県域水道一体化の県財政シミュレーション検証の方針 大和郡山市、議会で試算方法疑問視する指摘受け
奈良県が進める県域水道一体化への参加見送りを表明している大和郡山市は15日の市議会12月定例会一般質問で、県が示した一体化の財政シミュレーションについて検証する考えを明らかにした。議員から、経費の試算方法を疑問視する指摘があり、これに答えた。
丸谷利一議員(維新)が取り上げた。県が市町村に示した幾つかある試算の一つは、水道の事業統合をした場合、市町村の単独経営で推移する場合と比べると、2048(令和30)年時点において、水道料金1立方メートル当たり47円安くなる(参加予定28市町村の加重平均との比較、投資ベース160億円超)としている。
同議員は、県の財政シミュレーションの柱の1つである市町村浄水場の更新費用に対して質問。同市営昭和浄水場を例に取ると、電気系統の設備は、配水池やろ過施設などとは維持管理や耐震工事の性格が異なり、これら水道施設群を単純に一つの更新費用にしてくくるのは無理があり、「県のシミュレーションは市町村が浄水場を更新する経費を過大に見積もっているのでは」と批判した。
答弁した市上下水道部の上田亮部長は「県が示す数字に過小、過大な数字はないか、検証したい」と述べ、読み直すことを明らかにした。県は、一体化によるマイナス面を県民に示していないが、丸谷議員は県の一体化構想の長短をどう認識しているかを尋ね、上田部長は「一体化のデメリットは独自水源がなくなることである」と答えた。
「奈良の声」の調べでは、県域水道一体化の財政シミュレーションは当初、県内コンサルタント業者の積算をもとに800億円の削減効果を見込んでいたが、県は今後の市町村との協議において、浄水場を段階的に廃止していく可能性を残して大幅に下方修正した。この日の同市議会一般質問で取り上げられた財政シミュレーションの数字は今年4月、同じ業者が積算した「県域水道一体化の合意形成に向けた検討業務」の中にある。 関連記事へ