韓国の歴史: 明治時代の日本人が見た110年前の朝鮮半島 庶民の生活

明治時代、日本は急速に近代化を進める中で、隣国・朝鮮半島への関心が高まっていた。当時の日本人が見た110年前の朝鮮半島における庶民の生活が、記録に残されている。

生活環境と住居

110年前の朝鮮半島では、多くの庶民が木造の伝統的な家屋に住んでいた。家屋は瓦や藁で屋根を覆い、冬の寒さをしのぐためにオンドルという床暖房が使用されていた。この工夫により、寒い冬でも室内は暖かく保たれていた。

職業と産業

農業が主要な産業であり、多くの人々が米や麦の栽培を行っていた。漁業も重要な職業で、多くの村が海に面しており、魚介類を利用した食事が一般的だった。また、手工業も盛んで、陶磁器や布などの製品が地元で生産されていた。

衣類と食事

庶民の普段着は、麻や綿で作られた素朴な衣類であった。特に、男性はチマ・チョゴリと呼ばれる伝統的な服を着ることが多かった。食事は米を主食に、副菜としてキムチや野菜の煮物が一般的だった。肉は貴重品であり、祝祭日などの特別な日にのみ食べられることが多かった。

教育と文化

教育は官吏を目指す一部の富裕層に限られていた。書道や漢文が主要な教育内容であり、儒教の教えが強く根付いていた。文化面では、祭りや伝統舞踊が地域ごとに盛んに行われており、地元の神社や寺院がコミュニティの中心的な役割を果たしていた。

健康と医療

医療施設は限られており、病気になると伝統的な漢方薬や民間療法が用いられることが多かった。予防医学の知識はあまり普及しておらず、衛生状態も現代と比べると劣悪だったため、疫病の蔓延に対する備えが不十分であった。

このように、110年前の朝鮮半島の庶民の生活は、自然環境や文化、伝統に根ざしたものであり、近代化が進む日本から見ると、異なる世界が広がっていたと考えられる。