「すでに起こっている」認知症社会/ケアの諸問題(21)
P.F.ドラッカーに、上田惇生、林正、佐々木実智男、田代正美訳『すでに起こった未来―変化を読む眼』ダイヤモンド社(1994年11月)がある。
原初のペーパーバック版の案内文は以下のようである。
Periods of great social change reveal a tension between the need for continuity and the need for innovation. To comprehend these changes as history and as guideposts to the future, Peter F. Drucker has, over a lifetime, pursued a discipline that he terms social ecology. The writings brought together in The Ecological Vision define the discipline as a sustained inquiry into the man-made environment and an active effort at maintaining equilibrium between change and conservation.
原著は雑誌に発表された論文集であるが、邦訳のタイトルはドラッカーと相談して決めたということだ。
一見矛盾のようなタイトルであるが、未来事象のあるものは、既に現在起きていることの中に現れているという趣旨である。
社会生態学者を自認するドラッカーの真面目を示すものと言える。
そしてドラッカー流に考えれば、10年後の2025年は「すでに起こっている」と考えられる。
「週刊ダイヤモンド」誌の2月21日号が「認知症社会」を特集している。
いわゆる「団塊の世代」がこの3月で高齢者入りを完了する。
10年後というのは彼らが後期高齢者になるということだ。
高齢者人口が全人口に占める割合(高齢化率)が21%を越えた社会を「超高齢社会」という。
わが国は2007年に超高齢社会になったが、高齢化率が一貫して上昇しているのは周知のことであろう。
「団塊の世代」が後期高齢者になる2025年は、超「超高齢社会」ということになるが、どういう社会像を描くか?
高齢者の起こした列車事故について、高裁は直接介護をしていた高齢の妻にJRへの損害賠償を命じた。
⇒2014年5月19日 (月):総介護社会への準備を急げ/ケアの諸問題(11)
誰もが避けて通れない問題である。
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