#4138 多角形の内角の和:一般化と拡張 Dec. 4, 2019 [51. 数学のセンス]
中3の生徒が多角形の内角の和に関する問題を読んでいて、しばらく考えているようなのでそばに行くと「さっぱりわからない」とぼやいた。(笑) どうすればいいのか悩んでいたのである。
多角形の内角の和は2年生で習う。この生徒は1年生のところもわからないところがたくさんあるとつぶやいた。教科書や問題をもってきて遠慮しないで片っ端から質問したらいいのである。何をどのように質問したらいいのかわからないのだろう。たくさん質問しているうちに、質問のしかたのコツが呑み込めてくる、それも大事なことなのだ。あまりそばに行って頻繁に質問を拾うのは気をつけないといけない。自主性の芽を摘みかねない。わからないことをわからないと伝えるのは社会人になってからはとっても大事な能力なのである。
どれどれ、どういう問題なのか見てみよう。問題は次のような形で出題されていた。
n角形は( A )個の三角形に分けることができる。三角形の内角の和は180度だから、n角形の内角の和は( B )の式であらわせる。
正六角形を黒板に書いて、頂点に左回りでABCDEFと記号を振っていき、頂点AとCを線でつなぐと1つ目の三角形ができる。次いでAとDをつなぎ、AとEをつないだら、もうそれ以上三角形はつくれないことがわかる。そこで何個の三角形ができたか質問する。数えるだけだからすぐに4と答えた。正解である。
六角形⇒三角形4個
T:「では6をnとしたら、4はいくつと表せますか?」
…
S:「n-2ですか?」
T:「正解ですね、では( A )の答えは?」
S:「n-2です、そういうことか」(笑顔)
4つの三角形に分解したので、その三角形の内角それぞれに弧の記号をつけていく。全部つけ終わったところで、全体を眺めると、六角形の内角の和になっていることがわかる。
T:「三角形4個の内角の和は何度になりますか?三角形の内角の和は180度ですよ、計算してみてください」
…
S:「180×4で、720度です」
T:「4=n-2でしたから、nを使って書いた式が( B )です」
S:「(n-2)×180度ですか?」
T:「はい、それが、多角形の内角の和の公式です」
この生徒の場合は、独力で一般化ができないので、理解が深いところに届かず、問題の形が変わると、別の問題に見えてしまってできない。理解をさらに深めるために黒板に正方形を書きます。
T:「正方形の内角の和は何度ですか?」
S:「360度です」
T:「では、対角線を一本引きましょう。二つの三角形ができます、三角形ふたつの内角の和は何度?」
S:「180度×2=360度です」
正方形の内部にできた三角形の内角に弧のマークを順位つけていきます。全部つけ終わると、正方形の内角の和になることが視覚的に了解できます。
ついで、正五角形をの頂点Aから、CとDに対角線を引いて3つの三角形に分けて見せます。
まとめです。それぞれの多角形とそれを三角形に分解したときの数を並べてみます。
正方形⇒ (4,2)
正五角形⇒ (5,3)
正六角形⇒ (6,4)
正七角形⇒ (7、5)
正n角形⇒ (n、n-2)
S:「ああ、そういうことだったんだ、nの意味が分かった」
T:「そして、これは”正”をとっても同じです、長方形や平行四辺形やひし形で試してみましょう」
ここまでやって、概念の一般化と拡張の操作が理解できる。こういうことを繰り返し体験させることで、概念の「一般化」や「拡張」に慣れてくる。自分で規則性を見つけて、一般式で表すことができるようになる。2割くらいこういう教え方をしないといけない生徒がいる。
メタ認知能力とはちょっと違うように思う、たんに概念の一般化や拡張操作に慣れていないだけ。だから、こういう操作に習熟することで、理解が深まり学力が上がってくる。しかし、普通の生徒の5倍くらい手間はかかります。(笑)
この生徒は夏休みの後で入塾してきた中3の生徒です。もうすぐ高校生になります。
高校数学では座標平面上の内分と外分がベクトル座標上でも再定義されて出てきますが、それも「拡張操作」の一つです。2次関数が3次関数に拡張されます。指数関数の逆関数として対数関数が定義されます。逆関数という新し概念が出てきます。数列の一般項も「一般化」の典型的な例です。漸化式もいくつかのタイプに分けることができますから、これも一般化に入れていいでしょう。微分と積分が三角関数や指数関数、対数関数で定義されますが、これは拡張です。実数が拡張されて複素数が定義されますがこれも数の概念の拡張です。数の拡張にともなってデカルト座標が複素平面に拡張されるという風に、概念の「一般化」や「拡張」が随所に出てくるので、そうした「操作」に慣れておかないといけません。
こうした操作が自然に身についてしまう生徒が1割くらいいます。そういう生徒は分野が変わっても、新しい分野の中に前に別の分野で習った事項が透けて見えてしまう。そういう生徒にとっては同じことを繰り返しているだけだから、簡単に理解できてしまいます。生徒一人一人にこの辺の能力にはたいへんな差があります。だから小さな塾では、個別指導で教えるのがベストなのです。
多角形の内角の和は2年生で習う。この生徒は1年生のところもわからないところがたくさんあるとつぶやいた。教科書や問題をもってきて遠慮しないで片っ端から質問したらいいのである。何をどのように質問したらいいのかわからないのだろう。たくさん質問しているうちに、質問のしかたのコツが呑み込めてくる、それも大事なことなのだ。あまりそばに行って頻繁に質問を拾うのは気をつけないといけない。自主性の芽を摘みかねない。わからないことをわからないと伝えるのは社会人になってからはとっても大事な能力なのである。
どれどれ、どういう問題なのか見てみよう。問題は次のような形で出題されていた。
n角形は( A )個の三角形に分けることができる。三角形の内角の和は180度だから、n角形の内角の和は( B )の式であらわせる。
正六角形を黒板に書いて、頂点に左回りでABCDEFと記号を振っていき、頂点AとCを線でつなぐと1つ目の三角形ができる。次いでAとDをつなぎ、AとEをつないだら、もうそれ以上三角形はつくれないことがわかる。そこで何個の三角形ができたか質問する。数えるだけだからすぐに4と答えた。正解である。
六角形⇒三角形4個
T:「では6をnとしたら、4はいくつと表せますか?」
…
S:「n-2ですか?」
T:「正解ですね、では( A )の答えは?」
S:「n-2です、そういうことか」(笑顔)
4つの三角形に分解したので、その三角形の内角それぞれに弧の記号をつけていく。全部つけ終わったところで、全体を眺めると、六角形の内角の和になっていることがわかる。
T:「三角形4個の内角の和は何度になりますか?三角形の内角の和は180度ですよ、計算してみてください」
…
S:「180×4で、720度です」
T:「4=n-2でしたから、nを使って書いた式が( B )です」
S:「(n-2)×180度ですか?」
T:「はい、それが、多角形の内角の和の公式です」
この生徒の場合は、独力で一般化ができないので、理解が深いところに届かず、問題の形が変わると、別の問題に見えてしまってできない。理解をさらに深めるために黒板に正方形を書きます。
T:「正方形の内角の和は何度ですか?」
S:「360度です」
T:「では、対角線を一本引きましょう。二つの三角形ができます、三角形ふたつの内角の和は何度?」
S:「180度×2=360度です」
正方形の内部にできた三角形の内角に弧のマークを順位つけていきます。全部つけ終わると、正方形の内角の和になることが視覚的に了解できます。
ついで、正五角形をの頂点Aから、CとDに対角線を引いて3つの三角形に分けて見せます。
まとめです。それぞれの多角形とそれを三角形に分解したときの数を並べてみます。
正方形⇒ (4,2)
正五角形⇒ (5,3)
正六角形⇒ (6,4)
正七角形⇒ (7、5)
正n角形⇒ (n、n-2)
S:「ああ、そういうことだったんだ、nの意味が分かった」
T:「そして、これは”正”をとっても同じです、長方形や平行四辺形やひし形で試してみましょう」
ここまでやって、概念の一般化と拡張の操作が理解できる。こういうことを繰り返し体験させることで、概念の「一般化」や「拡張」に慣れてくる。自分で規則性を見つけて、一般式で表すことができるようになる。2割くらいこういう教え方をしないといけない生徒がいる。
メタ認知能力とはちょっと違うように思う、たんに概念の一般化や拡張操作に慣れていないだけ。だから、こういう操作に習熟することで、理解が深まり学力が上がってくる。しかし、普通の生徒の5倍くらい手間はかかります。(笑)
この生徒は夏休みの後で入塾してきた中3の生徒です。もうすぐ高校生になります。
高校数学では座標平面上の内分と外分がベクトル座標上でも再定義されて出てきますが、それも「拡張操作」の一つです。2次関数が3次関数に拡張されます。指数関数の逆関数として対数関数が定義されます。逆関数という新し概念が出てきます。数列の一般項も「一般化」の典型的な例です。漸化式もいくつかのタイプに分けることができますから、これも一般化に入れていいでしょう。微分と積分が三角関数や指数関数、対数関数で定義されますが、これは拡張です。実数が拡張されて複素数が定義されますがこれも数の概念の拡張です。数の拡張にともなってデカルト座標が複素平面に拡張されるという風に、概念の「一般化」や「拡張」が随所に出てくるので、そうした「操作」に慣れておかないといけません。
こうした操作が自然に身についてしまう生徒が1割くらいいます。そういう生徒は分野が変わっても、新しい分野の中に前に別の分野で習った事項が透けて見えてしまう。そういう生徒にとっては同じことを繰り返しているだけだから、簡単に理解できてしまいます。生徒一人一人にこの辺の能力にはたいへんな差があります。だから小さな塾では、個別指導で教えるのがベストなのです。
2019-12-04 12:03
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