– まず、浄相院について教えてください。
浄相院は1572年に開山した浄土宗のお寺です。450年あまりの歴史がありますが、実は、関東大震災で資料を喪失し開山以降の詳細があまり残っていない状態です。ここ埼玉県川口市にて地域の方によって守られてきたからこそ、長い歴史を継承してこられたのだと思います。現在は、父が住職、私が副住職を務めております。
– 畑中さんはまだお若いですが、いつ頃お寺を継ぐことを決めたのでしょうか。
お寺に生まれたので、いつかは継ぐのだろうなと思う一方で普通の家への憧れもありました。一旦お寺から離れて自分自身を見つめなおすために地元を離れ、関西にある立命館大学に進学しました。
結果、離れることでお寺や仏教の良さに気付けたという面もあります。大学院は佛教大学へ進学し、そこで今まで関わりのなかった同じ境遇の方達と出会い、刺激を受けた経験から仏教の道へ進むことを決心しました。
– お寺に生まれたという宿命もあり、様々な葛藤があったのではないですか?
幼少期は、普通の家庭の子と同じように過ごしたいという想いもありました。しかし、同じ境遇の仲間と出会い修行を重ねていく内に、お寺に生まれた意味や私にできることは何かを考えるようになりました。「お寺離れ」が進む昨今、誰もが気軽に来られる地域社会に開かれたお寺でありたいと思っています。