うたちゃん日記

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黒海沿岸部輸送ルートそれぞれの回避ルートの考察(非ロシアルート、非ウクライナルート)その1鉄道連絡船鉄道フェリーについて

<日付:2023/6/18:20230618>

ウクライナ情勢の進展に伴い、様々な黒海沿岸の情報を調べてみたのだが、鉄道連絡船(鉄道フェリー)航路や、非常時用設備として残しているだろうと思われる跡地がいくつかグーグルマップ(ヤフーマップ)から調べてみた記録。

 

※用語は専門家では無いので正確では無く違っているかと思います。

 

<ロシア~クリミア半島

ケルチ海峡を結ぶ航路(1520mm軌間

・ケルチ港北部(クリミア)~カスカース港(ロシア):可動橋3線のタイプ

・ケルチ港南部(クリミア)~カスカース港(ロシア):可動橋5線のタイプ

 

ケルチ港北部

可動橋3線船内前部4線のタイプの船が使用されている

町外れ(北部)だが、航路長が短いルート、ヤードが小さく輸送力が限定的か?

 

ケルチ港南部

可動橋船内ともに5線のタイプ、黒海沿岸共通仕様だろうか?

クルミア大橋のすぐ北に位置する。やはりヤードが小さく輸送力は限定的かと。

 

ロシア、カフカース

北側(上)の可動橋は3線、南側(下)の可動橋は5線、北側岸壁はスペース調整のゴムみたいなのが見え、可動橋の大きさも南側と変わらないので、大きい5線式に将来対応出来るようになっているようす

ケルチ側よりヤードは広いが、他の燃料輸送系の側線と共通だったりする。

クルミア大橋障害時に温存しておくべき施設だが、クルミア大橋と鉄道連絡線ともに、ヤードが極端に少なく、本格的な機関庫が見当たらず、ウクライナ大橋のロシア側鉄道施設と一体に建設されたと思われる『燃料系鉄道船舶連携輸送基地』と比較して貧弱さが目立つ。『仏作って魂入れず』では無いのだろうか?

クリミア大橋のような目立つ施設を作っても、ハゲロヴァ駅以西は単線のよう。

 

ブルガリア、バルナ港~ジョージア、ポティ港、~ウクライナ、オデーサ港>

ヨーロッパ標準の1435mm軌間と、ロシア標準の1520mm軌間を結ぶ鉄道連絡船

バルナ港側に大量に留置している軌間変更用台車があり、バルナ港で軌間変更の作業をしているようだ。したがって鉄道連絡船デッキの軌間は1520mmだと思われる。

 

ブルガリア、バルナ港

可動橋船内ともに5線のタイプで黒海共通。可動橋設備は2セット

可動橋の背後にある、広軌ヤード、台車交換施設、標準軌ヤード

連絡船がフル稼働でも充分に対応出来そうな広大なヤード、現状台車が無数に留置されていて、稼働率は良くないかもしれない。

かなり湾奥にある鉄道連絡船設備、東側のエリアは軍港、造船ドック、エネルギー用桟橋、資源輸送桟橋のよう

 

ジョージア、ポティ港

可動橋船内ともに5線のタイプで黒海共通。港湾地帯が狭いのだが、鉄道施設が割と充実しているのは、ロシア側の開発で鉄道が重視されていた時代の建設なのだろうか?

港湾地区北側に港湾と一体化されていないトラックターミナルがあるのだが、東側の鉄道ヤードともに面積は広大。

 

ウクライナ、オデーサ港

可動橋船内ともに5線のタイプで黒海共通。オデーサ地域広域のヤード施設と連絡しており、拡張する気になれば余地があるのではないだろうか。

鉄道連絡船は市街地から遠い南部の港湾にある。

現在ウクライナ紛争で政情不安定だが、ウクライナEUに加盟となれば、ヨーロッパ標準の1435mm軌間で、ポーランドと接続したいところ。(カスピ海経由~)アゼルバイジャンジョージア~トルコ~ブルガリアルーマニアEU加盟やEUに近い政策を取ることで黒海沿岸地域は経済発展を得ている。ウクライナ終戦後は、最もEU中心域に到達しやすいルートとして、インフラの援助をするべきエリアではないだろうか。

 

<その他鉄道連絡船設備の見られる港湾都市

ルーマニア、コンスタンツァ港

ブルガリア、ブーナス港(おまけ)

・トルコ、ガラデニズエレーリ製鉄所

・トルコ、サムスン

ジョージアバツゥミ港

 

ルーマニア・コンスタンツァ港

可動橋船内ともに5線のタイプで黒海共通。軌間変更作業場所が見当たらず、ヤード群も空荷貨車が連絡線の長さに関係無く留置されており、1435mm軌間の連絡船網を目指して作っておいた将来構想があるのかと思われる。停泊している船舶は、イタリア船籍のRoRo船でシャーシ輸送の積荷が港内に待機している。

日本のODAリストによると1997年事業開始のコンスタンツァ南港整備事業があり、鉄道連絡船設備より沖側で整備された模様。それ以前に完成したであろう1435mm軌間鉄道連絡船設備投資とは、どこを結ぶ想定だったのだろうか?

 

ブルガリア、ブーナス港(おまけ)

造船所近くに係留されている鉄道連絡船

 

トルコ、ガラデニズエレーリ製鉄所

ロシアカフカース港と同じ3線の可動橋設備。廃線となった鉄道網には接続していないようで、原材料保管エリア側に存在する。

トルコの鉄道網からは廃線となりつながっていない。製鉄所内の線路は製品保管関係の位置に存在している。

 

トルコ、サムスン

ほとんど使っていないような5線式の可動橋(下)、上はRoRo船用だと思われるが、港内留置車両が戦車を積むような無蓋車(完成車輸送かも知れない)が大量に留置されており、トルコの黒海沿岸の鉄道接続地域として軍港では無いものの非常時を意識している様に見える。

良く整備されたヤード設備だが容量は少ない、港内全体を見渡すと、完成自動車輸送のための専用線路が工事中である。

 

ジョージアバツゥミ港

可動橋の状況は判別出来ないが、色々工夫して角度を変えてみるとどうやら3線式のタイプか?可動橋は残してあるが、鉄道ヤードを撤去しRoRo船が使っているのかも知れない。

現状の位置だと3回スイッチバックしないとメインの鉄道ヤードから可動橋に到達出来ない。

鉄道連絡船の時代が終わってしまい、RoRo船やコンテナ輸送船がメインになりつつあるのかもしれない。

 

<まとめた感想>

関連する情報が多く、ただグーグルマップを閲覧するだけではなくなってしまい、時間を要することになった。

ウクライナの『輸送ルート』としての重要性がよくわかった。

黒海は、ただの内海では無く、ロシアとそれ以外の関係の変化を如実に表す歴史遺産の宝庫である。

今回のウクライナ紛争でも、『ウクライナ国内のパイプライン』がロシアの天然ガス資源輸出のメインルートのひとつとなっており(現在は運用停止中)、今後『非ロシア資源』を運搬するルートの整備が注目されるだろう。

EU欧米西側諸国の援助によって整備されたインフラは、ロシアのインフラと違い、通過地域のでの産業振興に多分に寄与しており、『カスピ海黒海』を結ぶルートの整備が進んでいることがわかる。ロシアのインフラ(パイプラインなど)は、インフラそのものの整備だけにとどまり、通過国は発展しない。ウクライナ侵攻でわかったことは、ウクライナへの『資源の通過費用』までケチっていたことだ。さらにウクライナをロシア勢力の中に組み込む作戦は、資源通過ルートの土地を収奪する面では既に破綻している。

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