鈴木直栄は昭和38年5月18日生まれ、新潟県出身の陸上自衛官。
防衛大学校第30期の卒業で幹候67期、出身職種は野戦特科だ。
平成30年8月(2018年8月) 防衛研究所副所長・陸将補
前職は第13旅団長であった。
なお、第13旅団長であった時の指導方針は以下の通り。
【統 率 方 針】任務完遂
【要 望 事 項】訓練精到 思いやり 地域とともに
(画像提供:陸上自衛隊第13旅団公式Webサイト)
2018年11月現在、防衛研究所の副所長を務める鈴木だ。
一般人にはほぼ、縁のないポストであり組織だが、陸海空自衛隊の最高幹部に対する教育を行う機能を持つ他、戦史研究・教育に関する成果物を多くリリースし、また自衛隊にフィードバックすることでも知られている。
いわば、防衛省にとってのシンクタンクといった意味合いを持つ組織だ。
また、この組織のトップである所長職は事務官が、副所長ポストを将補の1が務めることになっていることから、鈴木は制服組が務める、もっとも重い責任を任されていると言ってよいだろう。
そんな鈴木だが、やはり印象深い仕事は、前職である第13旅団長のポストだろうか。
第13旅団は、陸自で最初の旅団として1999年に組織改編を経て、2008年には即応近代化旅団として隷下各部隊の再編が行われている。
また、その隷下にある3個普通科連隊もすべて軽編成で、旅団全体の規模も約3700名と非常にコンパクトだ。
にも関わらず、この規模で中国地方5県(山口、岡山、島根、鳥取、広島)を担当地域に収める。
広大な防衛担当地域を持つことはもちろん、これらの県における災害派遣でも主力となることを求められるため、その任務は非常に過酷だ。
ご存知のように、2018年3月から実施されている陸自大改革では、野戦特科や機甲科を始めとした大火力の削減が進められ、方面隊隷下に分散されていた兵力は、方面隊直轄に集約されようとしている。
またこの際、一部の部隊は普通科と共に、即応機動連隊として諸職種協働の部隊へと生まれ変わる新ドクトリンのもとに、新たな運用を開始した。
そして機動力・被輸送力を飛躍的に向上させ、担当地域だけでなく我が国のあらゆる有事に、即応性を持って駆けつけられる体制を整えつつある。
これは言い換えれば、全体としては縮小再編という組織の形を取りながら、陸上自衛隊全体の戦力としては、維持どころかさらなる向上を図ろうとするものだ。
戦力とは、ただ強いだけでは全く役に立たない。
むしろ必要な場所に、必要な時に投入することこそがその強さの要諦と言ってよいが、この第13旅団はいち早く、そのような仕組みに再編を果たした部隊であると言ってよいだろう。
今のところ、隷下部隊に即応機動連隊化のスケジューリングは発表されていないが、その所在地を含め、やがてそのような再編を迎えることになるのではないだろうか。
鈴木はそのような第13旅団を、野戦特科出身で大火力運用のエキスパートとして2016年3月から2年半に渡り率いた。
そして過渡期にあるこの組織を、より精強な集団へと導き、現職に転じている。
では、そんな鈴木とはこれまでどのような経歴を歩み、このような重責を担うことになったのだろうか。
少し詳細に、そのキャリアを見ていきたい。
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