日本語の横書きマンガをもっと読みたい!
前口上: マンガの多言語化を阻むものは翻訳だけではない
漫画村が社会問題になる程度にネットでの違法アップロードは権利者にとって悩みの種です。
一方で非日本語話者にとって海賊版しか自分の言葉でマンガを楽しむ方法がない場合もあり、正規ルートが存在しないことも問題です。 機械学習による自動翻訳は確かに魅力的ですがそれが全てを解決するわけではありません。
多くの日本語のマンガは縦書きで右から左に読みます。日本語以外の言語は左から右の横書きが多くそこがミスマッチとなっています。
吹き出しに余裕を持たせたマンガは見づらい
翻訳に際し文字を小さくして入れるというのも一つのやり方ですが限界があります。
漫画家によるマンガの描き方講座をいくつかとってみたのですが、文字は少なく、吹き出しはキツキツに詰めるというのが読みやすいマンガと指導されていることが多いようです。ドイツ語のように意味圧縮効率が低い言語もありますし、意味圧縮効率が高い日本語に最適化すると文字の長さの面では不利です。同じ吹き出しがそのまま使えない。
マンガの英訳では吹き出しのサイズを調整したり、ものによっては漫符まで新たに絵を描いてローカライズしています。
最初から横書きだったらいいのに
そういう事情を鑑みると最初から日本語の漫画も横書きで書けばにいいのにという思いが出てくるのが人情というものです。
ローカライズコストの低いグローバルにスケールする漫画を作るには最初から横書きがいいですが、左から右に読むマンガは日本においてメジャーではありません。
読者が紙雑誌から電子書籍に移行する中、紙であった制約は低減傾向にあるはずですが、世界はそうなってはいません。
マンガの描き方講座も縦書きで右から左移動前提のものがほとんど。先行事例がないと真似しようにも真似できない部分もあり、リファレンスをここにまとめておきます。
アメコミ
アメコミは日本の漫画とは違うコミックの一ジャンルです。マーベル・コミックなんかが有名ですね。他にもシンプソンズだったり、パワーパフガールズなんかもそうです。
日本の漫画と違い基本的にフルカラーで左から右にページをめくり横書きです。
一方で本のサイズが日本のマンガのサイズより大きく、吹き出しは小さいです。そのままではコピーできないです。1ページのコマ数も多くiPadで見ると少し読みづらい感じがあります。
マーベルコミックは分業で製作しているようで回によってメインの絵描きが違うようです。
バイリンガル翻訳漫画
完全に横書きではないのですが、一つの類型としてバイリンガル形式の漫画についても書いておきます。
基本的に日本のマンガの翻訳ですが、日本語と翻訳先の言語両方書かれています。ページめくりは右から左のまま。
翻訳の記載は枠外の余白も使っています。
新聞マンガ
スヌーピーなどが有名で基本的に4コママンガです。
日本で四コマ漫画というと縦に連なったものを想像しますが、横一列のことも多いようです。
横書きで左から右に読みます。
バンド・デシネ
フランス語のマンガです。形式はアメコミに近いですがページ数が少ないです。
1ページの書き込み量が多く絵画におまけにセリフがついた感じでしょうか。横書きで左から右に読みます。
アニメ化もされたラディアンはバンド・デシネとされることも多いですが基本的に日本の漫画と同じフォーマットという例外です。
理工系の学習漫画
オーム社の漫画やIT系のわかばちゃんシリーズなど理工系の学習漫画では左から右に横書きで書かれています。どちらも日本語の書籍をもとに英語化されているものもあります。
日本の画風そのままだと一番リファレンスとして近いかもしれないですね。解説メインで顔漫画になりがちなのでバトルものの表現が得られないのは痛いですが
縦スクロール漫画
縦スクロールなのでページめくりはないのですがウェブトゥーンやBilibili漫画などは横書きです。
言語は英語や韓国語、中国語あたりが多いです。
所感
最近はiPadでデフォルメされた漫画を描いている人もいるので挑戦してみたいです。