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Esports has a money problem. Will publishers be part of the solution?

eスポーツのお金の問題について触れた記事が、海外ゲームメディア「Dexerto」に掲載されています。
それによると、ほとんどのeスポーツ組織が赤字経営を続けており、業界の持続可能性が疑問視されているそうです。そこで、ゲーム開発者(パブリッシャー)がその問題を解決するカギになるのでは?といった内容です。

「eスポーツ」と「伝統的なスポーツ(野球やサッカー、テニスなど)」を比較して、収益化の難しさやパブリッシャーの影響力の強さ、本来の価値より遥かに高額な選手の給料や、スポンサーの動向について触れられています。
アメリカでは今後1年以内に景気後退が予見されており、流れ込む資金が減少することでeスポーツ業界は大きな転換が必要になるといった論調です。


以下、記事で触れられている内容を一部翻訳したものです。

・パブリッシャーは、eスポーツが存在する理由であり収益化の障壁でもある。
・eスポーツの収益化は、パブリッシャーの力量にかかっている。
・サッカーやバスケットボール、テニス等の”伝統的なスポーツ”での収益化は、eスポーツよりはるかに単純。テニスのウィンブルドンなら放送局に持ち込まれ、放送局がテレビ放映の独占権を支払う。
・ほとんどのeスポーツはTwitchやYouTubeで無料配信され、伝統的なスポーツの収益の大部分である放映権のような収益がない。
・eスポーツファンは無料視聴になれているので、もし有料化すれば視聴者数や興味関心が激減してTwitterで不満が大爆発する。
・eスポーツが伝統的なスポーツよりも収益化で有利な点は、パブリッシャーがゲームの宣伝のために法外な支出を続けることでチーム(プレイヤー)を金持ちに出来ること。
・そのためにパブリッシャーはeスポーツ関連のゲーム内課金などの収益を共有することができるが、いままでほとんどされてこなかった。
・LoLでは(売上をチームに分配する)ゲーム内スキンが1つあるだけで、2年間はチームの資金源になる。ヴァロラントでは半年間で85万ドルの損失を相殺し、15万ドル以上の余裕ができたチームさえある。

・一方、不条理な圧力でチームに(チケットやグッズ売上でも回収できない巨額の)出費を負担させるパブリッシャーも存在する。
・eスポーツシーンを根こそぎ破壊してプレイヤー、キャスター、裏方スタッフの人生を警告もなく根底から覆した事例もある。
・リーグ参戦にチームがフランチャイズ料を支払うような場合、ばかばかしいほど高額な選手の給料が大きな負担になる。
・ほぼ全てのeスポーツタイトルで、選手達はチームへの還元額を遥かに超える報酬を得ている。
・金銭的な見返りからすれば、選手に年俸何億円もの価値はない。(年俸200万ドル、3年420万ドルなど)
・伝統的なスポーツの選手が億単位の収入を得られるのは、Fortune 500(全米上位500社)企業が広告スペースを購入する後ろ盾があるから。
・eスポーツではそのようなエコシステムは構築されておらず、ビジネスとして成り立たなければならないが、今はまだ成り立たない。
・NHLではホッケー関連収入の最大50%を選手に費やすが、eスポーツでそれでは(選手の給料がチームにもたらす収益よりはるかに高すぎて)成功しない。
・選手の給料の高さに上限を儲けることは、パブリッシャーにとってPR上の頭痛の種になりチームの協力を得られないので難しい。
・以前は赤字はビジネスを行うコストとして容認されていた。不況になれば、成長企業よりも財務体質の強い企業が好まれるようになる。そしてeスポーツチームは財務体質が強くない傾向になる。
・eスポーツは不況を経験したことがない。(これから訪れる)不況で、選手の給料は是正されるだろう。
・契約更改で減俸を提示され、選手が他のチームに行くと言い出せば以前なら入札合戦になっていたが「あそこも同じ事を言っている」と言われて選手の年俸が下がっていく。なぜならお金がないのだから。
・選手の給料はまだ増加しているが、投資家が不況に備えており、資金が回ってこないかもしれない。

・eスポーツはスポンサーもどんどん失っている。
・あるeスポーツチームがコンピューター会社からスポンサードされてPCを販売したら、年間28台だった。(大人気インフルエンサーは同じ期間で1400台売った)
・チームとファンのつながりが強ければ将来的に売上が向上するが、今のところスポンサーは他にお金をかけるほうが理にかなっている。
・スポンサー企業もインフルエンサーを起用した方が顧客への影響力が高い事を実感している。
・既に一部のチームでスポンサー料が減少する現象が起きている。
・eスポーツで100万ドル以上の給料を貰うプレイヤーはほとんどいなくなるだろう。
・パブリッシャーはチームを保護するために(金銭面での支援など)もっと努力すべき。
・トッププレイヤーが減ればファンが減る。そうなればパブリッシャーの懐も痛める。
・プレイヤーに高額報酬を与えたいなら、パブリッシャーはもっとチームに還元すべき。