Rise of the Ronin - レビュー

物語への没入感から歴史ゲームというジャンルにおいて本作以前と以後で見方が変わってしまうような逸品

『Rise of the Ronin』レビュー 激動の時代を描き切った究極の歴史ゲームであり、時代遅れなオープンワールドアクションRPGでもあるTeam NINJAの超大作
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『Rise of the Ronin』は、「仁王」や「NINJA GAIDEN」で有名なTeam NINJAによる幕末オープンワールドアクションRPGである。本作にはより激しい表現を含むCERO Z版と表現がマイルドになるCERO D版があるが、本レビューはSIEからCERO D版のレビューコードの提供を受けて行っている。また、記載の内容は、Ver1.01に沿ったものとなる。

暗殺された風雲児、攘夷に燃える松陰の弟子たち、開国を迫る異人たち、京の都の治安を担う新選組…… 激動の幕末に生きる彼らと縁を結び、友として苦難を乗り越え、その悲劇的な運命を変えることすらできる。あるいは敵となり、互いの意地をぶつけ合うことができる。さらに関係を深めて恋人となり、のちの世を共に生きる誓いを立てることもできる。

そんな究極の歴史体験を提供してくれる本作は、歴史ゲーというジャンルにおいて本作以前と以後で見方が変わってしまうような逸品であり、幕末という時代と同じく転換点となり得る超大作である。その反面、底が浅いオープンワールド要素など、根本的な部分で少なからぬ問題を抱えており、どこに重きを置くかで評価が一変するような作品だと言える。

プレイヤーがまずはじめに行うことになるのが、2人分のキャラメイクである。本作ではダブル主人公制が採用されており、二人一組での行動を鉄則とする反幕府派の兵士「隠し刀」として育てられた者たちが主人公となる。

キャラメイクは『仁王2』を踏襲した内容となっており、肌の色や顔、身長、体格まで細かく作り込むことができる。<br />
キャラメイクは『仁王2』を踏襲した内容となっており、肌の色や顔、身長、体格まで細かく作り込むことができる。

そして、この主人公たちはよくしゃべる。同開発陣の過去作に当たる『仁王2』や『Wo Long: Fallen Dynasty』に限らず、キャラメイク可能な作品では慣例として主人公がまったくの無口であり、周囲の人間が異常な理解力を持ち合わせていたり、主人公の意思を勝手に代弁しまくるマスコット的な存在が用意されていたりと、そこに不自然さを覚える場面も多かったが、本作ではそういった心配は無用である。

さらにただしゃべるだけでなく、取り留めのない話題からその後の展開に影響を及ぼすものまで、あらゆる場面で選択肢が表示されることから、意思表示の機会は極めて多い。予算の違いによるものか海外の作品ではこういったしゃべるアバター主人公も珍しくはないが、日本企業の作品ではあまり見覚えがない。そういった意味でも転換点となり得るような作品だと言える。

会話イベント

ただし、この2人の主人公は最序盤で道を違えてしまうため、「ドラゴンズドグマ」のポーンのようなつねにそばにいる存在とはなりえない。あくまでもそれぞれがそれぞれの道を歩む「主人公」であるため、理想の相棒を連れ回したいという欲求に応えることはできない。

主人公選択

「SEKIRO」をベースとしながらも、多様な流派の存在など独特な味付けが施された戦闘

要人暗殺などの困難な任務を担う主人公たちは幼年期からの厳しい修行により、刀、大太刀、槍といった和の武器だけでなく、銃剣や大剣といった西洋の武器まで含めたあらゆる武器を使いこなすことができる。具体的な戦闘システムとしてもっとも近い作品を挙げるとすれば、やはり『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』だろう。敵の攻撃に合わせてボタンを入力することで敵の攻撃を弾く「石火」によって「気力ゲージ」を削り、敵の気力を削り切れば「追い打ち」によって強烈な一撃を加えるという、すっかり見慣れたシステムである。

そこまでリッチなモーションではなく、壁際でのカメラワークなどにも難はあるが、効果音や操作性などの戦闘の手触りについてはよいものである。

そして、それぞれの武器には多数の「流派」が存在している。通常攻撃や回避、石火、追い打ちなどほとんどすべてのアクションに専用のモーションが用意されているだけでなく、いわゆる必殺技にあたる「武技」も複数用意されている。たとえば、同じ大太刀を扱うにしても、猿叫で気迫をほとばしらせながら重い一撃を叩き込む「野太刀自顕流」と、斬撃だけでなく体術も駆使する「天然理心流」では、まったく別の武器と言えるほどに使い勝手が異なってくるなど、素晴らしい作り込みである。

武器種は2つまで同時に装備可能で、武器種ごとに3つの流派を設定できるため、合計6つのモーションセットを即座に切り替えながら戦うことが可能である。

流派の概念は敵側にも設定されている。それぞれの流派には有利・不利の相性があるため、敵に合わせた流派の選択が重要となり、戦略性が問われる要素でもある。また、本作では「徒党」と呼ばれるシステムがあり、2人のNPCを含めた最大三人一組でのミッション攻略が可能となっている。それぞれのキャラクターは任意のタイミングで切り替えることまで可能であるため、うまく扱えばより一層有利に戦えるなど、単なる斬り合いに留まらないシステムである。

怪僧<br />

そのほか、鉤縄を用いて敵を投げ飛ばすといった一風変わったアクションが可能となっていることや、弓矢や銃撃に対して石火を行うと、敵に対して弾丸や弓矢を弾き返してダメージを与えられるだけでなく、武器に炎をまとうバフまで施されるなど、いくつもの独自の味付けが施されている。

弾丸を弾き返す以外にも、高所の銃兵を鉤縄で引き落とすなど対抗手段が豊富で、「仁王」などではストレスでしかなかった遠距離攻撃持ちとの戦いに爽快感をもたらすことに成功している。

ただし、こちらの動画にて語られているように本作の戦闘のテーマは「人間が実際に体でできること」である。そのため、超自然的な要素は極力排除されており、『仁王2』で言うところの「術」や「妖怪技」といったド派手な攻撃方法は存在しない。弓矢、銃、手裏剣、手投げ弾、火炎放射器といったサブウェポンは存在しているが、やはり超能力的な武器は存在していない。よく言えば現実的、悪く言えばやや地味な印象を受けてしまうが、これもまた本作独自の味付けであると言える。

先述の矢弾を正確に弾き返す技以外にも居合で斬撃を飛ばすなど、ほとんど魔法のような攻撃方法も少なくないが、基本的には現実に即したものである。<br />
矢弾を正確に弾き返す技以外にも居合で斬撃を飛ばすなど、ほとんど魔法のような攻撃方法も少なくないが、基本的には現実に即したものである。

それでもベースとしては、同開発元の前作『Wo Long: Fallen Dynasty』をはじめとする数々の作品に採用されてきた実績あるパリィシステムであるため、その楽しさについてはお墨付きである。ただ、本作にひとつ問題があるとすれば若干の「テンポの悪さ」だろうか。まず攻防の基本となる気力ゲージは攻撃や回避によって減少する「スタミナ」としての役割も兼ねており、それも割とシビアな調整である。相当うまく立ち回らないとすぐにスタミナが切れてしまい、頻繁に操作不能となってしまうため、テンポが悪く思えてしまう。

刀身に付着した血を払うことでスタミナを一定量回復する「閃刃」など、スタミナを補うアクションも存在しているが、攻防の空白期間が生じるのは避けられない。<br />
刀身に付着した血を払うことでスタミナを一定量回復する「閃刃」など、スタミナを補うアクションも存在しているが、攻防の空白期間が生じるのは避けられない。

剣の達人が多少刀を振るっただけでヘトヘトになるのも逆に非現実的でコンセプトに反しているようにも思え、いっそのこと「SEKIRO」や「Wo Long」と同じく、スタミナ制は廃止してもよかったのでは、と思えてならない。というよりも、実質ターン制であったソウルシリーズの攻防から脱却できるのが「SEKIRO」のいいところだったのに、スタミナ制を採用してしまったら本末転倒な気すらしている。

専用のゲージと引き換えに一定時間キャラを強化する「気炎」を発動すればスタミナが無尽蔵となるが、結局は敵の攻撃を弾く必要があるため言うほど強くなった感じはせず、普段からこれでよかったのではと思ってしまう。<br />
専用のゲージと引き換えに一定時間キャラを強化する「気炎」を発動すればスタミナが無尽蔵となるが、結局は敵の攻撃を弾く必要があるため言うほど強くなった感じはせず、普段からこれでよかったのではと思ってしまう。

スタミナ管理の厳しさについてはプレイヤーの腕の見せどころにもなり得るため、そこはよいとしても、もうひとつ不満な点として一部の敵の攻撃モーションが挙げられる。感覚的な話になってしまうが、たとえば、盾を構えて突進してくる攻撃を例に挙げると、盾が触れる瞬間ではなく、一瞬遅れて盾を突き出してくる瞬間が石火のタイミングであるなど直感に反する攻撃がやけに多い。「『SEKIRO』は音ゲー」とはよく言ったもので、スタミナ切れでリズムが途切れたり、攻撃の見た目と弾きのタイミングにわずかでも違和感があるとどうにもモヤッとした感覚を覚えてしまう。

そして、どの敵も攻撃モーション数が多めであり、露骨なディレイやタイミングが読みづらい連撃なども織り交ぜてくることから、初戦闘で敵の攻撃を捌くことはほとんど不可能だと思われる。

石火は防御でも回避でもなく攻撃モーションの一種であるため、空振ると大きな隙を晒す。ボタン連打でなんとなく成功というのは無理で、敵の攻撃を完全に見切る必要があるという厳しい仕様である。<br />
石火は防御でも回避でもなく攻撃モーションの一種であるため、空振ると大きな隙を晒す。ボタン連打でなんとなく成功というのは無理で、敵の攻撃を完全に見切る必要があるという厳しい仕様である。

しかしながら、「仁王」や「Wo Long」などのソウルライク作品群とは異なり、本作の難易度はそれほど高くない。たしかに敵の攻撃は苛烈であり、少しの油断が死に繋がりかねない調整なのだが、体力回復手段が潤沢であることや多くのボス戦では頼もしい仲間NPCがいること、そして仮に倒れても自動的に仲間NPCに切り替わるほか、倒れた仲間の蘇生もできるため、想像以上にしぶとく戦うことができる。

あくまでも3段階の難易度のうち、中くらいの難易度「黄昏」での経験であるが、ラスボスを含めた大半のストーリー上のボス敵たちは、ボコボコにされながらも初見で撃破できてしまった。本作最大の魅力はストーリーにあるため、死にゲーからの脱却自体は歓迎すべきだと思うのだが、感覚としては手も足も出せていないままに勝利してしまうので、こうなるとどうにもボス敵との戦闘がおもしろいと思えなかった。

たとえるなら、太鼓の達人で2割くらいしか叩けていないのに「ノルマクリア成功~♪」と言われてしまったような感覚。<br />
たとえるなら、太鼓の達人で2割くらいしか叩けていないのに「ノルマクリア成功~♪」と言われてしまったような感覚。

過去には「『SEKIRO』にイージーモードを採用すべきか否か」といった議論があったが、弾きを基本とするシステムの場合、苦労を重ねて敵の攻撃のほとんどすべてを捌けるようになるまでプレイし続けないとおもしろく思えないのだ。実際、敵の動きは全然見切れていないのになんとなく撃破できてしまうと、ひたすらにモヤモヤとした感情が残るばかりであったため、このシステムは「難しいからおもしろい」というのが実態である。それを考慮すると本作は、サクッと気持ちよく戦えるようにやけにシビアな石火のタイミングを緩和するか、あるいは一度や二度では撃破できないようにボス敵をさらに手強くするかといった調整が必要となるだろう。

その点については開発陣も承知しているらしく、本作には「道場」というボス敵との再戦機能が存在している。この機能を用いて延々と同じボス敵と戦っていると随分と楽しく思えてきた。道場での再戦についてはスコアアタックの要素も備えており、専用の報酬やオンラインランキングまで用意されているため、本作の戦闘の真髄を味わいたい方は道場にこもってみることをオススメしたい。

あるいは、早い段階でさらに一段高い難易度「宵闇」に挑戦してみるのもいいかもしれない。もっと言えば、エンディング後に追加される新たな難易度「暗夜」では、それこそ嫌というほど同じ敵と戦い続けることになるため、本作の戦闘を思う存分味わい尽くすことができるだろう。いずれにしても、ただストーリーをクリアするだけではアクションの消化不良感があったため、その点については「仁王」などと同じく、本作もまた「クリア後からが本番」である。

道場の様子

グラフィックの品質から柱となるシステムの不在まで、あらゆる面で時代遅れに思えるオープンワールド要素

身につけた武術を駆使して動乱の世を生きることになるわけであるが、PVでも謳われているとおり、本作の世界はオープンワールドとなっている。横浜、江戸、京都という3つのマップに区切られてはいるものの、どのマップも広大であり、いずれも高い密度を誇る。

少し移動すればならず者たちに占拠された村があり、賊に襲われている行商人を助ける、オオカミの群れに囲まれた町人を救うなどといったランダムイベントもひっきりなしに発生する。

移動中、不意にマーカーが表示される場合があるが、それを追っていくとランダムイベントに出くわすという形式。その頻度は極めて高く、少し馬を走らせるごとに発生する。<br />
移動中、不意にマーカーが表示される場合があるが、それを追っていくとランダムイベントに出くわすという形式。その頻度は極めて高く、少し馬を走らせるごとに発生する。

薄暗い華やかさに湧く遊郭や豪華絢爛な寺院、崖の上に立つ西洋風の館、歴史ある建造物が立ち並ぶ京の都、西洋の軍事技術を学ぶ巨大な演習場、コロリ(コレラの当時の名称)の流行によって荒れ果てた村々まで、多様な姿を見せる。

移動についても快適で、いつでもボタンひとつで呼び出し可能な馬を駆ってあてもなく進んでみてもよいし、屋根や崖際など特定のポイントに向けて鉤縄を放って登ってみるのもよいだろう。そして、高い場所から飛び降りて滑空からくり「アビキル」を展開すれば、一時の空の旅を楽しむことすら可能である。

鉤縄を使用できるのは特定のポイントのみというのは少しばかり残念なところ。<br />
鉤縄を使用できるのは特定のポイントのみというのは少しばかり残念なところ。
「アビキル」は空中で自在に展開、収納が可能であるなどかなりの高性能。<br />
「アビキル」は空中で自在に展開、収納が可能であるなどかなりの高性能。

実際のゲームプレイの感覚としては『Ghost of Tsushima』のそれとよく似ている。ならず者たちが支配する拠点をプチプチと潰して回りながら地域を解放し、収集物を集めて回るなど、少しずつタスクを消化していく感覚は同ジャンルの作品によくあるアレである。

それほど凝ったものではないがステルスアクションも用意されており、やはり「アサシンクリード」シリーズや『Ghost of Tsushima』などとよく似た感覚を覚える。<br />
それほど凝ったものではないがステルスアクションも用意されており、やはり「アサシン クリード」シリーズや『Ghost of Tsushima』などとよく似た感覚を覚える。

そのほかにも、写真機を用いて有名なスポットを撮影する、各地に点在するネコを集める、お尋ね者を始末して報酬を得る、賭場での丁半博打や流鏑馬、射的などのミニゲームなど、ちょっとしたお楽しみ要素も多数盛り込まれており、やるべきことがいくらでも転がっているという一見すると賑やかなマップである。

「ネコ探し」の様子。時にはとんでもないところでくつろいでいるため、どうやって猫の元までたどり着いたものかと思案することになる。<br />
「ネコ探し」の様子。ときにはとんでもないところでくつろいでいるため、どうやって猫の元までたどり着いたものかと思案することになる。

しかしながら、割と早い段階でオープンワールドゲームの大敵となる「飽き」に襲われた。昨今のオープンワールドはシームレスで広大なフィールドは当然として、そこに「狩り」や「クラフト」といった要素を盛り込んだり、「移動自体を爽快なもの」にしたりするなど、さまざまな工夫が施されているわけだが、本作にはそういった体験の柱となるようなシステムが存在していない。それによって、世界を放浪することで得られる見返りがあまりにも少なく、本作の世界でしか味わえない体験があるわけでもないため、探索のモチベーションを保てないのである。

ニワトリや野ウサギといった野生生物を見かけることもあるが、草木や鉱物といったオブジェクトと同様、ボタンひとつで回収可能なオブジェクトという扱いであり、敵として戦うことができる動物はさほど大きくもないオオカミ(犬)と猪のみと、到底狩りとは言えない味気ないものである。そもそも収集した素材で作れるものについても、そこらの店で購入可能な消費アイテムばかりであり、特に中盤以降は大量の在庫を抱えることになってしまったため、あえて収集に赴く意義を感じなかった。

野生生物が登場するのに鹿やクマすらいないのは逆に珍しい気がする。<br />
野生生物が登場するのに鹿やクマすらいないのは逆に珍しい気がする。
ランダムイベントは種類が少なめで、同じ内容のものを何度もプレイすることになる。<br />
ランダムイベントは種類が少なめで、同じ内容のものを何度もプレイすることになる。
お尋ね者についても専用のイベントがあるわけではなく、フレーバーテキストが用意されているわけでもなく、そこらにいる少し手強い敵でしかない。<br />
お尋ね者についても専用のイベントがあるわけではなく、フレーバーテキストが用意されているわけでもなく、そこらにいる少し手強い敵でしかない。
釣り人は各地で見かけるが、釣りはできない。<br />
釣り人は各地で見かけるが、釣りはできない。
町中で武器を振り回すことはできるが、少なくともCERO D版では行き交う町人や作中の重要人物たちに対して危害を加えることはできなかった。<br />
町中で武器を振り回すことはできるが、少なくともCERO D版では行き交う町人や作中の重要人物たちに対して危害を加えることはできなかった。

町人に対する攻撃は当たらないが危害を加えようとしたという事実は考慮され、やりすぎると一時的に岡っ引きに追われる立場となる。そのため、町中で暴れることはできるが、殺されてもチェックポイントからやり直しとなるだけで、捕まって牢屋に入れられたりはしない。逃げ切っても町に人相描きが出回ったりもしない。盗みや強盗などのほかの犯罪も用意されていない。

システムとして凝ったことができなくとも、ほんのわずかでも道ゆくNPCに人間味を感じられたらよいのだが、そういったこともない(正確にいうとジェスチャーに反応してくれるNPCもいるのだが、ジェスチャーを連打するとそのたびに同じ反応を返すなど、あまりにも機械的である)。オープンワールドとしてこの世界に生きていると多少なりとも錯覚させてほしいのだが、本作の世界はあまりにも素っ気ない。

NPC同士で会話をしているようにも見えるが、「そ~そ~!そ~なのよ~!」といった会話にならないセリフが延々とループしており、こういった点でも無機質な印象を受けてしまう。<br />
NPC同士で会話をしているようにも見えるが、「そ~そ~!そ~なのよ~!」といった会話にならないセリフが延々とループしており、こういった点でも無機質な印象を受けてしまう。

また、本作は「仁王」シリーズなどと同じく、ハクスラ(トレハン)形式の装備システムが採用されていることから、『ELDEN RING』などのように特定の場所でしか手に入らない武器や防具は存在しない。その武具についても、揃え効果(同じセットを揃えて装備することで発揮される特殊な効果)の種類が妙に少ないなど、少なくとも初周時点ではハクスラとしても充実した内容とは言えない。

各地に隠された宝箱を開けることで武器防具の新たな外見を解放できるようだが、性能面ではそこらでドロップするものとまったく違いがない。<br />
各地に隠された宝箱を開けることで武器防具の新たな外見を解放できるようだが、性能面ではそこらでドロップするものとまったく違いがない。

装備品とは別枠で本作にはスキル制も採用されているのだが、その内容としては各種のパラメータを多少上下させるようなものが多くを占めている。タイミングよく鍵縄を放つことで敵が使おうとした消費アイテムを奪い取るなど、地味ながらも有用といったスキルもいくつかあるが、戦闘を少しだけ有利にする小技が大半といった印象で、少しばかり物足りなさを覚えてしまったのもまた事実である。

最終的にはすべてのスキルを取得できる形式であるため、ビルド構築といった要素にもつながらない。<br />
最終的にはすべてのスキルを取得できる形式であるため、ビルド構築といった要素にもつながらない。

そのため、キャラクターの成長要素については「流派」および「武技」の習得が主な報酬となるのだが、こちらについては後述の各キャラクターとの交流が主な習得手段となる。ミッションを攻略してその流派を持つキャラクターと知り合い、アイテムをプレゼントするなどして各キャラクターと関係を深めたり、道場でボス敵と再戦した際の報酬となっていることから、オープンワールドをいくら放浪したところで流派の習熟には繋がらない。

特定のお尋ね者を討伐することで流派を取得できる場合もあるが、それも序盤で打ち止めとなる。<br />
特定のお尋ね者を討伐することで流派を取得できる場合もあるが、それも序盤で打ち止めとなる。

そもそも「道場」と聞いたら、その流派を極めるべく鍛錬に勤しんで腕を上げ、弟子を倒して序列を上げ、師範を倒して免許皆伝などといった内容が思い浮かぶが、本作における道場の機能は「ボス敵との再戦機能」のみであり、そんな気の利いたイベントは存在しない。

キャラクターとの交流で技を習得する形式であることはよしとしても、「坂本龍馬」から「北辰一刀流」の手ほどきを受けるといったイベントが用意されているわけでなく、出会った直後にいつの間にやら流派を習得しており、イベントをこなしたりアイテムを貢いだりしているうちに勝手に武技を覚えてしまう。「剣の道はコネにあり」と言わんばかりの仕様であり、ひとつの流派を極めている感覚はなく、どうにも不自然さが拭えない。

また、各流派の習熟状況は初伝、中伝、皆伝、極伝の4段階に分けられており、初伝時点で2つの武技を備えているが、習熟によって増える技数自体はひとつだけであるなど思ったよりも変化がない。流派は本作の要であるため、もうちょっとどうにかならなかったものかと不満に思えてならない。

一部の武技は習熟によって「奥義」へと至り性能が強化されるなど、決して変化がないわけではない。<br />
一部の武技は習熟によって「奥義」へと至り性能が強化されるなど、決して変化がないわけではない。

収集要素や成長システムに不備があっても、魅力的な風景が多数あればそれだけでもよかったのだが、なんというか本作はマップデザインについてもよくも悪くも現実的である。多数配置された有名な神社仏閣には厳かな雰囲気があり、町の中心部では寿司屋やウナギ屋が立ち並んでいたりもする。港町では遠くに異国の船が多数浮かんでいる。遊郭はギラギラと怪しい雰囲気を醸し出していたりもするが、その大半が想像の域を超えてこない。つまり、どこの風景もある種のハッタリが効いておらず、一瞬で心を奪われるような絶景は見当たらなかったように思う。

寿司屋はあっても寿司は買えない。遊郭はあっても客として通えたりはしないなど、建築物のほとんどは単なる背景でしかないという点もまた残念な部分である。<br />
寿司屋はあっても寿司は買えない。遊郭はあっても客として通えたりはしないなど、建築物のほとんどは単なる背景でしかないという点もまた残念な部分である。

敵のデザインについても同じ傾向にあり、本作では超自然的な敵が存在していないことから、一目でヤバいと思うような怪物にバッタリ出くわして逃げ回るなどといったオープンワールドの醍醐味についても体験することはできなかった。

さらに悪いことに、グラフィックについても低い水準にあり、全般的に『仁王2』あたりと大差がないように思える。光源などの条件が揃えば十分美麗に思える瞬間もあるが、PS5独占であることを踏まえるとやはり物足りない。見た目だけでなく、オブジェクトのポップアップが頻発するなど、パフォーマンスの面にも不安を抱えている。『仁王2』はステージ制であるため単純な比較はできないが、オープンワールドとグラフィックの品質は切っても切れない関係にあることから、ここには全力を注いでもらいたかったというのが本音である。

特に違和感があるのが木の品質だろうか。葉の部分のテクスチャが粗すぎてひどく安っぽい印象を受けてしまう。ここが多少マシになるだけでも随分とよくなると思うのでアップデートに期待したい。<br />
特に違和感があるのが木の品質だろうか。葉の部分のテクスチャが粗すぎてひどく安っぽい印象を受けてしまう。ここが多少マシになるだけでも随分とよくなると思うのでアップデートに期待したい。

グラフィックだけでなく、全般的なモーションについても若干ぎこちなく思えるなど、あらゆる面で前時代的な印象が拭いきれない。オープンワールドというだけで賞賛される時代はとうの昔に過ぎ去っており、現在は広い世界は当然としてそこでどういった遊びを提供するかが焦点となっているように思うが、本作はその期待に応えられるような世界ではない。

ただし、もうひとつオープンワールドと切っても切れない関係にある「バグ」についてはほとんど遭遇することがなかった。強いて言えば、あるミッション中に完全に姿が透明なザコ敵が登場したくらいだろうか。あくまでも筆者の経験であるが、比較的動作は安定していたように思う。こちらについては長い開発期間が功を奏した美点と言えるかもしれない。

ボリューム感と分岐の多さを両立し、激動の幕末を見事なまでに描き切ったストーリー

Team NINJA初の本格的なオープンワールドということを考慮しても、あらゆる面で足りない部分が目立つ本作であるが、そんなことが些細な問題に思えてくるくらいに作り込まれているのが、膨大な数のキャラクターたちが織りなす物語である。

マシュー・ペリー暗殺のために黒船に乗り込むといった衝撃的な場面から始まる物語は壮大さと分岐の多さを極めており、仮に歴史に興味がなくとも名前だけは覚えているであろう「桜田門外の変」などの大事件にプレイヤーの分身が立ち会え、さらに史実と同じ道を歩むか、まったく別の道を進むかという大きな決断を迫られる。無論、これによって人物の生死に影響を与えることもある。歴史的に大きなイベントが始まるごとにそういった重大な選択肢が示されるため、歴史を変えてしまうのではないかという重みに身が震える思いであった。

あまり分岐が多いと、特定の年代のみを切り取ったこじんまりとした物語になってしまいがちだが、本作ではまったくそういったことはない。安政の大獄、新選組設立、池田屋事件など、幕末を象徴する事件はだいたい網羅されている。

「鳥羽伏見の戦い」の開戦を食い止めるなどといったあまりにも大きな歴史改変は起こせなさそうな感じであるが、プレイヤーの介入によって一方の勢力は勢いを増し、もう一方の勢力では不幸な出来事が起こる。そして、味方となったキャラからは信頼を得て、敵となったキャラからは根に持たれるなどのちの会話イベントにまで影響を及ぼすため、変化を強く実感できる。大きな時代の流れに飲まれながらも、意思表示の機会が多数用意されたプレイヤーの分身として歴史に介入できる本作は、まさしく究極の幕末ゲーである。

そして何よりも、キャラクターの数が凄まじい。言わずと知れた「坂本龍馬」や新選組局長「近藤勇」などのほかにも、「伊藤博文」や「福沢諭吉」などのこれまでゲームとして取り上げられることのなかった有名人。そこそこ歴史に興味があると自負している筆者でも誰?と思うような異国から来た植物学者まで、実在の人物をモデルとしたキャラクターたちが本当に数えきれないほど登場する。

ゴリゴリマッチョな怪力僧侶爺さんから、男装の新撰組隊士、恋に燃える道場の娘など、デザインとしても秀逸な濃いキャラばかりで、つねに楽しい会話劇を味わえる。<br />
ゴリゴリマッチョな怪力僧侶爺さんから、男装の新撰組隊士、恋に燃える道場の娘など、デザインとしても秀逸な濃いキャラばかりで、つねに楽しい会話劇を味わえる。

しかも、各キャラクターにはいわゆる友好度にあたる「因縁値」が個別に設定されており、特定のアイテムをプレゼントするなどして絆を深めれば、専用のイベントミッションが発生し、そのキャラクターの人となりを知れるだけでなく、紡いだ因縁がのちの世に影響を及ぼすことすらある。関わり合いの薄い脇役だと思っていたキャラが他の重要人物の生死すら左右する可能性があるなど、思わぬ形で影響を及ぼすことも多く、本作の物語にどうでもよい脇役は1人たりとも存在していない。

医者や学者などと因縁を結んでいけば、それぞれの知識・経験の橋渡しができ、幕末の日本で猛威を振るった労咳(結核)の治療法さえ発見できるかもしれない。その結果として、この病に倒れたはずの彼を救えるかもしれないと言ったら、信じられるだろうか。

序盤で始末してしまったあいつを生かしていたら、のちにどういう影響があったのだろうか、と考えるのも楽しい。<br />
序盤で始末してしまったあいつを生かしていたら、のちにどういう影響があったのだろうか、と考えるのも楽しい。

それだけに留まらず、多くのキャラクターには「好感度」の概念が設定されており、最大まで高めれば「比翼の契り」を結ぶことができる。これは要するにロマンス関係であり、関係を結ぶ際やそのあとに専用の会話イベントが用意されているほか、特定のミッション中の会話が変化したりとストーリーにも大きな影響があるようだ。

教科書の落書き対象でしかなかった、あの「マシュー・ペリー」と懇ろな仲になれる。<br />
教科書の落書き対象でしかなかった、あの「マシュー・ペリー」と懇ろな仲になれる。

さすがにすでに伴侶や婚約者がいる人物とは比翼の契りを結べないようだが、ストーリーの進行に伴って未亡人やフリーの立場となったものとはちょっとしたイベントのあとにロマンス関係を結べるようになるなど、なんだかすごい作品である。

さらにいうと、筆者は怖くて試せなかったが、同時に複数人と比翼の契りを結ぶことまで可能となっているらしい。もしかすると、かの有名な屋根裏のアイツみたいな状況になってしまうのだろうか、それとも特にお咎めなしなのだろうか。こうした下世話な話に興味を抱くこと自体、これまでの同開発陣の作品にはなかったおもしろさである。

比翼の契りを結ぶ際のイベントについても、プレイヤーから告白する、各キャラクターから告白されるという2パターンあるなど、妙に気合いが入っている。<br />
比翼の契りを結ぶ際のイベントについても、プレイヤーから告白する、各キャラクターから告白されるという2パターンあるなど、妙に気合いが入っている。

ひとつ残念な点を挙げるとすれば、男女の区別のなさである。女性を主人公とした場合であってもストーリーミッションの都合上、平然と遊郭での遊びに誘われるなど、性別による違いはないらしい。そもそも拠点にていつでも性別を含めたすべての容姿変更が可能となっていることを踏まえると、やはり区別はないのだろう。

もうひとつの問題として、オープンワールド要素とキャラゲー要素が分断されているという点が挙げられる。各キャラはマップの決められた場所で延々と棒立ちしており、その場からまったく動かない。せっかくのオープンワールドなのだから共に冒険できたり、ロマンス関係になったキャラとデートができたり、各キャラクターが特定の生活リズムでマップを徘徊していたりといった仕掛けがあれば、相乗効果でよりよい作品になっていたと思えるだけに残念に思えてならない。

徒党システムによって、一部のミッションではその場にいるはずのないキャラを連れていけたりもするが、筆者が試した限りでは選択したキャラによって会話内容や展開が変わるといったことはなかった。<br />
徒党システムによって、一部のミッションではその場にいるはずのないキャラを連れていけたりもするが、筆者が試した限りでは選択したキャラによって会話内容や展開が変わるといったことはなかった。

激動の幕末を描き切ったメインミッションだけでなく、各キャラクターごとに用意された複数の因縁ミッション、別枠として存在する各町の小さな事件などを追う浪人ミッションなどにより、本作には膨大な数のミッションが存在している。散々述べてしまったとおり、本作のオープンワールドとしての完成度は低いため、中盤以降はクエストマーカーをひたすらに追うだけの作業と化してしまったが、それでも十二分に楽しいと思えるゲーム体験であった。

それぞれのミッションは『仁王2』などと同じく、専用のエリアが用意されたステージクリア形式と、オープンワールドマップを流用したものの2種類が存在する。<br />
ミッションは『仁王2』などと同じく、専用のエリアが用意されたステージクリア形式と、オープンワールドマップを流用したものの2種類が存在する。

そして、本作はマルチエンディングが採用されている。ミッション中に表示される選択肢については「佐幕派」につくか「倒幕派」につくか、といったわかりやすい選択肢だけでなく、重要な機密文書を誰に渡すか、といった後の影響が読めない選択肢も多数用意されている。

それに加え、先述の因縁システムにより、多数のキャラクターたちが複雑極まりない人間関係を構築することとなり、まったく先の展開が読めないままに物語が進行していく。思えば明治維新とは、それぞれの陣営がそれぞれの信念のもとに最善を尽くした結果である。この「手探り感」こそが幕末であるとも言え、このような形で時代を表現しきった本作の物語にはただただ感服するばかりである。

イベント中の画作りやセリフ回しにもかなり力が入れられており、どのシーンも印象深いものとなっている。<br />
イベント中の画作りやセリフ回しにもかなり力が入れられており、どのシーンも印象深いものとなっている。

非常に残念なことに時間の都合上、レビュー執筆時点ではほかのエンディングを確認できなかったが、レビューを書き終えたあとはすぐにでもほかのエンディングにたどり着くべくプレイを続けていきたいと思う。筆者のような分岐をすべて確認したくなるプレイヤーのためか、本作には「留魂録」という、ストーリーが分岐する地点に戻って選択をやり直せるシステムが搭載されている。長い物語を一からやり直す必要はなく、時間と手間への配慮についても完璧である。

「留魂録」解禁時に表示される「歴史を変えられるかもしれない」という一言に胸が躍らない歴史好きはいないだろう。<br />
「留魂録」解禁時に表示される「歴史を変えられるかもしれない」という一言に胸が躍らない歴史好きはいないだろう。

『風雲 新選組』、『剣豪3』、『憂世ノ志士・憂世ノ浪士』、ちょっと違う気もするが『侍道4』などなど、思えば多数の幕末ゲーをプレイしてきた筆者であるが、積年の夢が叶ったような思いであり、このような作品を生み出してくれた制作陣には感謝しかない。

最後にボリュームについては語っておくと、中盤以降はひたすらにクエスト発生地点まで走っていただけであったが、それでもクリアまでに55時間余りという長い時間を費やすこととなった。未着手のミッションも数えきれないほど存在しており、時間の制約から多くのキャラクターとのイベントをこなせておらず、大雑把な推測では全イベントのうちの半分ほどしか見ていないような気さえしている。

選ばなかった選択肢はそれこそ数えきれないほど存在しており、もう少しうまくやれば命を救えていたのでは、と思えるキャラクターも幾人か存在している。まだ確認できていないエンディングがあることなども踏まえると、未だにまったく全容が見えてこないという、凄まじいボリューム感である。クリア後にはさらなる難易度が解禁され、武具にもう一段高いレアリティが追加されるなど、おまけ要素も充実しており、遊びつくすのにどれほどの時間が必要となるのかまったく予測がつかない。

筆者も散々書き連ねてしまったようにオープンワールドアクションRPGとしての出来映えにはケチもつくだろう。しかし、それだけで本作を捨て置くことはできない。そこには圧倒的な魅力をまとった幕末の物語がたしかにあるのだ。本作はまさしくTeam NINJAが誇る超大作、そして歴史ゲームの新たな夜明けと言えよう。

長所

  • 膨大な選択肢と分岐により、歴史好きの積年の夢を叶えるストーリー
  • 脇役のいない魅力あふれるキャラクターたち
  • 幕末に生きるキャラたちの友となり、敵となり、恋人となれる「因縁」システム
  • 多彩な武器種と「流派」による堅実ながらも楽しい戦闘

短所

  • 見返りの少なさなど、数多くの問題を抱えるオープンワールド
  • 相性が悪い「SEKIRO」風の戦闘システムとスタミナ制

総評

幕末を題材とした歴史ゲームとして見れば、知り得る限りの言葉で賞賛したくなるが、最新のオープンワールドゲームとして見れば、時代遅れにも思える内容に口をついて出るのは不満ばかりという、なんとも評価に困る作品である。オープンワールドアクションとしての完成度のみを勘定すると1点、下手をすると2点低いスコアと感じてしまう人もいるだろう。しかしながら、その物語への没入感は特筆すべきものであり、歴史ゲームというジャンルにおいては本作以前と以後で見方が変わってしまうような逸品である。だからこそ歴史好きの積年の夢を叶える本作を、筆者は高く評価したい。

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Rise of the Ronin

Team Ninja
  • Platform / Topic
  • PS5

『Rise of the Ronin』レビュー 激動の時代を描き切った究極の歴史ゲームであり、時代遅れなオープンワールドアクションRPGでもあるTeam NINJAの超大作

9
Amazing
幕末歴史ゲームとしては金字塔となり得るが、オープンワールドアクションとしてはあまりにも味気ないという、何を重視するかで大きく評価が分かれそうな超大作。
Rise of the Ronin
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