【くにつがみ】『祇:Path of the Goddess』はゲームとしても面白いのか? 体験版が配信開始されたので早速やってみた
「思った以上に〇〇」な要素が多かった。
『祇:Path of the Goddess』とは?
カプコンが今月(2024年7月19日)に発売を予定している完全新作ゲーム。
ジャンルは「神楽戦略活劇」と独創的に銘打たれているが、あえて俗に言えば「戦略タワーディフェンス+アクションゲーム」といったところ。
神楽を舞う「世代」を守りながら、主人公の「宗」による剣術や、仲間である村人たちへの指示を駆使して道を切り開いてゆき、最終的には「世代」を敵陣まで到達させて"祓ってもらう"ことによって勝利となる、攻守一体のタワーディフェンスゲーム。
※現状、本作にパッケージ版はなく、DL専用ゲームとなっている。
そして時は7月2日。
本編の発売が目前に迫る中、デジタルイベント「CAPCOM NEXT - Summer 2024」にて体験版の即日配信が発表された。
PVを観た印象が「ビジュアルが凄いことだけはわかる謎のゲーム」だったので、体験版が遊べるのは超助かる…。
体験版をプレイしてみた
そういうわけで、ストアからPS5版をDLしてプレイ開始。
まず初めに驚いたのが、「見下ろし視点固定のゲーム」だとばかり思っていた本作が一般的な3Dアクションゲーム並みにカメラを自由に動かしまくれたところ。
タワーディフェンスとは思えない程カメラをぐるぐる動かせるし、全方位から見ても違和感がないまでに細部が作り込まれている。
これもう3Dアクションゲームだろ…!! 大人のピクミンなのかも知れない…。 妖怪作家の金字塔、水木しげる先生も採用していた説だな。 Xでも呟いたけど、タワーディフェンスでストーリーに20時間以上掛かるのは規格外のボリュームだと思う。 そしてクリア後のやり込み要素…となるとホントに結構な時間遊べそうだな。
体験版なのに親切に「フォトモード」まで搭載されていたので、試しにヒロイン(世代)の顔をズームして眺めてみた。
キャラクターモデルを初め、装飾品に至ってまであまりにも作り込みが細かすぎる。基本的にキャラクターが小さくしか表示されないタワーディフェンス系ジャンルでここまでやるのは狂気の沙汰だ。
フォトモードも思った以上にズームしたりカメラを動かして回れるので、観賞用ゲームとしても既に良作以上になりそうな予感がある。
「それならまずはパンツでも…」と思い必死に覗き込もうとしていたが、服の防御力が高すぎて突破口が見いだせなかった。
主人公と同様に仮面を被ったデザインが特徴的な村人たち。
立ち位置としては「雑魚NPC」といったところなのに、彼らの作り込みも尋常じゃない。
フォトモードには"エフェクト機能"も付いていたので、カッコ良く撮ろうと頑張ってみた。
主人公「宗」の独特なビジュアルも個人的にかなり好み。
PVから想像していたよりも数倍アクションゲームだった件。
キビキビ動作してかつリアルな重みも感じられるので、アクションの操作感が良く、動かしていて気持ちが良い。これについては流石はカプコンといったところか、
「ジャンプ」や「ガード」「必殺技」そしてまさかの「ジャンプ斬り」まで存在していた。
日の出から日没までの時間はリアルタイムで経過し、夜になるといよいよ敵キャラである「畏哭(いこく)」が攻め込んでくる。
プレイヤーはそれまでに道中の仕掛けを準備したり、村人たちの職業を決めて配置したり、マップの各所に隠されたアイテムを集め回ったりすることに。他にも壊れた道に村人を割り振って開通させたり、巫女の世代をどれくらい進行させるか考えたり、ケガレに侵された獣を浄化したりと、とにかくやれることが多いので忙しいが、逆に言えば要素が多くて退屈させないだけの充実感があった。
所謂"ダンドリ力"を試される場面が多々あり、村人を道の開通に割り振って、頭上に作業進行を表す円形ゲージが表示された時なんかは「ピクミン」が頭を過った。
いよいよ門から溢れ出てきた畏哭たち。
ゲーム的にはヤバい状況なのだが、本作はタワーディフェンスにしては主人公の能力値が高いので、雑魚相手なら単騎でもザクザク狩っていけるし、資金となるアイテムもドロップしまくるのでとにかく楽しい。
進行によって"中ボス"級の強敵も出現することがあり、そういう相手には敵ごとの特殊能力を警戒して立ち回ったり、予備動作を見てガードで弾いたり、避けた後の隙に連撃や必殺技を叩きこんだりと、かなり本格的な戦闘が味わえる。
ここで、本作は単に戦略系タワーディフェンスというだけでなくアクションゲームでもあったことを再確認。
敵陣に「世代」を到達させ、「祓う」コマンドを実行すれば晴れて勝利となる。
スタイリッシュな舞いと共に敵陣が大爆発するのが痛快だった。
「門(敵陣)」を祓うとフィールド全体が浄化され、これまでとは打って変わって観光地のような雰囲気に。
温和なBGMも流れ始め、「拠点」として使えるようになった。製品版で拠点はこの一か所だけなのか、複数あるのかが気になる。
・鍔(つば)の装備
・魔像の装備
・村人の強化
・絵巻の閲覧
・セーブ
拠点に出現した「天幕」の中でこれらが行えるようになった。
具体的には、入手した「鍔」や「魔像」を装備して主人公の能力を高める所謂アクセサリー要素や、ステージクリア等で手に入る強化ポイントを消費して村人の職業ごとの性能を永続的な強化することが出来る。
このような「恒久的な強化要素」があるのはタワーディフェンスとしては珍しい。
「村人の強化」では、一定の強化段階に達することで村人の外観が"進化"するらしい。
初期デザインもまだ見慣れぬ内からまた新しい見た目になってしまったので、随分と贅沢な仕様だなと思った。
入手した「魔造」はフィギュアのようにじっくりと鑑賞できるようになるのだが、これがまた異常なまでに作り込まれている。
何の気なしにひっくり返してみて、裏側にまで緻密な意匠が施してあるのに気付いた時は開発陣の正気を疑った。
全体的に、本作はこういった「眺めているだけで楽しい要素」が多い。遊べる美術ゲーといったところか。
稀に「絵巻」が手に入ることもあって、これもじっくりと鑑賞できる。
よく見ると画風がところどころ"現代風"であり「もしかして本作の時代設定は未来なのでは?」とも想像させられた。
公式サイトにある「これは、新たな〝神〟の物語」というキャッチコピーも何やら意味深だ。
まさかの「ボス戦専用ステージ」もあり、「それもうアクションゲームだろ」と心の中で突っ込んだ。
日本の伝統的な妖怪たちを題材にしたであろう畏哭たちのデザインは不気味ながらも、どこか愛らしい。
敵本陣の門はかの有名な「ぬらりひょん」が原案になっているようにも見える。
「ぬらりひょんは妖怪の総大将である」という一説があり、そのイメージか。
ぬらりひょんの参考画像。「百怪図巻」より引用。
UIまで含めて、本作はとにかくデザインに拘り抜かれたゲームだと思う。
難易度としては、体験版クリア後に開放される「エクストラステージ」からが本番といった印象だった。
体験版の範囲内はひたすら楽しくプレイできたが、エクストラステージでは戦略もアクションも駆使してようやく勝てる、良い感じのやり応えに。村人の職業にしても、回復や遠距離、デバフ持ちを取り入れるなど構成を練る必要があった。
ちなみに「世代」は一度進むと後退は出来ないという仕様なので、何も考えずに進めまくると最悪は"詰む"ことになってしまう。
筆者はエクストラステージでこの調整を見誤り、ちょうど敵陣の目の前に来たタイミングで夜が到来。門から溢れ出す敵の攻撃を受けまくってあえなくゲームオーバーに。以降は「世代」の移動距離や残り時間をきちんと計画しながら進めるよう改めて、何とかクリア出来るようになった。このように、ちゃんと頭を使わなければクリアできない硬派なゲーム性は好印象だ。まとめ
それで、クニツガミの体験版を遊んでみて面白かった?と聞かれれば、筆者の感想としては「期待以上に面白かった」となる。
改めて体験版で感じたポイントを書き出してみると…
・思った以上にアクションゲームだった。
・操作感が非常に良く、動かしているだけでも楽しい。
・ゲームとしてもやり応えがあって面白かった。
・あとは本編のボリュームやバランス次第か。
色々と見どころが多かったり、あとはアクションの手触りが良かったので、軽く触るだけつもりが気付けば2時間以上熱中して遊んでしまっていた…。変な話だが、ここ数年遊んだ体験版の中では一番満足度が高かったかも知れない。
正直、筆者は本作のことを「ビジュアルに特化した雰囲気ゲーじゃないか?」と舐めている節があったが、ゲームとしてもかなり面白かったので意表を突かれた。
この「体験版」だけでもお金を取れるくらい贅沢な仕上がりになっているので、製品版の購入予定が無い人でもとりあえずDLしておいて良いんじゃないかと思う。本編ストーリーのボリュームが判明(7/6追記)
ゲームメディア"INSIDE"に掲載された開発者インタビューにより、「祇」本編のストーリーボリュームが推定20時間以上であることが判明。
カプコンでは珍しいストラテジージャンルへの新たな挑戦ということもあり、多くのユーザーに手に取ってもらおうと低価格に設定されているようだ。
「価格が安いので心配」という声もネットにチラホラ上がっていたが、そんなユーザーにとっても今回の情報はかなりの朗報になりそうだ。
祝・発売!! 『祇』本編のプレイレポートはこちら。
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