昨日公開した第1話ですが、のっけからレインボー氏の名前を打ち間違えるという痛恨のミス。しかもレインボー氏本人から指摘されるという恥ずかしさ! 即謝罪して訂正いたしました。
さて、連載エッセイ第2話。汚部屋に悩む方にも読んでいただきたい内容です。きっかけが無いと、なかなか動きだせないものですよね。強い意思も大切。
それではご覧ください。
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もはやどこから手を付けたら良いのか分からない我が汚部屋。数日考えた末、脱却の第一歩は玄関から始めることにした。何事も入り口が肝心。
靴を購入した時の化粧箱が大量に積み上げられていて、その半分以上は空。なんで大事に取っていたのやら。過去の自分を不思議に思いながら潰していく。隅で埃を被っていた靴も勿論ごみ袋へ。ダイレクトメールなんかも玄関入るなりポンっと適当に置いていて、それが山になっていたのも容赦なくごみ袋へ放り込む。
ここでとても理解に苦しむ事態が発覚した。傘が12本も出てきたのだ。独り暮らしの部屋に、何故12本もの傘があるのか。本当に、過去の私が分からない。
比較的美品なものを三本だけ残し、あとは指定有料ごみ袋で括って廃棄決定。
他の自治体はどうか知らないけれども、私の住む地域は傘のような長尺物はごみ袋には入れず、まとめてごみ袋で括って出せば良いことになっている。傘と同様に、長年ベランダの隅に放置していた室内物干しも解体してパイプ部分はごみ袋で括っておいた。
これで玄関にはスペースが出来た。台所や居室の不用品をまとめておく場所が出来た訳だ。ここからは早かったように思う。
居室に合ったエクササイズグッズ、殆ど機能していない暖房器具、ろくに音が出ないステレオコンポ、なんだかよく分からないガラクタ等。それらを大型ごみ袋に詰め込んで、玄関に積み上げる。なんと長尺合わせてごみ袋9つ分にまでなった。よくもまあこれだけ不用品を溜め込んだものである。
玄関と、玄関外のガスメーターのスペースにまとめておいて、次の不燃ごみ回収日に出すことになる訳だが、困ったことに月に1回しかない。半月以上もこのままだが、それも仕方がない。悪いのは自分なのだから。
この不燃ごみと並行して、古紙の廃棄も実行。靴やお酒の化粧箱、古い雑誌や参考書などで、なんとこちらもごみ袋6つ分。本当に、凄いというか酷いな私。我ながら呆れてしまう。幸いこちらは2週間に1回の回収日があり、2往復で廃棄完了。
他にも古い衣類も二袋は廃棄した。週2回の可燃ごみもコンスタントに廃棄。それにより着実に汚部屋の山は低くなっていき、更地が広がってきた。
そしていよいよ大量の不燃ごみを廃棄する日が近づいてきたのだが、突然の母の訪問を受けて、山積みの待機ごみを見られてしまう。以前より遥かに畳が見えるようになっているし、玄関の待機ごみさえ無ければ綺麗とまでは言えずともそれなりの部屋になったと思うのに、母はずっと重箱の隅をつつくように粗を指摘してくる。
母は褒めるタイミングを知らない。口を開けば人を不快にする発言が真っ先に飛び出す。それも、本人に悪意はまったくないというのが最高に厄介なのだ。今回も本人は私を苛立たせている自覚はない。言いたい放題言って帰って行った。本当に気分が悪いと思う時間だった。
だがその夜、LINEで「言い忘れた」とコメントが届いた。「頑張ったね、部屋広くなったね」と。
それ、部屋に来た時に言って欲しかったよ。本当にこの人はタイミングというものをことごとく外しまくる。まぁ、充分知っていることだし、今回のコメントはちょっと嬉しかったのだけど。
さて翌朝。レインボー氏からはアパートからごみステーションまでの距離を考えて、全てを運びきるまでに30分はかかるのではないかと推測されていた。夏の朝は明るくなるまでが早い。短い時間で速やかに出してしまわねば、人目についてしまう。「あの人いったい何往復してるの? どれだけごみ溜めてたの?」などと訝しく思われかねない。事実、大量にごみを溜めていたわけだが。
幸いというか、緊張と興奮から早朝4時に目が覚めた私。早速支度をして、気合いを入れて作業に取り掛かる。まるでブロック消しパズルのように隙間を極力作らないようにしてごみを積み上げる。まだ暗い中を、7往復。時間も時間ではあったが、運の良いことに誰にも会うことなく遂行。所要時間は約20分だった。頑張った自分を褒めたい。
待機ごみがなくなってすっきりした玄関の画像を撮り、レインボー氏と母に送る。母からは珍しく「涙出る」などと感動されたが、レインボー氏からは「ドアが汚い」と言われてしまう。即行で洗い流して綺麗にしたが、本当にこの人は遠慮がない。そこが私のように自分に甘い人間には大変助かるのだが。
さあ、これで僅か1Kのアパートの一室が、おおよそ片付いた。だが問題はまだまだ山積み。学生時代からの蔵書で溢れかえる本棚、わけあって暗い部屋、これからやってくる殺人的猛暑、その他諸々対策を講じなければならないことが山ほどあるのだ。それらを私は軽く考えて目を背けていた部分があったのだが、そのひとつひとつにレインボー氏が真摯にアドバイスをし、背中を押してくれたことで少しずつだが確実に事態は好転していく。
今更ながらひとつだけここで重要なことを言うなら、レインボー氏はとても穏やかで優しい。少々子供のようないたずら心が抜けていないところはあるが、変わり者の私に辛抱強く向き合ってくれる人だ。突然アパートへやってきて「差し入れ」と手渡してくれた、自治体の有料ごみ袋(大型)は大変重宝した。
そんなレインボー氏に、少しでも居心地を良く感じてもらえる空間を、私はこれから作っていくのである。
【続く……】