2025年04月04日、韓国憲法裁判所の判断によって、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが大統領職から罷免されました。
憲法の規定によって、次の「第21代大統領選挙」は60日以内に行わないとなりません。
政府の国務会議によって、投開票日は2025年06月03日と決まりました。
『共に民主党』は圧倒的に李在明が人気!
うまいこと尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を罷免に追い込んだので、『共に民主党』としては絶対に大統領職を左派・進歩系側で取らなければなりません。
『共に民主党』の最有力候補は、もちろん李在明(イ・ジェミョン)さんです。
●李在明(イ・ジェミョン)
前科四犯罪。天性のうそつき。ポピュリストであり、社会主義的な「ばらまき」政策が十八番。5つの裁判を抱えており、司法リスクがあります。
2025年04月10日、李在明(イ・ジェミョン)さんは正式に第21代大統領選挙に立候補することを明らかにしました。
読者の皆さまもご存じのとおり、李在明(イ・ジェミョン)さんの人気は他を圧倒しており、『韓国ギャラップ』が公表した「04月第2週目の世論調査」結果によると、次の指導者にふさわしいとされたのは――、
李在明(イ・ジェミョン):37%
金文洙(キム・ムンス):9%
洪準杓(ホン・ジュンピョ):5%
韓東勳(ハン・ドンフン):5%
李俊錫(イ・ジュンソク):2%
安哲秀(アン・チョルス):2%
以下略⇒参照・引用元:『韓国ギャッラップ』「デイリーオピニオン第619号(2025年4月2週) – 将来政治指導者、大統領弾劾案引用、機関別信頼可否、次期大統領国政優先課題」
――という結果になっています。
では李在明(イ・ジェミョン)さん以外に、『共に民主党』からは誰も立候補しないのかといえば、そんなこともないのです。例えば、以下の金東兗(キム・ドンヨン)さんです。
● 金東兗(キム・ドンヨン)
現在の京畿道知事。『共に民主党』所属。2025年04月09日、第21代大統領選挙に立候補すると宣言しました。
ただ、『共に民主党』からは誰が出ても、李在明(イ・ジェミョン)さんには勝てないでしょう。
文在寅直系で、李在明(イ・ジェミョン)さんに勝てるかもしれなかった曹国(チョ・グク)さんは大法院(最高裁判所)で有罪判決を受けて、現在は監獄にいますので。
大笑いなことに今回の大統領選挙には出られません。
↑2024年12月16日、曹国(チョ・グク)さんは監獄に行きました。
『国民の力』の玉は……これで李在明に勝てる?
尹錫悦(ユン・ソギョル)さんは罷免されましたが、現与党『国民の力』は次の大統領選挙に負けるわけにはいきません。なんとかして保守寄りの勢力から大統領を出したいところです。
――なのですが、碌な玉がいません。はっきりいえば李在明(イ・ジェミョン)さんに勝てそうな人物が見当たらないのです。
以下のような人物が大統領候補と目されています(すでに出る・出ないを公表した人がいます)。
●金文洙(キム・ムンス)
↑2024年08月30日、尹錫悦大統領は、金文洙(キム・ムンス)さんを雇用労働部長官に任命。任命状を授けた後の記念撮影。
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権で雇用労働部長官を務めました。
この人をひと言でいえば、不屈の老将です。
もともと筋金入りの労働運動の活動家で、「운동권의 황태자」(運動圏のプリンス)と呼ばれたほどの闘士でした。しかし、左派・進歩系の従北思想、主体思想とは対立する人物で、「文在寅は銃殺されるべき」と発言したこともあります。
また最後まで「尹大統領は弾劾されるべきはない」と言い続けました。その意味では、保守寄りコア層から支持が高いのもうなずけます。しかし、残念なことに一般に人気が高いわけでないのです。保守寄りコア層は取れても、中道層の人気を得られるかは疑問なのです。

金文洙(キム・ムンス)さんは、2025年04月09日、次期「第21代大統領選挙」に出馬すると宣言しました。公式出馬表明は16日になると見られます。
●洪準杓(ホン・ジュンピョ)
大邱市の市長を務めていましたが、「これが最後のチャンス」ということで、2025年04月10日、市長を辞任することを公表。大統領選挙に出ることを表明しました。公式な出馬表明は14日を予定しています。
第19代大統領選挙の際に文在寅と戦って破れた人です。こんなジーサンが出ても李在明(イ・ジェミョン)さんには勝てないでしょう。そもそも国民に人気がありません。
●呉世勲(オ・セフン)
現ソウル市長。第20代大統領選挙に出馬していたのですが、途中で保守寄り候補1本化のために下りました。
そのおかげで尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが当選したので、呉世勲(オ・セフン)さんの判断は正しかったのです。優れた政治家と評価されていますが、残念ながら人気がもうひとつです。
呉世勲(オ・セフン)待望論もあったのですが、2025年04月12日、呉世勲(オ・セフン)さんは「今回の大統領選挙には出ない」と宣言しました。
●韓東勳(ハン・ドンフン)
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権下の初代法務部長官を務めました(月亭方正似)。
優れた検察官で、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの後輩にして戦友のような経歴の持ち主です。法務部長官として辣腕を振るい、『共に民主党』からの攻撃にも一切怯むところがありませんでした。
しかし法務部長官を辞めた後、政治家に転身してからがいけません。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が非常戒厳を宣布した後は、(明確に)大統領の反目に回りました。
国会(要するに『共に民主党』)が尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の弾劾訴追案を可決した後、2/3を要する国会への差し戻し審理の際には、韓東勳(ハン・ドンフン)さんは非常対策委員会のTopとして「尹弾劾推進」の主張を行いました。
結果として、『国民の力』から謀反票が投じられ、2/3の賛成を達成、尹大統領は弾劾 ⇒ 罷免の道をたどることになったのです。
そのため、保守寄り勢力のコア、また尹錫悦(ユン・ソギョル)さん支持派からすれば、韓東勳(ハン・ドンフン)さんは完全な「裏切り者」です。
また、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権に入ってから明確になったことですが、彼の信念は「保守寄り」とは言い難いところがあります。
朴正煕(パク・チョンヒ)ワナビーで「自由民主主義」を何より大切なものとする尹錫悦(ユン・ソギョル)さんとは、この点において決定的に違うのです。
2025年04月10日、韓東勳(ハン・ドンフン)さんは正式に第21代大統領選挙に立候補することを明らかにしました。
●安哲秀(アン・チョルス)
プログラマーとしてアンチウイルスソフト(韓国初の商用ワクチンプログラム)を手掛けて『アン・チョルス研究所』(アンラボ)を創業。成功したベンチャー起業家ですが、同時に医師免許も持つという、変わり種の政治家です※。
※とはいえ社会的に成功した者は必ず(よせばいいのに)政治家になるという韓国人の黄金律には則っています。
コロナ禍で医師不足が明らかになった際には「わしが撃って出る」と、医師として医療の最前線に立ったことがあります。
このとき安哲秀(アン・チョルス)さんの名前は一気に高まりました。
第18、19、20代と毎回大統領選挙に出馬し続けましたが、これまで志が報われることはありませんでした。特に第19代大統領選挙では、文在寅が圧勝したのですが、安哲秀(アン・チョルス)さんは、洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんにも負けて3位という結果でした。
保守寄りの政治家ですが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の弾劾訴追に賛成して、『国民の力』議員が投票をボイコットする中、議場に居続けた人物でもあります(この件については以下の先記事を参照してください)。

安哲秀(アン・チョルス)さんは2025年04月08日、次期大統領選挙に立候補すると宣言しました。
●柳承敏(ユ·スンミン)
もともとは経済学者で、Money1でもおなじみの『韓国開発研究院』(略称『KDI』)において研究委員として勤務していたという経歴の持ち主。朴槿恵(パク・クネ)大統領時代に、『セヌリ党』の院内代表となったこともあります(その後朴槿恵(パク・クネ)さんと揉めて辞任)。
第20代大統領選挙に向けて『国民の力』の予備選に出馬したのですが、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんと洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんに押されて3位にとどまり、本戦には出られませんでした。
また2022年には京畿道知事選挙に出馬宣言したのですが、『国民の力』党内のプライオリティーで他候補に負けてしまい、本候補にはなれませんでした。
――というわけで近年は星回りがよくないのですが、金大中(キム・デジュン)大統領時代に、アジア通貨危機で事実上のデフォルト陥った韓国経済を救うためのプランを検索するなど、活躍をしたことがあります。また、『POSCO(ポスコ)』の民営化に尽力した人でもあります(『ポスコ』は2000年に民営化されました)。
しかし、柳承敏(ユ·スンミン)さんで李在明(イ・ジェミョン)さんに勝てるかというと……これは恐らく無理でしょう。
●李俊錫(イ・ジュンソク)
「アホの子」です。政治ゴロといっていいムーブをする人物で、とても保守寄り勢力の結集点になれるような見識もなければ、誇れるような政治的経験もありません。
『国民の力』から飛び出て自身の党『改革新党』を創党。一種の機会主義者の徒であり、大統領職には軽すぎる人物。
与党『国民の力』からは、他にも出馬宣言する人が出そうですが、候補を1本化しないと絶体に李在明(イ・ジェミョン)さんには勝てないでしょう。
06月03日といば、もうスグそこです。
尹錫悦(ユン・ソギョル)さん去りし後、韓国の政局がどうなるのか要注目です。
(吉田ハンチング@dcp)