Author:WATANKO
2008年からインデックスファンドによる資産運用を始めた個人投資家です。またサラリーマンの傍らで家業ともいうべき不動産賃貸業も営んでいます。趣味は自動車にまつわる諸々。ご連絡はwatanko1967@gmail.comまで。
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世界遺産となる自動車のアーキテクチャーを逃すな
(写真のランチャ・ストラトスのレプリカモデル。次のスーパーカー候補としてかなりそそられる1台です)
妻ミサト「毎度、この駄ブログをご高覧いただきましてありがとうございます。本日も夫のWATANKOは自動車好きのためにと思って、せっせせっせと記事を書いてUPしました。ご多忙の折かと存じますが、ご笑覧いただければ幸甚でございます‥‥。」
★★★
自動車好きの間では、以前はメーカーごと、あるいはモデルごとに他と差別化できるアーキテクチャー(様式、構成、構造あるいは“エンジニアの発想”)がありました。
●メルセデス・ベンツの過剰なまでの合理性
●BMWの絹のように滑らかに回るストレート6
●2BOXハッチバックのベンチマークとなるVWゴルフ
●シトロエンの魔法の絨毯のような乗り心地のハイドロニューマチック・サスペンション
●プジョーが発揮する猫足とよばれる乗り心地
●長く乗っても疲れないシートを持つフランス車
●フィアット、ランチアの小粋でお洒落なデザイン
●アルファロメオ、マセラティの官能的なV6、V8エンジン
●フェラーリのデザインを一貫して担うイタリア工房のピニンファリーナ
●アメリカン・セダン或いはスポーティカーの豊かなトルクを誇るV8エンジン
●イギリス車のウオールナットや革張りを多用した気品溢れるインテリア
等など
2000年代くらい迄でしょうか。これらのアーキテクチャーは常套文句として自動車雑誌にて綴られていました。
しかしながら最近はこういったアーキテクチャーの個性はどんどん失われつつあります。その背景、事情としては「市場の拡大」と「環境問題への対応」があげられます。
■市場の拡大と環境問題への対応
「市場の拡大」とはメーカーが自社モデルを販売する市場を拡大させるため、どの仕向け地にも適合できるように、機構的な点から品質と信頼性を保持できる製品に仕上げたことと、より多くのユーザーに受け入れられやすいパッケージと普遍的なデザインに変わっていったことです。
その一方で縮小する市場、将来成長が望めない市場向けのモデルはどんどん減らされることになります。人口の構成や人々のライフスタイルの変化にあわないモデルは次期モデルが開発されることもなく、ひっそりと終売していきます。
「環境問題への対応」とはCO2排出量の削減に向けた様々な政治・経済面の動向によって環境に配慮した機能、性能が最優先され、一方でそうではない技術、製品は廃れていったことです。
環境性能に優れたモデルでないとユーザーに選ばれないばかりか、そもそもメーカーが作り出すことが許されない時代になりました。
環境にやさしくない技術は採用されなくなり、それを用いた機能ひいては製品は消えていきます。
■消えゆくモデルをいつ買うのか
さて、そうした中、売れないから仕方ないよね、環境に悪いから仕方ないよねとばかりに長年個性的であったアーキテクチャーを備えたモデルが消えていきます。
自動車好きとしては、その中にあって以前から憧れていた、所有してみたかった個性的なモデルが消えていく事態をまのあたりにしますと、「いつか手に入れよう」と指をくわえて見ていることが出来る時間はあと数年しか残されていないかもしれません。
たとえばWATANKOが好きなスポーツカーについて具体例をあげます。
今においては日本にて新車で買うことができるミドル級のスーパースポーツカーが実に充実した時代を迎えています。
ポルシェ718ケイマン/ボクスター、BMW Z4/トヨタスープラ、ルノーアルピーヌA110、ジャガータイプF、ロータスエミーラ、日産フェアレディZ‥‥
もう少し下のクラスのスポーツカー/スポーティカーまで広げればトヨタGR86/スバルBRZ、ホンダ・シビックタイプR、ルノーメガーヌRS、VWゴルフGTI/ゴルフR、そしてマツダ・ロードスター‥‥
しかしこれらモデルが10年後も今と同様のアーキテクチャーを更に進化させて在り続けているかというとそのようなことは殆どないでしょう。
718ケイマン/ボクスターは次期モデルで電動化が噂されています。Z4、スープラ、タイプF、はあと数年で終売、エミーラもロータス最後の内燃機関モデルと公言されています。フェアレディZも売れなければ続かないでしょう。その他にあげたモデルも現在のアーキテクチャーのままで次期モデルがあるかどうか大いに怪しいです。
もちろん電動化がすべからく悪いというわけではありません。しかし確実なデメリットが2つあります。それは車両重量と販売価格の増加です。どちらもユーザーにとってはマイナス影響大でしょう。
それならばまだ上述の魅力的な内燃機関を備えたモデルを、今のうちに手に入れるという検討をすべき時かもしれません。
一方で新車のスポーツカーが無くなっていくならば、かわりに中古車があるではないか、という声もあるかもしれません。
確かにいまでは新車で手に入れることが叶わない、個性的なモデルが中古車市場にはふんだんにあります。しかしそれらこそ段々とタマが減っている流れにあって、もはや購入を躊躇している段階ではないでしょう。高年式・低走行距離のタマを求めるのならば尚更です。
さらにもうひとつ新車購入の早期化を検討すべき点を強調しておきますと、自動車の全般的な新車価格の上昇トレンドです。半導体やレアメタルだけでなく工業用製品の原材料全般が値上がりするなか、新車価格は今後いつ、どれくらい上昇していくのか。
価格上昇だけでなく、装備・仕様の一部簡略化、選択肢の制限などもあることでしょう。加えて輸入車の場合、円安の影響も見過ごせません。
新車価格の上昇につられ、中古車価格も人気があがることから、同様に価格上昇(あるいは販売価格の下げ止まり)が予想されます。
以上を総合しますと、新車であれ中古車であれ、国産車であれ輸入車であれ、欲しいモデルがあれば購入を早期に検討すべき時期にきています。
次世代モデルはもっと良くなるから、あわてる必要はないというのは2010年代までに通用した車の買い方の基本線でしたが、今においてはその次世代モデルがなくなる、あるいはアーキテクチャーを全く変更してくるといった展開が予想されます。
たとえば今、マツダはNDロードスターの販売を停止しています。ビックマイナーチェンジが近々予定されているからという噂が飛び交っています。まさかロードスターを重くて鈍くなる方向に変えてくるとは思えませんが、次期ロードスターをみてがっかりすることが無いように祈っています。
こうして、やがて別になくてもよい電動化を備えた、しかも少なくない値上げがなされた次世代モデルしか新車の選択肢がない、中古車から選ぼうとしても希望するタマは限られ、かつ割高な値付けがされているという事態になりますと、車選びは全くもって難しくなるでしょう。
なくなりかけている自動車のアーキテクチャー、それは自動車業界の世界遺産です。失われたらもう憧れに手がとどくことはありません。昔からお求めであり、まだ手に入れていない方は、どうか購入の最終検討ステージにたっていることは忘れない方がよいでしょう。
■WATANKOの場合
顧みればWATANKOもまた各メーカーの個性的なアーキテクチャーに惹かれてモデル選びをした過去が少なくありません。
シトロエンのハイドロニューマチックサスペンション、BMWのストレート6、特にスモール6モデル、それからコンパクトFRモデルの118d、リアエンジン・リアドライブモデルのトゥインゴも同様です。
現在所有する118dとトゥインゴはWATANKO家にとって今後10年から15年乗り続けること、すなわち終のマイカーとする可能性が高いです。
それでは911(Type992)はどうするか。WATANKOは次のスーパーカーを視野に入れる日がそう遠くないと予感しています。その時の方向性は次の3つのうちのどれかになるでしょう。
1.内燃機関モデルの中で気になるモデルを終売すべり込みか高年式中古で購入する
例えばランボルギーニ・ガヤルドや911(Type992)のハイエンドモデルなど
2.電動化を取り入れたモデルを時代の流れとして素直に受け入れ、選択する
例えばフェラーリ296GTBをはじめとしたPEHVモデルなど
3.スーパーカーブームの頃のクラシックモデルを選び出す。ノスタルジー重視
実はこれは一番難しく、かつ楽しいモデル選びです。代表例はフェラーリ308/328ですね。ここにはレプリカモデルもふくまれてきます。
次のスーパーカー選びをブログで紹介できる日が果たしてくるのか。
そんな日が来ることをいまからちょっとだけワクワクしています。
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