32台目は「と」

スバル トレジア

    (とれじあ)

グレード・年式1.5i-S  2010年
エンジン型式直列4気筒DOHC
排気量1496cc
出力・トルク103ps  13.5kg-m
全長×全幅×全高3990×1695×1605
車重1170kg
新車価格197万9250円

説明

富士重工業は2008年4月にトヨタとその傘下のダイハツ工業との間における提携関係を締結した。トレジアはその提携(アライアンス)の成果であり、ダイハツが製造し同社が販売しているクーのOEM車種であるデックスに続き、登録車のOEM第2弾として投入された。また、日本国内市場のみならず、欧州市場にもジャスティ(初代ブーンのOEM。同じく初代パッソの姉妹モデル)と入れ替わりに順次投入されている。なお、インプレッサが3ナンバーサイズになったため、スバルの普通乗用車では当時唯一の5ナンバー登録車(小型普通自動車)であった。

これまでのダイハツOEMモデルとは異なり、開発段階からスバルの技術者を送り込み、商品化してきたため、デックス以上にスバル独自の路線が強調され、フロントバンパーやフロントグリルのみならず、ボンネット、フロントフェンダー、ヘッドランプ、リヤガーニッシュ(メッキ仕上げ)、リヤコンビネーションランプレンズも専用品となった。生産はベースのラクティス同様、当初は関東自動車工業岩手工場が担当していたが、同工場で生産されるアクアの増産に対応するため、2012年5月より同社東富士工場(同年7月よりトヨタ自動車東日本東富士工場に改称)に移管した。

ラクティス同様、エンジンは1.3 L (1NR-FE、日本仕様の後期では1NR-FKE) と日本仕様にのみ1.5 L (1NZ-FE)、欧州仕様にのみ1.4 Lターボディーゼル (1ND-TV) を用意し、トランスミッションは日本仕様ではベルト色CVT、欧州仕様では6速MT、1.4 Lターボディーゼル車のみオプションで6速セミATが組み合わされる。駆動方式は2WD (前輪駆動) とAWD(四輪駆動。1.5 Lのみ)を用意。また、ホイールが5穴(PCDは100.0 mm)、フロントワイパーが払拭性を考慮して1本となる点も同じである。但し、後期型のFFモデル全車でアイドリングストップが標準装備となる点がラクティスと異なる。

グレードは「i(ラクティスの廉価グレード「X」に相当)」、「i-L(ラクティスの通常グレード「G」に相当)」、「i TYPE EURO(ラクティスのスポーツタイプグレード「S」に相当、「i-S(「i-L」の足回りに「i TYPE EURO」の内外装を組み合わせたトレジア独自のグレード)」、1.5L・2WD車のみ)」の4グレードで当初構成され、ラクティスの「L’épice(レピス)」と「X Vパッケージ」(前期型、ラクティスにおいてもマイナーチェンジにより廃止)、「G”PRIME STYLE”」(後期型)に相当するグレードは設定されなかった。また、ラクティスで「1.5G」の2WD車にのみメーカーオプションとなっているパノラマルーフは、トレジアにおいてはパノラマルーフを標準装備した「1.5i-L Panorama」という独立グレードで設定されていた。「i TYPE EURO」と「1.5i-L Panorama」以外のグレードにおいては1.3L・2WD、1.5L・2WD、1.5L・AWDを用意。

装備面でも若干の違いがあり、ラクティスでは設定のないテレスコピックステアリング(「i」を除く全車。後期型ラクティスでは「X」を除く全車に装備)、「1.5S」にしか設定されていないパドルシフト(「i」を除く1.5L車全車)、1.5LのFF車のみに設定されるクルーズコントロール(「i」を除く1.5L車全車)、「G」以上のグレードにメーカーオプションとなるディスチャージヘッドランプ(「i-S」、「i TYPE EURO」のみ)が標準装備されていた。逆にラクティスに設定のあるオーディオのステアリングスイッチやナビレディパッケージについては設定がなかった(全車オーディオレスが標準となっていた)。また、ボディカラーにおいてもラクティスより2色少ない設定となっていた(ダークブラウンマイカメタリックおよびスーパーホワイトIIの設定がなかった。なお、スーパーホワイトIIについてはラクティスの車いす仕様車のみの設定)。

思い出

私にとってこのクルマの思い出は「コンプライアンス」にやられたクルマ、といっていいだろう。

発売当初、スバルはこのクルマを走りの良いコンパクトカーとして売りたかったのであろう。テレビCMではBGMを「トップガン」のテーマ、撮影場所を立体駐車場にして走りの良さを訴えたのである。颯爽と立体駐車場を走るトレジア。直線はスピーディーに、コーナーは機敏に走り回り、タイヤが鳴る音まで付けて放映したものであった。最初に観たときは「良く走るクルマだな、トヨタのOEMなのに・・・」と思っていた。

しかし、時代はコンプライアンスが叫ばれ始めた頃。「立体駐車場で危ない運転している。危険運転を助長させるCMだ!!」と言われるようになったのである。この声が上がってからしばらくしてトレジアのCM放映は無くなった。だからといって新型のクルマを宣伝するわけにはいかない。かといって新しいのを作る時間もない。スバルと広告代理店が考えたのが「閉鎖された駐車場で撮影しています」「走行は安全な速度で撮影しています」の文言を画面の隅に入れること。これでなんとか乗り切ったのだが、効果もなくそのCM自体も見られることは無くなった。

コンプライアンスが世の中席巻しているが、まさかテレビCMにまで求められるとはと感じてしまったものである。私から見れば「一般公道で発売前の新車のCM撮影なんてするわけないじゃん!!」と思っているが、世の中は許してくれないのですね。視聴者(敢えてお客さまとは言わないが)の意見は大きいものですね。

クルマ自体としては、OEMベースのラクティス、ベース車となっているヴィッツと同様の乗り味。ハイルーフタイプのコンパクトカーとは一線を画した走りをしていたものです。まぁ、とはいってもコンパクトカーの一般的なエンジンであったから絶対的速さはないですけどね。室内もラクティスがファンカーゴの後継車種ということもあり、それなりに広く、荷物も積めるクルマではありました。

スバルもOEM車だからそこまで力を入れて売ってる感じではなかったが、まさかCMで突っ込まれるとは想像もしてなかったでしょう・・・。

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