JR東日本の新幹線に荷物専用車が登場か 物流の将来像を考える
営業用の新幹線で沿線の食材やみやげ品を運ぶ「(新幹線)貨客混載」……。鉄道の新しい利用方法として定着が進む中で、JR東日本が荷物専用車両の開発を構想していることが2024年10月2日、明らかになった。同社からの正式な発表はないが、主なマスコミが一斉に報じた。
従来の新幹線物流は一般車両の一部や空席を利用するスタイルで、荷物専用車が誕生すれば新幹線では初めてとなる。
報道を総合すると、荷物専用車は既存の新幹線車両を改造。大型の扉を設置して、荷物をスピーディーに積み降ろしできるようにする。車内は座席を撤去。編成では、先頭または最後部に連結するといったイメージだ。
JR東日本の新幹線貨客輸送は2017年にスタート。主にグループのジェイアール東日本物流との協業で、トライアルの形を取りながら継続。2021年秋には、荷物輸送サービス「はこビュン」のネーミングで浸透を図っている。
新幹線(一部在来線特急も)で運んだ荷物は、主に駅コンコースやグループの駅ビルで販売。グループ収益の拡大とともに、沿線の魅力を知ってもらうことで鉄道の利用促進にも一役買っている。
専用車両につながるトピックスでは、2023年8月に車両基地間の高速・大量輸送に挑戦。荷物搬出入や積み降ろし、荷さばきなどの課題を検証した。
その結果、既存車両では一定の課題があることが判明。東京駅での折り返しなど、限られた時間での積み降ろしには専用車両が有効と判断したとみられる。
JR東日本は専用車両採用を機に、旅客と荷物の需要割合などを比較しながら本格導入の可能性を検証する。
物流業界では、2024年度からのいわゆる〝物流2024年問題〟でトラックドライバー不足などの課題が表面化。新幹線物流が存在感を増している。
記事:上里夏生
※2024年10月7日15時7分……一部本文を修正いたしました(鉄道チャンネル編集部)
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