年の初めに/日本の針路(361)
喪中なので、年賀状のない正月であるが、今年は明治150年の節目の年である。
50年前の明治100年の時には記念事業の一環として「21世紀の日本」というテーマで懸賞論文が募集された。
見事に第1位に選ばれたのは、野口悠紀雄・今野浩・斎藤精一郎の3氏である。
彼らは、日比谷高校が輝いていた時代の同級生で、そろって東京大学に進学した。
後に3人とも、多くの著書を持つ研究者・評論家になった。
3氏が論文に取り組む様子は、工学部ヒラノ教授こと今野浩氏の『あのころ、僕たちは日本の未来を真剣に考えていた』青土社 (2014年3月)に描かれている。
当時の総理大臣候補でありながら、病に倒れ、志半ばで亡くなった安倍慎太郎氏と近い位置にあったことも記されており、現在、アベノミクスと称する経済政策のイカサマ性を追及する1人が野口悠紀雄氏であることを考えると、50年という時間は長いと改めて思う。
ダイヤモンド社 (2013年7月)
彼らの論文は加筆されて単行本になった。
未だ20代の頃である。
東洋経済新報社 (1968年)
高度成長期の未来学華やかなりし頃である。
さすがに内容的には時代を感じさせるが、若き俊秀たちの記念碑的な作品である。
明治100年の頃は(そして大勢としては現在もであるが)、明治維新を近代日本の出発点として、高らかに賛美していた。
私などが学校で教わった基本的な歴史認識である。
ところが最近になって、このような史観に対して、一種の異議申し立てが行われるようになった。
例えば原田伊織『明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリストち』毎日ワンズ; 改訂増補版 (2015/年1月)である。
折しもNHKの大河ドラマは『西郷どん』である。
原作は林真理子氏である。
KADOKAWA (2017年11月)
未読であるが、どんな西郷像が描かれるのか?
原田氏には以下のような著書もある。
悟空出版 (2016年6月)
西郷の実像はどちらに近いか?
私は大河ドラマはほとんど見ない。最初の幼少期の頃で飽きてしまうからである。
今年はどうだろうか?
NHKは別にしても、明治維新を考え直す良いチャンスであることは間違いない。
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