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【雑記】『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』を30時間遊んで見えてきたモノ

2023年05月17日
ゼルダの伝説 0

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新生ゼルダシリーズに切り込む雑記。


ティアキンのプレイ時間が30時間に達した。

発売日から一週間も経っていない状態で"30時間"というのは、一般的に見てかなりのペースなのでは…!?

これには、ティアキンが何者なのかを一刻も早く見定めたいというレビュアー魂と、それから単純に面白くてプレイし続けてしまうというゲーマー心が原動力になっている。もっとも、「ゲーマーの世界では一日で27時間遊ぶ」ナンテTwitterで話題になってたが…。



30時間遊んで見えてきたモノ

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本作を30時間遊んでみた時点で、「思ったよりも順当な拡張だな」というのが全体の印象になる。
もっと大胆に言うと、「これ新作というか、大型DLCだな」という風にも。

筆者にとってのブレスオブザワイルド(以下ブレワイ)といえば、「スポットの発見」「初見の驚き」に全てを振り切ったアトラクション特化のオープンワールドというOWの中でもかなりの異端児だったのだが、ティアキンではそのゲーム性からガラリと一変してくる…ということはなく、思ったよりも地続きで繋がっていた。前作で見飽きるほど集めきっていた素材アイテムや服と全く同じものをまた一から集め直すことにもなるので、新作というよりも「アレンジされた2周目」を遊んでいるような感覚に陥った瞬間も多々ある。

今回もまたハイラルを駆け回り、「祠」と「塔」を開放していくことがメインのゲーム性になる。2年前にブレワイを100時間遊んで祠をコンプリートした筆者でもややダレてくる感じはあったので、前作をやり込んだプレイヤーほど食傷気味になるんじゃないかという懸念も。こういう風に言うと未プレイ勢からは「いやいや、今作はハイラルよりも上下の新フィールドだろ!?」というツッコミを入れられそうだが、まさにその新要素として売り出されていた「空島」と、それから先日遂に公式でも発表された「地下世界」は予想していたよりも遥かに密度が薄く、スカスカだった。空島についてはチュートリアルがクライマックスであり、本編で出てくる分は「ミニゲームが用意された小島」程度で、ダンジョンというよりはオマケ扱いな印象。地下については空間自体はかなり広く用意されているものの、広さに対してスポットもイベント数も極端に少なく、"ただ無心で移動し続けるだけ"が地下プレイの95%を占めてしまう。よって、確実に楽しみたい場合は結局、今作でも引き続きメインフィールドである「ハイラル」に帰ってくることに。

ここで補足しておくと、ハイラルは前作から様々なアレンジや追加が加わっており、地帯によっては前作をプレイしていても新鮮な気持ちで楽しむことが出来る。また、各地にはちょっとしたミニダンジョンである「洞窟」も加わっており、場合によってはその最奥の宝箱でユニークアイテム(服)が手に入ることもあるので、探索の楽しさが増している。なのでハイラル探索については「祠」「塔」「洞窟」「コログ」となり、前作よりもちょっと豪華になった印象だ。

しかし、ハイラルのアレンジも一長一短で、前作ではボス魔物やギミックが用意されていた地点が、今作からは「何かありそうな景観はそのままに、特に何も起きない空間」へと変貌してしまっているものが多かったのは残念だった。この点からも、ハイラルに関しては純粋な追加というよりも「変化」と表現した方が適切らしい。

今作もブレワイと同様、フィールドを駆け回って「祠」と「塔」を開放し、ストーリーは各地に散らばった記憶の断片から補足していくことになる。メインのゲーム性には特に変化が見られなかったことはやや残念だ。

魔物・敵生物に関しては体感で「前作の3倍以上の種類」になっているので、前作の「広大な世界のどこに行っても同じゴブリンが居る」という状況は見事に打破されていたのが痛快だった。魔物の生息地に関しても恐らく今作から固定制になっており、進行に応じて全域の魔物が一斉強化されるのではなく、「今の自分の強さに見合った地帯で修練を積み、そこから徐々に強い敵が居る地帯に活動範囲を広げていく」というゲームらしいゲームになっている。これはかなりモチベーションに繋がる。

「具材が増えてちょっと豪華になったブレワイ2周目」
30時間プレイし、大ダンジョンを一つクリアした現時点ではティアキンに対してそんな印象。
育成や戦闘などといったコア寄りの要素については、現状では特に拡張されていないように見える。

個人的にはブレワイ式のゲーム性はもう前作の時点でお腹いっぱいになっており、続編ではこれまでに無い全く新しいゲーム性を見せて欲しかったのでその点は残念だったものの、グラフィック、パフォーマンス、ボリューム、サウンドなどを含めた総合的なクオリティは高いので及第点といったところ。「買って損をした」というようなことは全くない。



何故、人はブレワイ、ティアキンにハマるのか?


これについても思い付きで哲学してみたのだが、結論から言うと「ネットサーフィン型のゲーム性」だからじゃないかと思う。

ブレワイと言えば、何か遠景で気になる地点を見付けてそれに近づこうとする内に、道中でもまた新たに気になるものが出てくる。そのお陰で、時には本来の目的を忘れて別のことに没頭していたりもする。遂に目的地に着いて一休止していると、もう一つ気になる地点が視界に映り、また駆けだしたくなる。こうやって数珠つなぎ式に好奇心から好奇心へ…。これは多くの肯定的なレビューで見られた感想でもあるが、筆者はまさにこれこそが"新生ゼルダシリーズの本質"なのではないかと思った。

つまり、本質は"ネットサーフィンの面白さ"なんじゃないかと。例えばニュースサイトを開くと、そこで取り上げられている記事や広告が気になる。それらをクリックして閲覧している内に、何か新しいネタを知れてご満悦になったり、ほっこりしたりする。そしてまた違った記事や話題へのリンクが目に付いて、好奇心からそれをクリックする。好奇心の赴くままに、リンクからリンクへ…。そして気付けば数時間が経過していた…なんてことが現代ではザラだと思うが、ブレワイ、ティアキンという新生ゼルダシリーズもまさにその構造こそが作品の真髄なのではないかと思った。同時に、それを為せるのは任天堂が持つ「好奇心を刺激する技術」の高さがあってこそだろうとも思う。普通は何か一つのタスクをゲーム内で達成すれば、コントローラーを置いて休憩したくなるものだからだ。

「ネットサーフィンの面白さ」がわからない人間など現代にはほぼ居ないと思われる。或いは、新生ゼルダシリーズの持つ「ゲームプレイ全体の妙な淡泊さ」というものも、これらの構造を負担なく稼働させ続けるための"潤滑油"として意図して設計されているではないか?という風にも思えてきた。

濃密なダンジョンが無いのも、強烈なキャラクターが過去作から大幅に減ったのも、ストーリーがガッツリ描かれないのも、「ネットサーフィンの面白さ」、言い換えれば「負荷なく続く楽しさ」の達成のためにわざとそうやっているのだと考えるとやけにしっくりくる。つまり本質は「リンクの冒険」ということか(渾身の洒落)。



ブレワイ、ティアキンが"つまらない"と感じる人が居る理由


神ゲー、最高傑作だと絶賛されている一方で、これらを「つまらなかった」「過大評価では?」という人も居る。

仮に新生ゼルダシリーズが上記したような思想哲学から制作されているゲームなのだと考えてみると、気質として「目的重視」「本質思考」を持つ人間からすれば本作が"クソゲー"にもなってしまう構造が見えてきた。

実際、ブレワイに対する批判的なレビューの中には「一刻も早く世界を救わなければならないのに、悠長に旅行して楽しむゲーム性に違和感が伴う」といった意見が見られた。本質的には全くその通りだと思う。また、ブレワイのゲーム性の主となる「フィールド移動に伴う発見の連続」というものも、本質的に考えると「祠とコログを延々とループしているだけ」であり、冷静に要素で見ると本作はかなり単調だったりする。

上記で挙げた「ネットサーフィン的な設計」とは、あまり理屈で深く考えずに好奇心から好奇心を渡り歩くこと。殊に成人にとっては「童心に帰る」が前提になってくるのだが、「目的重視」「本質思考」の気質の人間とそれらの行為は致命的に相性が悪い。そもそも、そういう人たちは日常で「ネットサーフィン」をすることもほとんど無さそうだ。

「その他のオープンワールドゲームに慣れ親しんできた人」に加えて、こうした人ごとの気質といった観点からも、ブレワイ、ティアキ
ンを楽しめない人が居る理由がわかったような気がしてきた。



ブレワイの話題が増えてきた日常


世がティアキンで賑わっている影響もあってか、日常の中でも知人らによる「ブレワイ語り」を聞く機会が自然に増えてきた。そして、そこでは「日頃ゲームをしないorこれまでアクション要素は避けてきたライト層ほどブレワイの評価が高い」という面白い傾向が見られた。「オープンワールドゲームは初体験で衝撃だった」という意見が肯定派の中ではかなり多めだ。

不意に、PSでコンプリートしておきながらSwitchでもまたスカイリムを遊ぶ知人Aがブレスオブザワイルドをあっさりとクソゲー認定したことが思い出されたが、あれもまた一つのユーザー層からの答えだったんだろうなと思った。

思えば、ティアキンの「クラフト要素」を重視したプロモーションを振り返ってみても、制作側が今回のゼルダシリーズは特にライト層に対して訴求していることが見て取れる。上記で触れた「ネットサーフィン型のゲーム性」にしてみても、それはどちらかというとコアよりもライト向けの性格だ。



おわりに


とりあえず、ティアキンは今後もブレワイ同様に「攻略情報一切ナシ」の状態で本編クリアを目指して行こうと思う。そしてめでたくクリア出来た暁には、忖度なしの本音批評をこのブログに叩き付けておく予定なので、物好きなゲーマー同士は乞うご期待!

今後のゼルダシリーズはブレワイ、ティアキンを基軸に展開されていくのか。それとも今度はまた違ったゲーム性を目指し始めるのか。或いは「アタリマエ」に回帰するのか。それから、ティアキンでもDLCは制作するのか? 一人の古典派ゼルダファンとして、その辺に注目しつつ今後の展開を末永く見守りたい。






ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド + エキスパンション・パス



ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom(ティアーズ オブ ザ キングダム)
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隔離コ
書いた人: 隔離コ
ゲームを遊ぶことに生き甲斐を見出しているらしい自称硬派ゲーマー。
その実態は腕前も遊ぶ本数もそこそこでしかない量産型のミドルゲーマーである。
実は自分でゲームを語るよりも、他人が熱く語るのを鑑賞する方が好き。
ただいまPS5、ニンテンドースイッチに絶賛ハマり中。

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