4月22日、北海道旭川市の西川将人市長は、記者団の前でこう明言した。
「(文春オンラインの)記事を読むまで、私も教育委員会も事実関係についてまったく違う認識をしていた。もしかしたら私たちが事実誤認をしていたかもしれないという視点から、しっかり調査をする必要がある。もし、イジメということになれば、これまでの(学校や市教委の)対応に問題があったということになるだろう」
旭川市の西川市長が「再調査」を宣言
今年3月、旭川市内の公園で積もった雪の中で亡くなっているのが見つかった廣瀬爽彩(さあや、当時14歳)さん。死因は低体温症で、警察も自殺とは認定しなかったが、「文春オンライン」では4月15日から6本の記事を公開。その死亡の背景に上級生らからの凄惨なイジメがあったことを報じた。その記事が反響を呼び、旭川市にイジメの再調査を求める声が殺到。それを受けて、ついに旭川市の西川市長が爽彩さんが生前にイジメを受けていたかどうかを再調査すると宣言したのだ――。
文春オンラインが報じたのは、2019年4月から6月に起きた、爽彩さんが当時通っていたY中学校の上級生A子、B男らによる性的な動画を拡散するなどの悪質なイジメ被害の実態。記事公開の直後から旭川市教育委員会などには300件以上の問い合わせが相次いだ。
事態を重く見た旭川市は、4月22日、対応を話し合う総合教育会議を開き、2019年当時は「イジメはなかった」としていたY中学校の調査結果を見直し、改めて、当時「イジメがあったのかどうか」再調査すると決めた。
「旭川市教育員会」「Y中学校」の対応が改めて調査される
西川市長は教育長に旭川市教育委員会とY中学校側の対応を改めて調査するよう指示。医師や臨床心理士、弁護士らに委託して、第三者で作るいじめ防止等対策委員会を設置し、調査を開始する方針を示した。
報道から1週間。事態はようやく動き出した。爽彩さんの遺族は市の再調査決定をどのように受け止めているのか。あらためて現在の心境を聞いた。
※本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。