ワーナーの映画版『Portal』プロジェクトは「まだ生きている」と、プロデューサーのJ・J・エイブラムスが語る

『Portal』の「ケーキ」は嘘であったが、新たな事実が明らかになった。J・J・エイブラムスがプロデューサーを務めていた、ワーナー・ブラザーズの映画版『Portal』は現在でも制作が続いているようだ。

4Kブルーレイ版『SUPER8/スーパーエイト』の発表時に、エイブラムスは映画版『Portal』の制作状況についてIGNに語った。「我々の会社には、（ワーナー・ブラザーズで制作している）映画版『Portal』の未完成の台本があります。これから始まる本作の撮影と売り込みはとても楽しみですし、本プロジェクトがとうとう軌道に乗り始めたと感じています」映画版『Portal』は、8年前に制作が発表されたプロジェクトだ。J・J・エイブラムスと、Valveの創設者ゲイブ・ニューウェルは、DICE 2013にて（J・J・エイブラムスの）Bad RobotとValveが映画版『Portal』を共同制作すると発表していた。

エイブラムスは、映画版『Portal』の台本を作った脚本家や、撮影を行う監督についてはまだ公表しなかった。だがエイブラムスは「Portal」シリーズの奥深い物語をさらに広げられる、この機会を楽しみにしていると話す。「本作には、とても大きなポテンシャルが秘められており、それにはさまざまな理由があります。たとえば『Portal』では狭い世界で物語が繰り広げられますが、それは非常に独創的なものです。ポテンシャルをあり余るほどもつ本作の映画を制作するのは、非常に楽しい仕事になるでしょう」彼の言葉から察すると、映画版『Portal』は初代『Portal』に近いものになりそうだ。2007年発売の同作では、Aperture Science研究所の実験体で、言葉を一切話さないChellが主人公だった。彼女はポータルを生成する銃だけを使い、（ほとんど）無人となった研究所から脱出しようとする。暴走した人工知能「GLaDOS」の存在もあり、このAIの台詞によって大体の物語が進行していく。続編『Portal 2』では研究所に秘められていた歴史が明かされ、Aperture Science創設者であるケイブ・ジョンソンも登場する。このキャラクターはJ・K・シモンズによって演じられ、強い印象をプレイヤーに残していった。

J・K・シモンズのケイブ・ジョンソンをぜひ映画でも見たいというファンの声は、エイブラムスの耳に届いていたようだ（なお『スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム』では、シモンズを再び見たいマーベルファンの願いは無事叶った）。

「Portal」映画制作の自由度は比較的高く、エイブラムスとBad Robotスタジオはこの好条件を存分に活用していると見られる。だが世界観に関する設定が膨大な「Half-Life」では、より難しい状況になっていたようだ。2016年9月時点ではBad Robotが映画版『Half-Life』を制作していたが、エイブラムスは「我々は、現在『Half-Life』の映画制作に積極的に関わっていません」と話した。「Portal」と「Half-Life」シリーズは世界観を共有しているが、映画版『Half-Life』を先に制作しなければいけないという条件ではないようだ。ともかく「『Half-Life』映画ではゴードン・フリーマンが喋るべきか、それでも無口でいるべきか」という論争は、しばらく見なくてもよくそうだ。

エイブラムスはワーナー・ブラザーズの元で多くの有名プロジェクトに関わっており、映画版『Portal』はそのうちのひとつに過ぎない。5億ドルの契約をワーナーメディアと結び、エイブラムスはBad Robotスタジオで複数のプロジェクトを進めている。その中でもいちばん目立つのが、今後公開されるDC関連の映画やオンライン配信作品だろう。ワーナーは『名探偵ピカチュウ』や『モータルコンバット』など、ビデオゲームの映画化で成功し続けている。新たに築いたエイブラムス（延長線で考えれば、Valveとも）との関係を活用し、ワーナーはゲーム映画配給の大手として今後も君臨する考えを見せているのだ。

今年で公開10周年となる『SUPER8/スーパーエイト』は、米国で4Kブルーレイ版が5月25日に発売され、デジタル販売も行われる。