Kuronekoの一日のスケジュールが順に描かれていく。

毎朝５時に起床。

５時７分にはシャワー。

このシャワーは起きてすぐ無防備の状態から、プロとしてスイッチを入れるための儀式でもある。

５時２４分に歯磨き。

５時２８分。ワンデイコンタクト装着。

５時２９分。メイク。

５時４７分。ブロー&ヘアセット。

メイド服に袖を通し、６時に出勤。

（住み込みなので部屋を出ればもう職場）

Z家使用人のルールは厳しく、わずかなミスでも露見すればすぐ誰かの首が飛ぶ。

Z別邸では上級使用人（執事など）がいないため、最も古株のKuronekoがまとめ役として、細心の注意を払って監督する。

掃除だけでなく、料理長との打ち合わせや庭師への指示などもKuronekoが行う。

７時７分には主人（かぐや）の着替えの手伝いとスケジュール確認。

その後かぐやが朝食をとるが、使用人の同席は許されない。

８時１７分。Kuronekoはかぐやの登校を見届けてから、朝食のサンドウィッチを手早くとりつつ、郵便物の確認。

８時２０分。学校に送迎してもらいながら、車内で今朝の郵便に対する返信内容の草案作成。


秀知院に登校してからは、主人の様子に気を配りつつ、クラスメートから情報収集。

主人の周囲にあるトラブル（対象F）の警戒や、イレギュラー（語りたいの二人）などの影響で、午後3時過ぎには体力がつき始める。

かぐやのいる生徒会はプライベート空間の為、許可なく立ち入りはできない。

５時半にはかぐやの帰宅の送迎に、極力同席。

かぐやにはならい事や来客対応などがあるため、このタイミングでしか打ち合わせができないため。

５時４７分にはかぐやの習い事（この日は琴）。

７時１１分。屋敷に戻って来客対応。かぐやが来客の相手をする傍らでKuronekoも控え、ワインを出したりプレゼント用のバラを即座に用意するなど動く。


１７歳の少女が行う労働ではなかったが、生まれてからずっと生粋の使用人として生きてきたKuronekoが疑問を抱くこともなく、それはただの日常（ルーティーン）だった。

午後９時３２分。

Kuronekoは毎晩のように主人に呼び出され、どうでもいい話に付き合わされる。

すでに疲れきっていて休みたい時間帯だが、この時間はKuronekoにとって唯一の特別な時間だった。

１１時２１分には自室に戻り、最後の仕事として、本家の人間にかぐやの言動を事細かく報告。

報告が終われば明日の準備をしつつネットの動画（スライムを無感情につぶしまくってみた）を見てから就寝。


いつものようにシャワーを浴びて、身支度を整えるKuronekoだったが…。

メイクやヘアセットをしながら、泣き出してしまうKuroneko。

Kuronekoはかぐやのおつきになってから、毎日罪悪感を感じていた。
Kuroneko