いて3分程のところにあるソフィア
 王妃センターという美術館が目的地です。朝、一度下見をしてきたので、迷わずに到着を
 しましたが・・・うぎゃあ~ なんだ、この長蛇の列は~ 😱

  失敗しました・・・やはり大人気のスポットなので、観光客がわんさか押しかけていて 
 物凄い行列ができています。やはり列は2つあり、片方はチケットを買うための列です。
 オッサンは前売りのオンラインチケット(マドリードの3カ所の美術館にいつでも自由に
 入場できる便利なチケットです。もちろん1回ずつですが)を持っていますが、チケット
 保有者の列も、チケットを買う人の行列とほとんど変わらない程の長蛇の列でした。
  どうやら入館時に空港の保安検査のような荷物チェックとボディチェックを行っている
 ため、非常に時間がかかっているようです。そうか、まぁ仕方がないです。というのも、
 世界屈指の有名な作品「ゲルニカ」を展示していますので、テロ行為があっては取返しが
 つかないことになりますからね。(ちなみにルーヴル美術館のモナリザは、防弾ガラスに
 覆われていますけどね・・・)
  30分程並んで、ようやく入口近くまで辿り着きました。ふぅ、当初は1時間少々見学
 しようと思っていましたが、後のことを考えると少し短縮して、早めに切り上げた方が
 よさそうだな・・・(ただでさえ短い見学時間が、さらに短くなるんかい! by妻)

  手荷物検査と身体検査は、まさしく空港の搭乗ゲートと同じようなもので、ちょっと
 緊張しました。そして大きめのショルダーバッグは、コインロッカーに預けるよう指示
 されました。安心安全に名画鑑賞をするためには、大人しく従うしかありませんね。


  さて、このソフィア王妃センターは、大きな貴族の館を改装した美術館で主に20世紀
 の現代美術を中心に展示されています。もちろん目玉は、あのピカソ様の記念碑的作品
 「ゲルニカ」ですが、他にもダリ、ミロ等の巨匠の絵画をたくさん鑑賞できます。
  日本式の2階と4階が常設展になっているのですが、時間があまりないので主要作品
 が集まっている2階から攻めてみることにしました。この美術館は中庭を囲んだ宮殿の
 ような造りをしているため、作品を見て回るのに結構歩きました。
  あ、ちなみにこの美術館は写真撮影OKでした。三脚やフラッシュ、動画撮影は禁止
 ですが、通常のカメラ・スマホの撮影は自由なので、またたくさん写真を撮りました。


  まずはいきなり出ました! スペイン・カタルーニャ地方の巨匠、ホアン・ミロさん
 の作品です。この特徴ある落書きのような(失礼)モダンアートは、すぐにミロさんの
 作品だとわかりますね。うちの妻がこういうのを好きなんだよなぁ・・・

  続いて、同じくカタルーニャの奇人変人(笑)、ダリさんの作品です。お、まともな
 作品も描いているんですね。でも背景がすでにシュールっぽいけど・・・

    

  あ、このキュビスムっぽい変てこりんな作品は・・・これもなんとダリさんの作品。
 やはりブラックやピカソのキュビスムの絵が脚光を浴びていた頃、ダリさんもちょっと
 真似してみたのかな? なんだか楽しそうな絵です。これも妻が喜びそうだな・・・

    


  そして有名なのが、この作品 ↓ ・・・シュールというか、気色悪いというか・・・
 ダリらしい悪趣味ともいえる作品ですが、まぁこれでも芸術作品なんですね~ 


  お次はフランスのキュビスムの画家、ロベール・ドローネーさんの絵です。カラフル
 な色彩の男性裸像です。いかにも彼らしい独特の色遣いで、なかなか面白いです。


  そしてスペイン人のキュビスム画家、ファン・グリスさんの作品もありました。これ
 もいかにもキュビスムの絵っていう感じです。ブラックやピカソみたいに、楽器を図形
 のように分解して描いていますね。こういうのが流行ったんですね・・・ 

  そしていよいよピカソさんの登場。絵の具の盛られたパレットや絵筆、石膏のトルソ
 などが置かれているので、彼のアトリエを描いたのかな? この作品はまだ形がきちん
 とわかりますので、見やすいですね。

  
  ・・・と、ここまでは「ゲルニカ」の展示されている、2階奥の真ん中の部屋に行く
 までに見てきた作品です。現代美術史に名を遺す偉大な画家たちの作品を駆け足で見て
 来た後は、いよいよ満を持して「ゲルニカ」を鑑賞します。
  たぶん「モナリザ」と並んで、人類史を飾る絵画作品の傑作の双璧でしょう・・・
 オッサンはドキドキしながらゲルニカの部屋に入りました。

  うわぁ、ここだけすごい人だかりです。この広い部屋は「ゲルニカ」専用の部屋です
 が、人垣が二重三重にできていてザワザワしています。皆さん、この歴史的名画をじっ
 くり鑑賞しようとするので、なかなかスペースが空きません。オッサンは5分程待って
 ようやくこの大作の真ん前に陣取ることができました。


  「ゲルニカ」とは、北部スペイン・バスク地方の中心都市ビルバオに近い田舎町の名
 です。第二次世界大戦の頃、当時のスペイン軍事政権が、自分たちに逆らうバスク地方
 の街をナチス・ドイツの航空支援を得て爆撃したのです。なんとゲルニカの街の人々は
 自国の軍隊から攻撃されてしまい、あっという間に廃墟と化したのです。
  当時国外にいたピカソはこのニュースを知ると激高し、抗議の意思を示すためにこの
 絵の制作に着手したのです。彼はダリとは違って、情熱的な愛国者でありました。怒り
 が芸術家の創作意欲を刺激する、というケースはこれまでの美術や芸術の世界史におい
 てもいくつかありましたが、この「ゲルニカ」ほどすさまじいエネルギーが込められた
 作品は他には無いと思われます。もう、ただ立ち尽くして鑑賞させて頂くのみ、です。

  思ったよりも大きな絵で、難解なキュビスム的な構図ですが鬼気迫るものがあります。
 既にこの名画には多くの専門家による解説がありますので、オッサンの駄文は控えます。
  もうとにかく圧倒されました。つべこべ言わずに大人しく見ろ、という感じです。
 時間があまりないのですが、10分程立ち止まってこの絵を鑑賞しました。凄いよなぁ。
 ただの絵画作品としても傑作なのですが、この絵に込められたメッセージ、画家の信念
 というか、プラスアルファの魂がこもった作品だと思います。


  ちなみにピカソは1973年に亡くなるのですが、彼はフランコ独裁政権の支配する祖国
 スペインには二度と戻りませんでしたので、この絵もニューヨークの近代美術館に所蔵
 されることになりました。ピカソの遺言で、この「ゲルニカ」が祖国スペインに渡るの
 は、この悲劇を生みだした張本人であるフランコ独裁政権が滅んだ後、とされたのです。
 ピカソの死後2年後、1975年にようやくフランコが世を去り、スペインに民主的な政権
 が樹立されましたので、その後の長い交渉を経てようやくゲルニカがこのスペインの地
 に来ることができたのです。うーん、フランコがもっと早く●ねば、ピカソ様も作品と
 ともに凱旋できたのにな~ (まぁ悪どい奴ほど長生きするからの~ by妻) 


  名残惜しい・・・いつまでも見ていたかった・・・(無理やな、オッサンには。by妻)

 
  マドリードに来られたら、この美術館はぜひ訪れるべきだと思います。ゲルニカを鑑賞
 できるだけでも十分です。チケットは事前に入手するのが望ましく、それでも待ち時間は
 30分くらい見ておいた方が良いかと思います。


  さて後ろ髪を引かれるようにゲルニカの部屋を出たオッサン、回廊を一回りして戻り
 ながら、もう少し名画鑑賞を続けます。ということで、次回に続きます・・・

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