サクサクの唐揚げにサイダーがさっぱりと合う

〈食べログ3.5以下のうまい店〉

おいしいもの好きのあの人に「食べログ3.5以下のうまい店」を教えてもらう本企画。今回は有野いくさんがおすすめする、蔵前の唐揚げ専門店をご紹介します。

教えてくれる人

からあげ研究家
有野いく
3,500店舗以上の唐揚げを食べ、毎日健康唐揚げ生活。唐揚げ大好きで、専門家としてのメディア出演多数。著書に「唐揚道」(ぶんか社)がある。

台東区・蔵前の老舗酒屋がオープンさせた「からあげサイダーフタバ」

テイクアウトはこちらでオーダー
 

有野さん

この酒屋さんの唐揚げは、期待をひょいと超えてくる驚愕のおいしさ。穴場として本当は誰にも教えたくないくらいです!

都営大江戸線・都営浅草線の蔵前駅からそれぞれ御徒町方面へ歩いて7分ほど。新堀通り沿いに、有野さんがおすすめする「からあげサイダーフタバ」がある。手掛けるのは1950年創業の老舗酒屋で「からあげサイダーフタバ」に隣接する「酒のフタバ」だ。10年ほど前から店内で「KAKUUCHI CAFE FUTABA」として角打ち&カフェ営業をはじめ、2022年に倉庫を改装して「からあげサイダーフタバ」をオープンさせた。

開業のきっかけは、取引先である全国の酒蔵がコロナ禍で苦境に立たされたことにある。オーナーの関明泰さんは「どうにか酒蔵の力になれないか」と考え、お酒ではなく食べ物で酒蔵の魅力を伝えられる「麹」と「酒粕」に目をつけ、お酒のおつまみにもなる唐揚げの販売に乗り出した。

料理家の森本桃世氏が監修! 自家製塩麹を使った「発酵からあげ」

「発酵からあげ もも肉」5個650円、2個350円、「発酵からあげ むね肉」5個600円、2個300円(ともに発酵だれ1種類付き)
 

有野さん

この酒屋でしか食べられない「発酵からあげ」が魅力。唐揚げの調味料などは酒屋の地域ネットワークを存分に活かし、麹は蔵から直送、鶏肉は老舗の専門店から、唐揚げに最も適した国産鶏肉を仕入れているそうです。

テイクアウトの店内で揚げている

唐揚げを作るにあたり、レシピの監修をお願いしたのが、関さんが会長を務める蔵前商店街のメンバーでもある食卓料理家の森本桃世氏だ。山梨県甲府市にある五味醤油の「大黒天麹」に天然塩を合わせて、65℃で8時間ほど低温調理して作り上げた自家製塩麹で国産の鶏肉を漬け込むレシピを考案してくれた。

唐揚げの衣は片栗粉とコーンスターチのブレンド。揚げ油は、昔ながらの圧搾製法でつくられたマルホンの太白胡麻油だ。衣をつけた鶏肉を150℃に温めた揚げ油で5分半ほど揚げ、3分以上肉を休ませてから170℃で1分ほど二度揚げしたら「発酵からあげ」ができあがる。

注文を受けてから揚げてくれるため、唐揚げは揚げたてアツアツ。「発酵からあげ」は自家製塩麹に漬け込んでいることで、しっとりジューシーで肉の繊維はやわらかくほどけていく。衣は薄くて軽く、麹のほのかな存在も感じられ、他とは一線を画すからあげだ。

 

有野さん

基本を味わうなら「発酵からあげ もも肉」。お肉がぷりっぷりに柔らかくてジューシーオイシー!