米国債10年物「利回り4.494%」に上昇。トリプル安の現状

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2025年04月11日(金)、注目の米国債の利回りはまた上昇しました。米国債が売り込まれていることを示しています(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。

米国債の売却が進んでいる要因として、以下が挙げられます。

1. 米中貿易戦争の激化による市場の不安定化
トランプ大統領が発表した中国製品への145%の関税引き上げに対し、中国も125%の報復関税を実施しました。

ただし先記事でご紹介したとおり、中国商務部は「これ以上は合衆国の関税率上昇には付き合わない――としました(2025年04月11日公表)。

​この相互関税の応酬により、世界的な市場の混乱が生じ、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。

​通常、こうした不安定な状況では安全資産とされる米国債が買われ、利回りは低下する傾向がありますが、今回は逆に売りが先行し、利回りが上昇しました。 これは取りも直さず​合衆国への信認が大きく毀損されるほどの状況であることを示しています。

2. 外国人投資家による米国債の売却
中国を含む外国人投資家が米国債の保有を減らしているとの推測が広がっています。

​特に「中国が報復措置として米国債を売却する可能性」が取り沙汰されており、これが米国債市場の不安定化を招いています。 ​

ただし、米国債の大量売却は「日本時間」であり、『農林中金』が行ったという情報が出ています(真偽は不明)。

04月09日の日本時間昼頃に、米国債利回りが異常な急騰(特に10年債)を示した。そのタイミングが東京市場の時間帯と重なる。

また『農林中金』は「大量の米国債ポジションを持っている」と広く知られている。

2023~2024年の金利急上昇により、含み損圧力が大きくなっていたことは公知の情報となっている。例えば、『Bloomberg』は「2024年12月時点で『農林中金』は最大1,000億ドル規模の債券削減を検討」と報道していた。

3. ヘッジファンドなどによるポジション解消
市場のボラティリティーが高まる中、ヘッジファンドや資産運用会社がリスク回避のために米国債のポジションを解消し、現金化を進めると――これが債券価格の下落(利回りの上昇)を加速させます。


↑S&P500の推移。株価はどんどん下がって関税応酬の効果が顕著でしたが、これが――2025年04月09日には長い陽線になりました。合衆国はこの日に「相互関税を中国以外の国に90日猶予する」としました。

米国債が売られて債券安となっていますが、読者の皆さんもご存じのとおり、米国株も安くなり、さらに通貨も安くなる(以下はドルの強さを示すDXY)、つまりはトリプル安に見舞われています。

投資家の間で合衆国資産全体への信頼が揺らいでいることを示唆しています。​このような状況が続けば、合衆国経済全体への影響が大きく懸念されます。

次週も状況を注視する必要があります。

(柏ケミカル@dcp)

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