ダートのスピード王決定戦
JBCでの短距離部門として創設。川崎開催の2006年こそ“JBCマイル”として1600mで実施されたが、それ以外は1400m以下の距離で争われている。今年で23回目を迎えるが、大井1200mを舞台にするのは9回目。ここでは大井で行われた過去8回(01、03、04、07、11、15、17、20年)に限定して傾向を見ていく。
2007年フジノウェーブ、20年サブノジュニア(ともに大井)が勝利を挙げて南関東が2勝。地方の意地を見せているが、数字上では6勝を含む14連対のJRAが優勢。なかでも栗東が4勝、2着7回で馬券圏内の大半を占めており、3着以内独占は04年と11年の2回で、ワンツー決着は4回。また、地方所属で3着以内に好走したのは全て南関勢で大井が前記2頭を入れて3頭、浦和が2頭となっている。地方他地区からは延べ24頭が参戦しているが、11年ラブミーチャン(笠松)の4着が最高着順。馬券に絡んだ馬は出ていない。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA栗東 | 4 | 7 | 5 | 21 | 10.8% | 29.7% | 43.2% |
JRA美浦 | 2 | 1 | 0 | 6 | 22.2% | 33.3% | 33.3% |
南関東 | 2 | 0 | 3 | 44 | 4.1% | 4.1% | 10.2% |
地方他地区 | 0 | 0 | 0 | 24 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
6番人気以下での3着以内は4頭で、いずれも7番人気か8番人気だった。そのうち勝った2頭はいずれも地方馬で、前述フジノウェーブとサブノジュニア。2020年にJRA所属で2着に入ったマテラスカイは同年に海外で2着の実績がありながら7番人気に甘んじていた。ちなみに地方馬が勝った07年と20年は1、2番人気が馬券圏外に沈んだこともあり波乱となったが、それ以外の年の3着以内馬18頭中17頭は上位4番人気まで。波乱か上位人気での決着か、年によって極端な傾向が見られる。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 3 | 2 | 0 | 3 | 37.5% | 62.5% | 62.5% |
2番人気 | 1 | 4 | 1 | 2 | 12.5% | 62.5% | 75.0% |
3番人気 | 2 | 1 | 2 | 3 | 25.0% | 37.5% | 62.5% |
4番人気 | 0 | 0 | 4 | 4 | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
5番人気 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
6番人気以下 | 2 | 1 | 1 | 75 | 2.5% | 3.8% | 5.1% |
勝ち馬は4~7歳から出ている。【表3-1】を見ると5歳を頂点にした山型になっていることが読み取れる。高齢になるほど好走は少なくなり、7歳以上での3着以内は5頭のみ。5頭の共通項としては近2走以内にダートグレードでの連対歴があった。ただし2走前までにさきたま杯JpnIIかテレ玉杯オーバルスプリントJpnIIIで連対していた7歳以上は【0-0-0-4】。7歳以上でこの臨戦過程は軽視してよさそう。またJRAに限定した【表3-2】を見ると、4歳はかなり信頼がおけるということが浮かび上がる。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0.0% | 0.0% | 25.0% |
4歳 | 2 | 2 | 1 | 18 | 8.7% | 17.4% | 21.7% |
5歳 | 3 | 2 | 4 | 14 | 13.0% | 21.7% | 39.1% |
6歳 | 2 | 1 | 1 | 18 | 9.1% | 13.6% | 18.2% |
7歳 | 1 | 2 | 0 | 23 | 3.8% | 11.5% | 11.5% |
8歳 | 0 | 1 | 1 | 10 | 0.0% | 8.3% | 16.7% |
9歳以上 | 0 | 0 | 0 | 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
4歳 | 2 | 2 | 1 | 1 | 33.3% | 66.7% | 83.3% |
5歳 | 2 | 2 | 3 | 8 | 13.3% | 26.7% | 46.7% |
6歳 | 1 | 1 | 1 | 9 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
7歳 | 1 | 2 | 0 | 4 | 14.3% | 42.9% | 42.9% |
8歳 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0.0% | 33.3% | 33.3% |
9歳以上 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
勝ち馬8頭の前走を調べると東京盃JpnIIが7頭、帝王賞JpnIからが1頭となっていた。東京盃JpnII組の前走着順は1着からの連勝を決めた馬が3頭、2着1頭、3着2頭。2020年の覇者サブノジュニア(大井)を除けば、いずれも前走で馬券に絡んで戴冠を掴んでいた。また勝ち馬の馬体重平均がちょうど500キロ。馬券圏に好走した24頭の馬体重は501キロであった。スピードとパワーが求められる頂上決戦だけに、馬格があるに越したことはない。
JRAでも栗東所属馬が優勢。地方馬に期待するなら大井所属馬がよく、その場合には波乱の決着も想定しておきたい。年齢別では5歳が好成績も、JRAに限定すると4歳が特に優秀。また東京盃JpnIIで3着以内に好走した馬は王座に近い。
(文・前田 恒)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。