認知症者への基本対応
- 受容(否定しない、認知症者の世界観を受け入れる)
- 傾聴(自分のききたいことではなく、相手が話したいことを聞き出す)
- 怒らない(自己覚知によるアンガーマネジメントで対策)
ろう便、便いじり事例:
本人は部屋中に便臭が充満していても、さほど気にならないのかもしれませんが、家族にとってはたまったものではありません。
ろう便行為はおむつの中の便を素手で触ってしまうだけではなく、便を触った手で、衣服や部屋の壁、カーテン、シーツに便を塗りつけ汚してしまいます。
自分で片付けようとしますが、上手くいかずにますます混乱し、汚れた手を綺麗にしようと壁で拭って困ります。
1日に何回もあるので体力も精神的にも疲れ果てています。
ろう便・便いじり原因:
・恥ずかしさ
「周囲の人に便を漏らしたということを知られたくない」ので、自分で何とか始末しようとどこか見えないところに隠そうとします。
・失行
認知症の進行にともなって出てくる中核症状の1つです。脳の運動野の障害によって起こるもので、運動機能や骨、関節、神経などには問題はないのに、やりなれているはずの行為ができなくなります。
認知症への理解がないと「何でできないの」「何でやらないの」となってしまいます。
どのようにしたらきれいになるのか判断ができなくなり、自分で何とか始末しようとするけど、結果的に周囲を汚すことになります。
・便と認識できていない
認知機能が衰え、便と認識できず、食べ物と誤認することもあります。
・便秘
肛門に指を入れ、溜まった便をほじくりだします。粘膜の裂傷により大腸炎を引き起こす可能性もあります。
・ただ、不快に感じる
おむつの中に生暖かいものがあると座った時など、気持ち悪さを感じますよね、その違和感を解消するために手を入れ汚してしまいます。
ろう便・便いじり対策:
ろう便という行為は認知症の影響で排泄物に対する認識が薄れてしまったということを念頭においてください。
お世話をする人を困らせよう、迷惑をかけてやろうなど嫌がらせをしているわけではありません。
本人なりに努力した結果なんです。
おむつ内で便をしてしまったら自分で片付けようとしますが、上手くいかずにますます混乱し、汚れた手を綺麗にしようと壁で拭います。ただ、汚れた手を綺麗にしようとしたけれど、その方法を間違えてしまっただけなのです。
このような時は、「手が汚れてますね、水道で綺麗にしましょうか」「シャワーを浴びて(お風呂に入って)さっぱりしましょうか」などと、声をかけてみましょう。
またその場合も、いきなり冷水シャワーなどは良くありません。早く綺麗にしたい、さっさと終わらせたいという気持ちで一杯ですから、焦る気持ちも分かります
ですが、いきなり冷水シャワーをかけられれば誰だってびっくりするし、嫌な気持ちにもなります。さらに、「浴室=嫌なことをされる場所」などと受け取られてしまっては、今後の入浴にも支障が出るでしょう。
ぬるま湯などで丁寧に洗い、本人の気持ちを落ち着かせるように行うのが良いでしょう。
認知症対応のポイント:
・定期的なトイレ誘導
ろう便はおむつの中の便に対して行われます。排便のコントロールができれば解決できます。
排便の時間帯を把握
朝食後などにトイレに行く習慣をつける
数時間おきにおむつの確認する
ポータブルトイレの設置など
・掃除をしやすい工夫
24時間見守ることは困難ですので、被害を最小限に抑えれるように頻繁に汚される場所を中心に工夫してみてはいかがでしょうか?
壁にビニールシートや保護シートを貼り付ける
畳の部屋には取り外し可能なマットもしくはフローリングを敷く
・安易に身体拘束をしない
自分で触って欲しくないからと、本人の手を不自由にするために、押さえつけたり、ベット柵に手を縛り付けることは慎重に行いましょう。
清潔にするため仕方のない、必要な行為なのはわかりますが、自分が虐待行為をすることに精神が慣れてしまわないようにしてください。
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