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治療環境改善進む 線維筋痛症 保険薬承認診断基準作り


「服を着ているのも苦痛」と訴える人がいるほど、強い痛みが全身で続く線維筋痛(せんいきんつう)症。国内で200万人以上が苦しんでいるとされるが、原因不明で根治療法もない。

ここ数年、複雑な症状を整理した新たな診断基準ができ、鎮痛薬の保険適用が認められるなど環境が改善されてきた。専門医は「医療現場の関心が高まり診療の向上につながれば」と期待している。

 ■症状を点数化

 体中が痛み、疲労感は強いのに眠れない。口が渇く。だが、検査しても異常は見つからず、医師から「気のせい」と言われる。首都圏在住のA子さん(38)の訴え。

 「全身の痛みに精神的症状と自律神経系の症状が加わる。患者さんの1つの典型です」と、日本線維筋痛症学会理事長の西岡久寿樹・東京医大医学総合研究所所長(リウマチ学)。

 厚生労働省研究班は2011年の疫学調査を基に、全国に約212万人の患者がいると推計。発症は30代後半~40代の女性に多く、日常生活が困難な例も。しかし血液検査や画像診断ではこれといった異常がないため、診断や治療を受けられないまま、病院を転々とする人が相当数いる。

 学会は、米リウマチ学会の基準を基に09年に策定した診断基準を11年、日本人のデータを取り入れて大幅に改定。全身の19カ所の痛みに加え、精神的症状、自律神経の乱れによる症状も点数化、最重症は計31点になるようにした。11点以上が3カ月以上続き、他の疾患が否定できる場合に線維筋痛症と診断する。

 ■増える選択肢

 西岡さんは「治療で症状がどれだけ改善されたか、主治医と患者が数字で共有できる利点は大きい」と強調する。一方で、基準を活用しているのは学会が組織する全国の診療ネットワーク約130施設が中心で「認知度の向上が課題」という。

 診療をめぐる大きな転換点になったのが、帯状疱疹(ほうしん)の痛みの緩和に使われてきた「リリカ」(一般名プレガバリン)が、線維筋痛症に使える初の保険薬として昨年6月に承認されたことだ。保険診療に位置付けられれば、医療現場での関心も高まる。

 ただリリカには眠気やふらつき、太るなどの副作用があり、主治医の指導が不可欠。後続の薬として、痛みを和らげる働きが期待される抗うつ剤の臨床試験も最終段階にあり、治療の選択肢は今後増えそうだ。

 ■大人と違う特徴
 少ないが子供の患者もいる。横田俊平・横浜市立大教授(小児科)によると、女児に多く発症は10歳前後に集中。鎮痛薬の効果は乏しいなど、大人とは異なる対応が必要とされる。精神的ストレスが背景にあることも多く、子供を普段の環境から一時的に引き離し、並行して保護者を指導する方法が効果を上げているという。しかし小児科と児童精神科など複数の専門家が緊密に協力するチーム医療が求められ、対応できる医療機関は少ない。

 患者会「線維筋痛症友の会」理事長の橋本裕子さん(59)も、耐え難い痛みの最初の記憶は10歳だという。痛みで寝たきりだった時期もあり、03年の確定診断までに200以上の薬を試したが、リリカの服用で生活はかなり改善したと話す。

 「早期に治療を始めれば普通に近い生活を送れる人も多い。それを広く知らせたい」と橋本さん。

 学会は診療ネットワークの医療機関をホームページ(HP)に掲載。近くの施設が分からない場合は、HPで問診票をダウンロードし、ファクス03・3351・6166に送ると、リストを返送してくれる。患者会も(電)045・845・0597で平日午前10~午後4時、相談に応じている。

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