浄相院 | ワードプレステーマTCD

浄相院|副住職 畑中 芳明さん

死を見つめて、今を生きる。仏教は生きている私たちのためにある。

こんにちは、TCDインタビュー編集部です!
皆さんのお住まいの地域にもお寺ありますよね?コンビニよりも数が多いと言われていますが、お寺がどういう場所でどのような活動を行っているのかご存知でしょうか。埼玉県は川口市で地域に根差したお寺として歴史を重ねてきた浄相院の副住職 畑中 芳明(ハタナカ ホウミョウ)さんにお寺が抱える問題やそれを変えるための取り組みについてお伺いしました。

地域社会に開かれたお寺へ

– まず、浄相院について教えてください。

浄相院は1572年に開山した浄土宗のお寺です。450年あまりの歴史がありますが、実は、関東大震災で資料を喪失し開山以降の詳細があまり残っていない状態です。ここ埼玉県川口市にて地域の方によって守られてきたからこそ、長い歴史を継承してこられたのだと思います。現在は、父が住職、私が副住職を務めております。

– 畑中さんはまだお若いですが、いつ頃お寺を継ぐことを決めたのでしょうか。

お寺に生まれたので、いつかは継ぐのだろうなと思う一方で普通の家への憧れもありました。一旦お寺から離れて自分自身を見つめなおすために地元を離れ、関西にある立命館大学に進学しました。

結果、離れることでお寺や仏教の良さに気付けたという面もあります。大学院は佛教大学へ進学し、そこで今まで関わりのなかった同じ境遇の方達と出会い、刺激を受けた経験から仏教の道へ進むことを決心しました。

– お寺に生まれたという宿命もあり、様々な葛藤があったのではないですか?

幼少期は、普通の家庭の子と同じように過ごしたいという想いもありました。しかし、同じ境遇の仲間と出会い修行を重ねていく内に、お寺に生まれた意味や私にできることは何かを考えるようになりました。「お寺離れ」が進む昨今、誰もが気軽に来られる地域社会に開かれたお寺でありたいと思っています。

寺院を取り巻く環境の変化

– 実際に「お寺離れ」や「仏教離れ」を感じることはありますか?

単身化と地域社会の疎遠化で「死」が共有されにくい時代になりつつあることを実感しています。人はこの世に生まれ、様々な人と関わりを持ち、そして死んでいくわけですが、お寺は、お葬式であったり法事であったり、お盆、春秋のお彼岸でのお墓参りを通じて「死」というものに向き合うことのできる大切な場所であると思っています。ただ、檀家制度が崩壊しつつある現在、今後お寺の数が減少していくのは間違いなく、数十年後には半数以上のお寺が無くなるという見方もあります。

– 半数以上ですか!?そんな危機にあるとは知らなかったです。

そんな危機的状況の中、お寺のあり方を見つめなおし、時代に合った取り組みをする必要があると思います。お寺と接点を持つ機会っていうのは、人が亡くなった後が多いと思うのですが、寺院の役割というのはそれだけではないと思っています。

例えば「写経」「寺ヨガ」「詠唱」といった活動を通じ、地域に開かれたコミュニティーの場であってほしいと思っています。また、子育ての悩みを話せる場や子どもたちの居場所づくりとしての「親子サロン」や、経済的に困難な家庭などに、NPO法人を通してお寺へのお供え物を送る取り組みもしています。葬儀や法要の他にも、こうした社会的な取り組みなどを通じて、地域の方へ関わっていくことも寺院が担うことのできる一つかなと思っています。

仏教は生き方のヒントになる

– 仏教の教えは人生の助けになることも多いですよね。

人生は四苦八苦(※1)。苦しみ悩むことが多いものです。そんな時に仏教的な視点から物事を見ると、生きやすくなることもあります。人は必ず死を迎えます。身近な人が亡くなってからお寺や仏教と関わりを持つケースが多いですが、今を生きている私たちのためにお寺や仏教があります。法要や葬儀で死を見つめ、死について考えることが生き方を考えることにも繋がります。モノや情報の豊かな時代、目に見えるもので価値を判断しがちですが、目に見えないものに対して関心を寄せるのも大事だと思います。

– いつか必ず訪れる死。それにどのように向き合うかで生き方も変わってくるのかもしれないですね。そのためにもまずはお寺に足を運んで、仏教を知ることが大切ですね。

生きていく上で人生って思いどおりにならないもので、歩んでいく中でうまくいかずに、立ち止まる瞬間があります。「写経」「寺ヨガ」「詠唱」といった活動を通じて、ゆっくりと深呼吸をして自分を見つめる時間。心身をリラックスできる場になればと願っています。最初はお檀家さん中心でしたが、ウェブサイトを作ってからは、今までお寺とは関わりのなかった参加者も増えてきました。サイトを通じてお寺に足を運んでくれるきっかけとなり、仏教に触れることで何かを感じていただけたら嬉しいです。

(※1)避けることのできないこの世での人間の4つの苦悩(生まれること、老いること、病むこと、死ぬこと)を「四苦」という。四苦にさらに4つの苦悩(愛する者と別れる苦しみ、怨み憎しむ者に会う苦しみ、欲しいものを手に入れることができない苦しみ、人間の身心を形成する物質的、精神的現象から苦しみが盛んになること)を加えて「八苦」という。

ウェブサイトで閉塞感を無くし、
お寺を身近に感じてほしい

– ウェブサイトで情報を発信することが、お寺を知ってもらうきっかけにもなりますね。

お寺は閉鎖的なイメージがあると思いますが、お寺の取り組みを発信し、知ってもらうことで少しでも興味を持っていただければと思います。そのために、今まで接点のなかった方とお寺を結び、身近に感じてもらうためにウェブサイトを制作しました。TCDさんのMIKADOを使用させていただきました。

– MIKADOをご利用いただきありがとうございます!お気に入りポイントやサイト制作でのこだわりを教えてください。

まず、縦書き表示で日本語が美しく見える洗練されたデザインが魅力ですね!お寺の持つ和の雰囲気をウェブ上でも表現できるところが気に入っています。また、お寺は行事が多いのでそれを分かりやすく表示できるスケジュール機能もありがたいです。

デジタルでもぬくもりを感じていただけるように、法話記事のアイキャッチ画像に手書きの字を採用したり、スマホでの視認性を考慮し、画像やフォントサイズを調整するなど工夫をしました。

– スマホで閲覧される方も多いので、スマホ表示の綺麗さは重要なポイントですね。

Googleアナリティクスのようなツールで確認しても、今はスマホで見る方がほとんどなので、スマホでの「視認性」や「可読性」「判読性」といった部分にこだわりました。おかげで、スマホでも綺麗な表示が実現できています。

TCD AWARD 2022 第1位を受賞!

TCD AWARD 2022 第1位の受賞おめでとうございます!何か反響はありましたか?

ありがとうございます!1位を受賞できるとは全く思っていなかったので、素直に嬉しかったです。MIKADOテーマを活用できているという自信にも繋がりました。親子サロンといった活動のコンテンツはまだ作成できていないので、もっとコンテンツを拡充させていきたいと思っています。

また、1日のアクセス数が10-15件くらいだったのが、受賞後900件くらいに増えたのには驚きました。今は落ち着きましたが、多くの方に見てもらえてありがたいです。どういうサイトなのか確認するためのアクセスが多かったと思いますが、その中でお寺の活動内容が少しでも伝わっていれば嬉しく思います。

– お寺、そして仏教の魅力を発信するためのウェブサイトに、ぜひこれからもTCDテーマを活用してください!

ウェブサイトはお寺の取り組みを知ってもらう一つのきっかけになると思います。人生において、つまづいたり、立ち止まった時に仏教的視点が何かのヒントになることもあります。今後、地域の方のためにもっと開かれたお寺になるよう新たな取り組みも考えていきたいです。

人が気軽に集まれる場としてお寺の可能性を広げるとともに、迷った時や困難な時に少しでも支えになれるよう、仏教の魅力を多くの方に伝えていきたいです。

編集後記

埼玉県は川口市の浄相院で副住職を務める畑中 芳明さんにお話をお伺いしました。宗教というと敬遠したくなる気持ちがあるかもしれませんが、「生き方のヒント」「人生が楽になるもの」と考えれば少し触れてみてもいいかなという感覚になるのではないでしょうか。浄相院さんはもちろん、お住まいの地域のお寺に足を運んでいただき、お寺や仏教について考えてみるのもいいですよね。人生が豊かになるかもしれません。畑中副住職ありがとうございました!

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