いつもくしゃくしゃにはにかむ笑顔の中野さん


2022年に彩の国100km女子優勝(20:11:58)、2023年にサイラー(33:08:53)、そして2024年に100mile女子優勝された中野沙知さん。
走りやすかった前回よりも、さらに記録を伸ばして優勝。どのようなトレーニングを積み、どのような対策をしていたのか聞いてみました。

中野 沙知さんの記録 / 100mile / 31時間31分24秒

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Q.女子優勝おめでとうございます。感想を聞かせてください。

ありがとうございます。今回、優勝を狙って挑んたものの、昨年度完走がやっとだったので、とても嬉しかったです。

Q.今回の彩の国、去年と比べて暑かったと思います。いかがでしたか?

確かに暑いとは思いましたが、元々暑さは得意な方なので、なんとかなりました。

Q.彩の国へ向けてトレーニングはどのように組み立てましたか?

12月まではトレイルを中心に(他のレースもあったので、試走中心)、1〜2月はハーフマラソンやフルマラソンがあったので、ロードをメインに行いました。試走をしたのは、4月になってからでした。

Q.ロードとトレイルどちらも走るんですね。それぞれどのように取組まれていますか?

ロードは平日に小金井公園のコースで単独練習をしたり、仕事がない平日夜に練習会に参加(といってもトレイルに行くこともあるので、月に1度も行けていないのですが・・・・。)
マラソンシーズンやトレイルに行かない週末に練習会に参加し、距離走をメインに行っています。
トレイルは、1〜3月以外はほぼ毎月レースがあったので、その試走を行ったり、月1で武蔵五日市を中心に旦那と仲間と一緒にイベントで走っています。
また、仕事のない水曜日の夜に高尾の練習会に参加することもあります。
ここ1年でようやく単独で山のトレーニングに行くようになり、平日休みの時は30km弱で、青梅、高尾、武蔵五日市を跨いだ温泉ゴールのコースを組み、練習をするようになりました。

2023年 試走の様子

Q.直近半年の月間走行距離と累積高は?

11月 311km 13,369m
12月 311km 7,373m
1月 309km 5,126m
2月 193km 3,866m
3月 374km 15,209m
4月 290km 13,146m
です。仕事の際は最寄り駅まで往復3km強の通勤ランがありますが、月間走行距離には含んでません。

Q.改めて走歴を教えてください。

高校で陸上部に入ったことがきっかけで、22年になりました!

Q.最大心拍数と大会中の心拍数はどの程度ですか?

大会中の平均心拍数は128、最大心拍数は178でした。

Q.彩の国大会を走るきっかけは?

2022年に彩の国100kmに挑戦しましたが、その際に旦那及びチームメイトが100マイルに挑戦している姿をみて、チャレンジしてみたい!と思ったのがきっかけです。

Q.今回も試走しましたか?

north1回、southは、south1の東吾野駅〜サンピア、south2の東吾野駅〜サンピア、越生〜東吾野の計3回行きました。
本当はsouthも1周したかったですが、諸事情で行えず、変わりに高尾や武蔵五日市でトレーニングをしていました。

Q.暑熱順化など大会前の暑さ対策何かされましたか?

大会の数日前から凌駕スマッシュウォーターを飲んで、ウォーターローディングをしています。
これを始めて以降、大会でほぼ脱水で走れなくなることはなくなりました。

Q.今回はどのようなレースプランでしたか?

northは抑えて、south1までで20時間前後をターゲットにしていました。
最終周は、正直どのくらいで行けるかは未知でしたが、とにかくペーサーを信じて、胃腸トラブルなく20時間で帰ってこようということを目標にしました。

Q.前の夜、朝食は何を食べましたか?

夜はひつまぶしとR1ドリンク、俺は摂取す。
朝はおにぎりと蒸しパンと大福、俺は摂取す、即席味噌汁を食べました。
味噌汁は胃腸を温めておくため試合当日は、ほぼ必ず取ります。

左2023年、右2024年

Q.ノースは前回とほぼ同タイム、順位は総合50位あたり。抑えた感じでしたか?

抑えて入ったつもりが、はじめはやはり速くなっていたようで、慈光寺エイドの先のロードで仲間に今8時間10分くらいと言われ、再度抑えました。
結果的に、去年とほぼ変わらずですが、去年より余裕をもった状態でnorthを終えられました。

Q.ノース後のリスタートは約13分、どのような補給を?

俺は摂取すと、甘酒をとり、エイドでカルピスやバナナを頂いて出発しました。

Q.サウス1で順位を上げて、前回より40分ほど早くサンピアINされてますね。

昨年は、kinocaあたりで胃腸トラブルが出始めて、その後、竹寺前後でもぐったりだったのですが、今回そのトラブルがなかったのが良かったと思います。対策としては、ジェルを取った後にうめびしお(アルカリ性)をとったことがよかったのかなと思いました。
あとは、炭酸系は昨年は思いのままに2杯くらいもらっていましたが、今年は控えめにし、カルピスなど体に優しそうでカロリーがある飲み物をもらいました。
桂木観音のぐんぐんぐるとが最高でした!

Q.2回目のリスタートは約10分でした。どのような補給を?

ノース同様、俺は摂取すと甘酒、エイドでバナナなどをいただきました。

Q.サウス2でも前回より40分詰めてますね。最後に順位を2つあげてゴール。振り絞った感じですか?

西吾野くらいで31時間台が見えてきて、桂木観音でもしかしたら30分切れるかもしれないとペーサーに叱咤激励してもらいながら頑張りました。

Q.記録には満足していますか?

途中、このままだと32時間きれるかどうかと言われたので、そこから考えると健闘したな!と思いつつ、あと2分及ばずで、悔しい部分もあります。

Q.自分の走り、改善点ありますか?

south1も2も抑えたとはいえサンピアからkinoca区間で苦戦していて、余裕をもった状態でもっと早くその区間を走れるようになりたいというのと、登りのフォームを改善してきたつもりが、3周目にペーサーに見てもらったときにやはりフォームが悪かったようで、改善点です。

Q.サウス1後半から女子トップでした。順位は意識しましたか?追われる不安感じましたか?

northは、今飛ばしてもしかたがないと割り切ってましたが、southに入ってからは結構意識していました。south1の竹寺あたりまでは、エイドで会っていたので、結構焦っていました。
3周目になって、後続との差をペーサーに教えてもらう機会が何度かありましたが、開いてはきていたものの、なにかトラブルが起きたらと思うと、気が抜ける瞬間はありませんでした。

Q.一樹さんのペーサーはサウス1、サウス2どちらスタートですか?

サウス2スタートです。

Q.ペーサーにはどのような依頼をしていましたか?

道案内、弱音をはいたときの叱咤激励、前後の女子選手との差の確認、残りの距離の案内、聞いた地点でのゴール予測タイム、次のエイドまでの距離とおおよその時間、を教えてほしいと頼んでいました。

Q.大会中の暑さにはどのように対処されましたか?

手ぬぐいを濡らして首にかけて走りました。途中のエイドやトイレで何度も濡らし、首元を冷やしました。
southでも陽が落ちるまで暑かったので、冷やしていました。エイドで水をかけてくれたことも助かりました。
自販機で水を買って500mlまるまるかけることもありました。

Q.眠気ありましたか?

ぼーっとする期間はありましたが、眠気は感じませんでしした。ぼーっとし出したのは眠気か熱中症か判断しかねたので、すぐにジェルやカフェインを取りました。
今回はカフェインはこまめにというより、回数を減らし、ここぞというときに一気に量をとりました。メダリストのカフェイン200というジェルが、一気に200mgとれたので、30分くらいですぐ効きました。サウス1,2で1本ずつとりました。

Q.行動食にはどのようなものを?

自前の行動食はジェルで、俺は摂取すのぶどう味、アンドウーを中心に持っていきました。
アンドウーは、ジェルというより飲むあんこという感じで、胃腸が弱ってきても摂取できるので安心でした。
サウス2では、ロクテインやパラチノースを水に溶かしてました。
途中で足りなくなって、子の権現でおにぎりを買いました。固形物とジェル両方とったことがよかったのかもしれません。

Q.エイドで飲食されましたか?

今回は結構食べられました!クリームシチューや豚汁、うどんなど胃腸が温められるものが多く助かりました。

Q.今回の装備を教えてください。前回との違いありますか?

ザックはノースフェイスのTR10です。前回は別のザックで、腰ベルトを使っていましたが、腰ベルトはお腹を圧迫した感じがあったので、ザックを変更して左右の胸の部分にジェルがたくさん入るようにしました。
ライトはレッドレンザーで、頭が9R、腰が5R、ハンドライトもレッドレンザーで、結構明るくしていました。腰ライトはsouth1の飯能アルプス対策でした。
シューズはMERRELLのアジリティーピーク5で、昨年のハセツネ以降、下りが急なレースは、ほぼこのシューズで走ってきました。

Q.疲労感、前回と違いますか?

大きく潰れなかった分、今年の方が若干終わった後の疲労は少なかったかもしれません。が、疲れました。

Q.疲労抜きにはどのようなことを?

とにかく休足と早く寝ることを心がけました。食事もたくさん撮りたかったのですが、食欲は減っていました。

Q.練習再開はいつから?

1週間後にレースのスイーパーをするまではほぼ走らず、そのスイーパー以降も一週間あまり走らずで、結局しっかり再開したのは2週間後でした。

Q.ライフ、ワーク、トレーニング、大会、どのように取り組まれていますか?

月末月初で仕事の時間が長いときは最寄り駅の手前から帰宅ラン、もしくはそれすらできないこともありますが、平日2回は短めのペース走をし、週に1〜2回は山で走るというのがスタンダードになっています。
昨年度はほぼ毎月大会があったので、調整するレースは前後の休息あり、レース前の試走ありでした。今年の夏はレースを控えたので、試走やトレーニング頑張ります!

Q.直近の目標は?

秋口の大会で去年以上のタイムを出すことが目標です。

Q.先々の大きな目標は?

いつの日か、海外レースに出てみたいという願望はありますが、明確な目標とまではイメージがつきませんでした。
今は国内でいろいろな距離のレースに挑戦したいです。

Q.トレランや登山以外の山でのアクティビティ何かしていますか?

山は走るのみです。以前、トレランをしない友人と登山をしたら、やはり走りたくなってしまいました。

Q.好きな山や山域を教えてください。

武蔵五日市、高尾、青梅です。青梅の高水山三山が好きです。

Q.彩の国大会はまた参加したいですか?

来年も参加したいです。

Q.来年の参加者に一言アドバイスを

ノースで早くなりすぎないように、ノースの試走は出し切らずに何分で走れたかがわかると当日の参考になると思いました。(試走のときの方が荷物が多いので、レースのほうが早くなるのですが・・・。)
ノースでの貯金は、失速するとサウスで一瞬でなくなります・・・(悲)後半走れたほうが彩の国はいいと思いました。

Q.最後に自由に感想をお聞かせください

色々聞いてくださり、自分の振り返りにもなりました。このような機会をいただきありがとうございます。
彩の国は自分の初の100kmレースの優勝及び100mileレースの優勝の、思い出に残る大会です。道中は単独になることも多いですが、エイドや応援の方など、たくさんの方に親切にしていただいて、頑張ることができました。ありがとうございました。
来年も頑張ります!

お知らせ

奥多摩エリア、日本山岳耐久レースのコースなどで中野一樹さん、沙知さん主催の練習会をたくさん開催されています。
気になる方は下記よりご確認ください。

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