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運動欲求を刺激する筋肉のタンパク質を特定。運動をするほど、もっと運動を続けたくなる

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 運動が体に良いことはみな知っている。だが問題は運動をするのが面倒くさく感じることだ。そんな運動嫌いが運動を続けるコツがある。それは運動をすることだ。

 『Science Advances』(2024年8月14日付)に掲載された新たな研究では、運動をすると働き出す筋肉タンパク質が、運動の”やる気スイッチ”であるらしいことを明らかにしている。

 つまり、運動を日常生活に取り入れるには、どんなに億劫でも、とりあえず運動を始めて続けることだ。するとやる気スイッチであるタンパク質が活性化し、もっと運動をするよう脳にシグナルを出すのだ。

 研究チームは、この発見が世界中で問題となっている肥満の予防や治療の鍵を握っていると考えている。

運動のやる気スイッチ、筋肉たんぱく質

 スペイン国立がん研究センターのチームは、マウスを運動させて、筋肉が繰り返し激しく収縮すると何が起きるのか確かめてみた。

 すると、「p38α」と「p38γ」という2つのタンパク質の働きが活性化することが明らかになったのだ。

 研究チームによると、この2つのタンパク質がどれだけ働いているかが、運動の”やる気スイッチ”の入り具合を左右しているという。
 特に後者のp38γが活性化すると、「インターロイキン15(IL-15)」(これもタンパク質の一種だ)という、もう1つのやる気スイッチが作られる。

 血液中にIL-15が増えると、脳の運動皮質に直接作用して、もっと運動したいという気になるのだという。

 とりわけ定期的に運動されたマウスでは、p38αよりもp38γがよく活性化した。このことから、運動自体に運動のやる気を呼び覚ます効果があると研究チームは推測している。

 それはもちろんマウスの健康にも良い。高脂肪食で肥満にしたマウスを定期的に運動させると、代謝が改善し、特に肝臓の脂肪蓄積や糖尿病を予防してくることが確認されている。

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photo by Unsplash

人間の肥満対策に

 ちなみにこうしたやる気スイッチは、人間でも確認されている。運動をすると、マウスと同様に、筋肉内のp38タンパク質が活性化し、血中のIL-15が増えるのだ。

 研究チームは、こうしたタンパク質は肥満対策の鍵を握っていると考えている。

 肥満は、世界で一番普通に見られる代謝性疾患だが、その予防にも治療にも効果的なのが定期的な運動だからだ。

 そこで研究チームは次のステップとして、血中のIL-15量で本当に運動のやる気を知ることができるかどうか確認しようとしている。

 これが確認されれば、運動の種類(たとえばウェイトトレーニングやランニングなど)によって運動のやる気スイッチの入り具合に違いがあるのかどうか、太っている人とそうでない人で効果に違いがあるのかどうかといったことを研究できるようになる。

 こうした知識があれば、肥満防止により効果的な運動メニューを考案することもできるだろう。

 またどうしても運動が嫌な人のために、やる気スイッチを入れるIL-15薬を作るなんてこともアリであるそうだ。

References: Remodeling p38 signaling in muscle controls locomotor activity via IL-15 | Science Advances / Muscle Proteins Trigger Desire for Exercise - Neuroscience News

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この記事へのコメント、15件

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  1. 10年以上定期的にジョギングや筋トレをしてるけど、時折一切運動したくないみたいな気持ちになって長いときは半年くらい運動しないことがある
    怪我をしたとか仕事やプライベートで大きなストレスがあったとかじゃなく急に運動へのやる気がなくなる
    でも「あー最近運動してないから久しぶりにやるかー」って始めるとまた運動する習慣を取り戻す
    「p38α」もしくは「p38γ」が何らかの原因で不活性化してるのかな?

  2. おかしいなあ。健康のために10年以上ウォーキング続けてるけど、毎朝すんごいストレスだよ。

  3. 人間の身体って依存症になるためのシステムが組み込まれているよね

  4. 使わないと思って鍛えない奴はそういう脳みそになっちゃってるんだよな
    家族や医者に注意される頃には、もう足腰弱って運動どころじゃなくなってるってオチ

  5. 次は運動を続けるスイッチが入るほど運動を続けられるようにするスイッチを見つけて頂きたい。

    1. >>5
      人間は適応する動物だから最初は弱い負荷で初めて徐々に負荷をあげるようにしましょう。
      今毎日5分歩けるなら最初の3週間は10分あるき、その次の3週間は15分歩くとかね。一時間歩けるようになったらあとは好きなようにあるいていいでしょう。
      毎日歩けるレベルじゃなかったら三日置きに5分で三週間続けられたら、二日おきに5分で三週間、そして一日おきで三週間あるいたら、毎日歩けるようになるでしょう。
      骨格筋はいくつになっても鍛えられるから関節と相談しながら徐々にね。ガンバって!

  6. 運動嫌いな人向けIL-15薬、副作用は突然のマラソン大会参加
    マウスの筋トレ成果、チーズよりプロテインを選ぶ日も近い?

  7. 運動に限らずやる気に慣性があるタイプの私からすると、人体の仕組みとしてそうなってたのかーと凄く納得したわ

  8. 昔のヨーロッパで不眠不休で踊り続けて過労死するって話なかったっけ?
    この記事の話と何か関係あるかな?

    1. >>8
      あれは、麦角菌中毒による向精神作用が原因って説がある。

      他には、何らかの不随意運動を伴う病気の人が発端となり
      社会不安を背景にカルト的な集団ヒステリーが起こったとか。

  9. 「運動を続けるということは、運動を続けるということなんですよ」

  10. 前日の寝る前はやる気満々でめっちゃ盛り上がってるのに朝起きたらメチャテンション下がってる時多い。

  11. ダイエットのために筋トレ始めて半年経ったけど痩せるどころか体重増えちゃった

    1. 筋肉が増えたのでは?
      もしそうなら、将来的には代謝の良い身体になってきてると言えますよ。素晴らしいことです!

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