新米販売開始 北陸 コメ品薄一段落
2024年8月30日 05時05分 (8月30日 09時33分更新)
「買い占めせず 冷静に」業者訴え
全国的にコメの品薄が続く中、北陸の小売りの現場では今月から新米の販売が始まり、店頭での不足状況が和らいできた。だが、大都市の深刻な品薄の余波で価格は昨年より2~5割前後高い。流通関係者は今後、主力品種や主力産地の新米が順調に出回れば、品薄は解消に向かうとみており、事態収束のために、まずは「消費者が買い占めをせず、必要な分だけ購入してほしい」と冷静な対応を求める。 (伊東浩一)
石川県内の各スーパーでは今月24日から、県産のわせ種「ゆめみづほ」の新米が並んだ。2023年産の古米が少なくなったコメ売り場に、ゆめみづほの新米だけが潤沢に積まれている店が多い。
県産のわせ種「つきあかり」の新米も出回る時期を迎えており、県内のスーパーの担当者は「注文は殺到しているが、品薄感はいったん収束するのでは」とみる。北陸各県などで店舗展開するスーパーの平和堂(滋賀県彦根市)の担当者も「新米、古米とも在庫は確保できている」と説明。新米の供給開始で品薄感は一息つくとの見方が広がる。
ただ、新米の価格は高騰している。ゆめみづほの石川県内の店頭価格の相場は10キロが税込みで4900~5700円前後。スーパーやコメ卸業者によると、需給が引き締まっていることや農業資材などが高騰していることから、昨年より千~2千円ほど上がった。
そもそも、北陸のコメの品薄感は7月ごろまで、じわりと広がっている程度だった。昨夏の猛暑で23年産米の供給量が少なかった一方、訪日客の回復などで需要が高まり、コメの民間在庫(5月末時点)は石川県で前年比16・8%減の3万2千トン、富山県で16・5%減の4万4500トンと逼迫(ひっぱく)気味だったものの、新米が出回るまで在庫が持つとの見方があった。
しかし、今月に入ると、北陸でも品薄が急加速した。地元の需要というより、8日に「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたことなどを受け、大都市で地震や台風に備えて食料を確保する「特需」が起きた余波とみられる。北陸のスーパーにも県外ナンバーの消費者や業者が買い込みに来たとの情報があるほか、スーパーのマルエー(石川県白山市)の担当者は「都市部などにコメを送る人が多く、お盆過ぎからすごく売れるようになった」と話す。
今後の動向について、コメ卸の中橋商事(同県宝達志水町)の担当者は「ゆめみづほの収量が良かったので、買い占めが過熱しなければ(品薄は)落ち着く」とした上で、「(主力の)県産コシヒカリが9月10日ごろから店頭に並べば、供給は満たされるのではないか」とみる。
別のコメ卸業者は「北海道、東北、新潟といった主力産地が豊作ならば、来年まで品薄にならないのでは」と見通した。
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