GPSを使わずに位置がわかる量子航法システム

 
科学

量子航法システム(Quantum Navigation System)とは、
GPSを使わずに船舶や航空機の正確な位置を特定する技術です。
GPS信号が要らないので潜水艦でも使えるとのこと。

量子航法システムでは量子加速度計を使います。
レーザーを用いて極低温状態(ボーズ・アインシュタイン凝縮状態)に冷却された原子(ルビジウムやセシウム)を使います。
この状態では、原子の運動が極めて低速で規則的になり、
非常に精密な加速度測定が可能になります。

ボーズ・アインシュタイン凝縮状態とは、
光子や中性子、陽子などの粒子が極低温になるとエネルギーを失い、運動が極めて遅くなる状態のこと。
この状態になると粒子が集まって、1つの巨大な粒子のように振る舞います。

量子ジャイロスコープという、角速度を高精度で測定する装置も使います。
量子干渉計(インターフェロメーター)を利用しており、
レーザー光を原子に当てて、2つの波に分けます。
2つの波を異なる経路を通過させて、再び合流させます。
そのときの干渉パターンを解析することで角速度を測定します。
干渉パターンは加速度に応じて変化します。
この干渉パターンの違いから、ジャイロスコープの回転を高精度に測定できるとのこと。

量子航法システムは、絶対位置を直接測定するわけではなく、
加速度や角速度の変化を連続的に測定し、これらのデータを積分することで相対的な位置を求めます。
初期位置を既知の地点から設定し、その後の移動を高精度に追跡することで、現在の位置を特定できるわけです。

従来の慣性航法システムに比べ、
量子航法システムはドリフト(誤差の蓄積)が極めて少なく、
長時間にわたって高精度の測位が可能です。
これにより、数時間から数日にわたる長期間の航行でも、
位置の誤差を最小限に抑えることができます。

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