メインコンテンツにスキップ

宇宙も民間時代に突入!スペースX社が船外活動用の宇宙服を発表

記事の本文にスキップ

15件のコメントを見る

著者

公開:更新:

この画像を大きなサイズで見る

 今月4日の「スター・ウォーズ」の日、ご存じイーロン・マスク氏率いるスペースX社が、宇宙空間での船外活動用の宇宙服「EVAスーツ」を発表した。

 これは同社が推進している商業宇宙飛行計画「ポラリス計画」の一環、「ポラリス・ドーン・ミッション」で使用されるもの。

 NASAのこれまでの宇宙服とは一線を画すような仕上がりの宇宙服のデザインを見てみよう。 

The Extravehicular Activity (EVA) Suit

史上初!商業宇宙飛行士による船外活動用の宇宙服

 この宇宙服は、スペースX社が推進する「ポラリス計画」での使用を目的に開発されたものだそうだ。

「ポラリス計画」とは、有人宇宙飛行の進歩を目的とするもので、その第一段階として、今年中にも「ポラリス・ドーン(Polaris Dawn)・ミッション」が実施される予定である。

 この計画は世界で初めて商業宇宙飛行士による船外活動を行うもので、地上約700㎞での宇宙遊泳など、5日間にわたるミッションが予定されている。

 今回発表された宇宙服は、このポラリス・ドーン・ミッションで実際に着用されるデザインとのこと。

最新の素材と独自の技術が詰め込まれた一品

この画像を大きなサイズで見る

 素材はスペースX社独自開発による耐火性のストレッチ素材。高温・低温に耐え、柔軟性もばっちりだ。なお、船外活動用の宇宙服が白いのは、太陽光対策なんだそうだ。

この画像を大きなサイズで見る

 肩や肘、膝、指などの関節部分には、独自の関節設計が取り入れられ、スムーズなムーブメントを確保している。

この画像を大きなサイズで見る

 3Dプリントで作られたヘルメットには、最新のヘッドアップディスプレイ(HUD)が搭載されており、宇宙服の圧力の状態や温度、湿度に関する情報が表示される。

 またバイザーには船外活動中の眩しさを軽減する機能がついており、内側には防曇処理が施されているそうだ。

この画像を大きなサイズで見る

「宇宙服」のイメージを塗り替えるスタイリッシュなデザイン

 全身のデザインはこんな感じ。船外活動用にしては、かなりスリムで革新的なスタイルだ。これまでの宇宙服のイメージが覆りそう。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:X

 宇宙服と一口に言っても、船外服のほかに打ち上げ時や帰還時に着用する与圧服、宇宙ステーションでの居住時に着用する船内服などいくつもの種類がある。

 スペースXでは既に船内服は実用化していて、実際に着用されている。宇宙飛行士の野口さんが、同社の宇宙服を紹介する動画があるので、ぜひこちらも見てほしい。

野口宇宙飛行士の宇宙暮らし054 SpaceX 宇宙服解説

 NASAの与圧服はオレンジスーツと呼ばれ、緊急時に脱出・避難する事態を想定したものだ。名前の通り鮮やかなオレンジ色をしているが、これは万一の不時着時に発見しやすいようにとの理由もある。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Kim Shiflett, Public domain, via Wikimedia Commons

 こちらは時代を感じさせる、アポロ11号当時の宇宙服一式。当時は打ち上げから帰還まで、ずっとこの宇宙服を着続けていたわけだから、相当大変だったに違いない。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:NASA, Public domain, via Wikimedia Commons

  ちなみに現在アメリカが採用している船外活動用の宇宙服は、1着あたりの値段が1,000万ドル(現在のレートで約15億5千万円)もするんだそうだ。

 今回のスペースX社の宇宙服がどのくらいのお値段なのかは不明だが、将来的には月はもちろん、火星への都市建設まで見据えているらしいイーロン・マスク氏。

 どうやら宇宙服の量産化まで視野に入れているようなので、そのうちにお値段も劇的に下がるのかもしれない。

 最後に野口宇宙飛行士による、船外活動用宇宙服の詳細な説明動画も貼っておこう。今回のスペースX社のモノではないが、宇宙空間で活動するために、どれだけの機能が装備されているのかがよくわかる映像になっている。

 11分強の動画だが、興味のある人はぜひ見てみてほしい。

野口宇宙飛行士の宇宙暮らし 021船外活動用宇宙服

References:SpaceX Unveils Extravehicular Activity Suit For Astronauts To Go On Spacewalks / written by ruichan/ edited by parumo

同じカテゴリーの記事一覧

この記事へのコメント、15件

コメントを書く

  1. ロストテクノロジーだった宇宙服が新しく作られるようになったか
    後は実際に事故がおきないかだね

    1. >>2
      この手の”ロストテクノロジー”は単に量産性を加味していない
      あるいは生産する必要性が無かったために失われただけであって、
      宇宙服が(新規に)造れないというわけでもない(※予算があれば)

      >>8
      EVAとIVA兼用だそうです。基礎機能は内包されているっぽい
      船外での長期活動用には別途バックパックがあるとおもうのだけど
      その手の動画はちょっと漁っただけではみつからなかった

  2. >当時は打ち上げから帰還まで、ずっとこの宇宙服を着続けていた

    アポロ宇宙船内にいる時は専用の船内服を着ていました。
    IGS(Inflight Coverall Garment)
    https://airandspace.si.edu/collection-objects/inflight-coverall-garment-jacket-collins-apollo-11/nasm_A19791813000

    スペースXの船外服はつるんとしすぎていて、例えば命綱は何処につけるとか緊急用の装備はどうするのか解らなくて心配になる。

  3. ヘルメット内の蚊を退治したり嘔吐物を処理する機能はまだかな?

  4. なんつーか、姿勢の悪いサルみたいだな…
    そのうち見慣れとは思うけどさ

    ゴテゴテメカメカしてる方が個人的には好み
    圧力とか応力の集中を防ぐなら、角が無い方が良いのは分かってるけど、なんかねー

  5. ガンダムに出てくるノーマルスーツっぽい
    けどこれ生命維持装置はどこに?
    船外服ではない?

    1. >>8
      足あたりに空気を入れたり、諸々の電子機器をつなぐためのコネクタがある
      宇宙船とつながって潤沢なリソースを受けることもできるし、
      ポータブルを繋いで完全リモートになることもできる

  6. 宇宙服は小さな宇宙船のようなものだと誰かが言ってた
    昔のものと比べてスマートになり、まるでレーシングスーツのようだね

  7. いまのNASAとスペースXは蜜月関係だから…
    アルテミス計画の遅延がスペースXのスーパーヘヴィロケットの開発遅延絡み程度には、スペースX頼りの部分がある

  8. 実際にはこれに加えてでかいバックパックを背負う事になるだろうからもっとゴツくなるだろうが、今までの宇宙服と比べるとノーマルスーツにかなり近づいた感じ。とはいえノーマルスーツのように一気圧に与圧されてささっと着たり脱いだり出来る宇宙服にはまだまだ遠いのだろうな。

  9. 宇宙服技術はずっと停滞してたからこんだけかわるのもさもありなんだけど、流石に変わりすぎて心配になるなw守りがうっすい様に思えるw

  10. そいえば去年NASAも新型の宇宙服を発表してたな
    NASAの方は割と見慣れた感じのの見た目だったな
    中身は最新だろうけど

  11. 冷風って事は水冷下着着なくていいのかな?だとしたらめっちゃ軽いやん!

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

最新記事

最新記事をすべて見る

  翻译: