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海蔵亮太、日本の美しい原風景を思い起こさせる「晩夏光」インタビュー

海蔵亮太、日本の美しい原風景を思い起こさせる「晩夏光」インタビュー

October 9, 2024 18:00

海蔵亮太

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デジタルシングル連続配信世界記録を達成し、今もなお“Anniversary Every Week Project”を続け、毎週楽曲配信し続けている海蔵亮太。そんな中、10月2日にリリースした配信シングル「晩夏光」が、日テレ系『DayDay.』(月曜日~金曜日 朝9時〜)の10月エンディングテーマ。過去にはGLAYや三浦大知、flumpoolなどもこの番組のマンスリーエンディングテーマを担当。自身初となった地上波でのタイアップ楽曲。作詞&楽曲プロデュースには、錚々たるアーティストのヒット作を世に輩出した末崎正展氏。アレンジャーには数々の人気アーティストの楽曲アレンジを手掛ける宮田’レフティ'リョウを起用。どこか懐かしさを感じつつ、エモーショナルに心動かされる楽曲となった。今回はその「晩夏光」から感じる“日本”について語っていただきつつ、晩夏や秋の夜長についての過ごし方も伺ってみた。


ー 先日「石川県障害者ふれあいフェスティバル~手をつなごう 心をつなごう いしかわまつり~」で、石川県に行ってらしたんですよね。石川県の様子はどうでしたか?

会場は金沢市内だったのでまだ大丈夫でしたが、フェスティバル前日に行ける範囲で周辺を見させていただいたんです。大丈夫とはいえ、近くで液状化したところやまだ下水が整っていない地域もあったので心配ですよね。ただそんな中でも安心したのは、こちらが思っているより前を向いている方が多い印象を受けたことです。イベントでは楽しく僕の歌を聴いてくださったのでそれは本当に良かったですが、1日も早い復旧を願っています。


ー ギネス世界記録は果たしましたが、今も連続配信企画「Anniversary Every Week Project」は続いていますね。9月25日にリリースした「letter(vocal ver.)」はピアニスト、はらかなこさんのカヴァー。なぜこの曲を?

お仕事ではらさんとお会いして、はらさん伝いで色々なミュージシャンの方たちとも繋がりが出来ていったんです。その過程でこの曲の存在を教えてもらい、作詞をされた58worksさんから「海蔵さんに歌って欲しいです」と言っていただいたので、是非と思って歌わせていただきました。この曲の歌詞は、58worksさんのご友人とそのお子さんに向けたものなんです。ご友人のお子さんが幼くして亡くなってしまい落ち込んでいるを目の当たりにしたことで元気づけようとこの曲に歌詞をつけて、“遠くへ行ってしまった大切な人に届くように”という想いで、色々なアーティストがこの曲を歌う【letters project】を作ったそうなんです。


ー そうだったんですか。

そのご友人、つまり亡くなった子の親御さんはまだこの曲を聴けないという話も伺いました。お子さんの死は勿論悲しいことですし、それを思い出すこともまだ辛いと思いますが、僕は悲しくなりすぎないように歌いました。何年後、何十年後かに聴いた時にこの曲を良かったと感じてもらえれば嬉しいです。


ー そして、10月2日には、ニューシングル「晩夏光」をリリース。この曲は、日テレ系『DayDay.』の10月エンディングテーマ。地上波でのタイアップは初ですね。

そうです!正直言うと僕自身、タイアップなどを意識したことがなかったので、今回こういう形で聴いていただけるのはめちゃくちゃ嬉しいです!しかも『DayDay.』は僕も実際に観ているので尚更嬉しくて。政治経済のニュースだけではなく、料理コーナーや色々な企画がある中で、最後にこの「晩夏光」が流れるのはすごい感慨深いですね。


ー 確かに自分が実際観ている番組に携わるというのは嬉しいですよね。

そうなんです。朝起きて、なんとなくテレビを流しながら家で過ごすみたいな、ザ・平成の家庭で生まれ育ちのテレビっ子なので(笑)、『DayDay.』は勿論ですが、テレビを観ない日はないかも。家のインテリアを考える時も、テレビありきで考えるくらいですからね。テレビはここに置くから、他の家具ここをこうみたいな感じで。


ー テレビありきでインテリアを考えるのはちょっとわかるかも。そしてミュージックビデオも公開されましたね。

曲のイメージを考えると、豪華で盛大という感じではなくシンプルに自分が歌っている映像だけでこの曲の魅力は伝わるかなと、個人的には思っていて。そういう意味ではとてもシンプルですが、曲を邪魔しない映像になったと思います。


ー ネイルもしていませんでしたよね。

そうなんです。今回、監督が4K.makotoさんという方なんですが、しなやかな手の動きで曲とリンクさせたいという想いがあり、結構手のショットだけの撮影に時間をとっていただいた気がします。


ー 花火の音が鳴るところの動きも、しなやかで美しかったです。

ところどころで花火やお祭りの写真が出てくるんですが、僕の祖父母が住む熊本県人吉市の商工会議所から写真を提供していただいたんです。実際人吉に遊びに行って、あの花火を見て夏を終えてましたから、僕自身今回の映像は自分の原風景というか、懐かしさを感じるものにもなりました。


ー そして楽曲ですが、日本独特の情緒や美しさ、エモーショナルさを感じる本当に素晴らしい曲ですよね。今こうやって海蔵くんとお話しながらも、ずっと脳内に流れていますもん。

嬉し……あ、それ駄目じゃないですか!(笑)


ー アハハ、確かに。ちゃんとインタビューします(笑)。編曲は、宮田’レフティ’リョウさん。和の要素を大切にしながら、シンプルかつ印象的なトラックは曲のイメージを際立たせていると感じました。

それは僕も感じました。それこそ日本というテーマを持った曲でなければ、多分編曲としても全然違うニュアンスになったと思うんです。でも日本というテーマがある中で、日本のみならず海外の方ともジョインして色々な音楽を作っていらっしゃる、いわば時代の最前線の方が作る日本の音楽ってどういう感じなんだろうってワクワクしていたんです。僕からは、壮大でありつつ日本の文化の一つの、侘び寂びや物悲しさ、ある種の物足りなさのニュアンスをどこかに入れて欲しいとお願いはしたんですが、その部分を踏まえこの形になったのは大正解だと思いますし、やはりレフティさんにお願いして良かったです。

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ー どのような楽曲になったか、改めて教えてください。

今回は、夏が終わり秋がやってくる季節の境目にフォーカスした曲です。夏が終わる時って、季節の移り変わりに誰しもが持っている感情というか、寂しさはありつつ秋の訪れも感じられて、ただ儚く寂しいだけではない。


ー ええ、わかります。

春夏秋冬があるのはやはり日本独特ですし、晩夏であるお盆の時期は、今はもういない、会えなくなった人たちが帰ってきますから、そういう意味でも日本人の誰しも持っているであろう心の機微や動きを感じてもらえる楽曲になったと思います。先程お話に出た花火の映像もそうですが、幼い頃、夏の花火の思い出を持っている人も多いと思うんです。この曲を聴きながら、そういう日本の美しい原風景のようなものを思い起こしてもらえたら嬉しいですし、やはり自分は日本人なんだと僕自身、この曲に再認識させてもらった気がします。


ー 資料には、作詞を担当された末崎正展さんの歌詞への想いも綴られていましたが、その中に「その声の持つ、切なさ、情感、そして和の雰囲気を大切にしたいと思った。」と書かれていました。

毎週連続配信リリースのチャレンジがなかったら、こういう歌い方や表現にはなっていなかったかもしれません。


ー というと?

今まではこの音をこういう風に歌いたいとか、ここのリズムはもうちょっと引っ張ってとかテンポを意識してとか、技術的な部分をすごく考えながら歌うことが多かったんです。でも1年間、毎週色々なタイプの曲を届ける活動をしていく中で、“音楽はそこちゃうねん!もっと自由に歌いなよ!”みたいなことを過去の名曲たちから教えてもらった気がしていて。勿論この曲だって練習段階では表現や世界観、歌い方は考えましたが、本番のレコーディングでは自分がその時思ったように歌うことに集中しました。その間は自分でもどんな感じになったのか分かんないくらい無心というか……。ただひとつ、聴いてくれる人に届け!届いて欲しい!という思いはいつも共通してます。


ー 難しいと思いますが、特に海蔵くんが響いた歌詞はどこでしょう?

うわ、いっぱいある!どこだろう……2番の歌詞は全体的に好きですね。1番で主人公が想っている人がいるんだな。でも過去の話か……と思いながら読み進めると、もしかしたら相手はもういないかもしれないことが2番の箇所箇所に出てくる。“翳り”とか“影”って日本的な感覚だと不穏なワードというか、もしかしたらもうこの二人は会えない状況なのかなって連想させてくれるじゃないですか。


ー ええ。確かに日本的ニュアンスですよね。

そうやってワードから状況を連想させる日本的な表現も好きだし、そこを感じられる自分も好きみたいな(笑)。日本人で良かったなと感じますね。この歌詞は、本当に小説を読んでいる感覚になりますし、魂をかけて作って書いてくださったんだと感じます。

  翻译: