トップチームでの結果を追い求める食野亮太郎 [写真]=J.LEAGUE
2018年はシーズン前から『勝負の年』だと強く自分に言い聞かせていた。アカデミーからトップチームに昇格して2年目。目に見えた結果を残して評価を高め、トップチームの試合に絡んでいくことができなければ、昨年と同じ轍を踏むという危機感があったからだ。
振り返ること1年前。食野亮太郎はシーズン開幕前の新体制発表記者会見では、J3を戦うガンバ大阪U-23の一員として会見に登壇したものの、2種登録時代の16年にJ3で示した将来性を高く買われたのだろう。17年はトップチームがキャンプを行う沖縄でプロキャリアをスタートさせる。だが「2度とU-23には戻らない」という決意を結果で示せず、7月には再びU-23へ逆戻り。歯がゆい思いが募った。
「せっかく貰ったチャンスをふいにしてしまったのが悔しい。でも、再びチャンスを引き寄せるのも自分次第なので。1日、1分でも早くトップチームに戻るために、まずはJ3で『数字』という結果を求め続けます」
その『数字』で見ると、昨年のJ3では9月10日のアスルクラロ沼津戦でプロ初ゴールを含む2得点、さらに10月30日のギラヴァンツ北九州戦で1得点とゴールを決めたが、クラブとしては「物足りない」という評価だったのだろう。開幕前のトレーニングはトップチームとU-23が合同で行っていたとはいえ、トップチームの練習試合などには全くと言っていいほど絡むことができなかった。
それでも「普段の練習から常にアピールできるよう、腐らずにやり続けます」という決意で日々のトレーニングに取り組んだ。今年のJ3では3月11日開幕戦で2得点、さらに4月1日の藤枝MYFC戦では2得点を挙げる活躍を見せたことで、以降はトップチームでプレー。4月8日のヴィッセル神戸戦を皮切りに3試合連続で先発を飾り、現在もトップチームの試合に絡み続けている。
だが、J1では無得点という数字が物語るように、今のところ思うような『結果』は出せていない。ルヴァンカップではグループステージ第5節のサンフレッチェ広島戦でゴールを決め、肩の力が抜けたかと思われたが、途中出場が続く最近の試合でも、自分を出し切れないまま試合が終わっている印象も強い。中断明けのここ2試合も然りだ。本人もそこは自覚している。
「途中から出してもらう以上、もっと積極的で溌剌としたプレーを求められていると思いますが、今はまだ流れを変えるほどの勢いを示せていない。もっと動き回って、奪われてもいいからどんどん仕掛けていくくらいの気持ちでやらないと。この中断期間では、ゴール前での仕掛け、シュートに持って行くまでの動きを重点的に練習したし、その中では自分の形も作れるようになってきた。それでも試合に出るとまだまだ切り替えもカバーも遅いし、ハードワークも足りていない。去年のようなトップチームからU-23に落とされた悔しい経験を2度としないためにも、もっと積極的にインパクトを残すプレーをしなければいけないと思う」
今年の6月で20歳を迎えた。この中断期間には仲のいい同級生、現在オランダのフローニンゲンで活躍する堂安律とも再会し、多くの刺激を受けた。彼が舞台とする『海外』は、食野もいつかプレーを夢見る場所だが、今は足元を見て着実にステップアップしていくことに集中している。
「律から話を聞くほど『自分もいつかは』と思いますが、今はとにかくガンバで結果を残すこと。育ててもらったガンバに恩返しをすることが先決。チームが苦しい状況にある今、自分が立て直してやるっていうくらいの気持ちを出して戦っていきたい」
その上でまずもっての目標に掲げるのは2020年の東京五輪だ。「自分たちの世代でJ1に出続けている選手はまだまだ少ない。それを自分ができれば一気にチャンスが広がるはず」
その実現のためにも、まずはガンバ大阪の『起爆剤』になるべく覚醒を期待している。
文=高村美砂
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