本・復讐屋成海慶介の事件簿
台風の直撃は免れたものの、回り込んでくるフェーン現象で蒸し暑い日が戻っています。
特に昨日は曇り/雨で、昼頃に強力な雷鳴が響いた後に本格的な雨となりましたが、断続的な雨ながら上流で強力な雷雨だったのか、佐梨川がゴタ濁りとなりゴミが覆うように激流が流れてきました。
幸い夜までに雨は弱まり、今日は雨後で涼むと思っていたのに、昼頃から再びのフェーン現象となりギラギラの太陽が射しています。
さて今回は
予約本待ちに借りた中休みの本の紹介で、読み始めながら中止し後回しに出来た娯楽小説。
原田ひ香 著「復讐屋成海慶介の事件簿」
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事件ごとに完結する復讐屋の依頼話で、初回に相談に来たのが社内恋愛で騙された秘書のOL。
やる気もなく横柄なイケメンの所長に、成功報酬別途で契約金100万円を払い元恋人への復讐を依頼するが・・・
復習などはしない方が良いと言いつつも裏で調査を進めていて、希望した復讐はしないものの、結果的に相手が自滅していく様を見せたり、手を下す後味の悪さを残さずにいつの間にか依頼者の復讐心を喪失させていくストーリーが軽妙な展開で、赤川次郎さんの小説を思い出したのですが・・・
原田ひ香さんの少説イメージとは少し違う印象を受けましたが、成功者でない普通の人を主人公にし、心の中であれこれ思い悩んだり溜まっていく不満を、人との交流の中で無理なくこじれた糸を解すように解いて行く人生観に触れる気がします。
日常の暮しに潜む善と悪を当たり前に捉え、やり過ごしていく気持ちの持ちようが結果的に禍を遠ざけて、見方を変える事で幸せな日常も取り戻せる、そんな当たり前のことに気づかされます。
ジュニア小説のような軽妙な展開も読みやすく、合間に読むにはちょうど良い本でした。
そう言えば、最近予約待ちをして借りた本が続き、ウッカリ数冊予約しているとまとめて届き、待機者がいる本を先に読むので、繋ぎの本として借りる時には、こうした短編集がちょうど良く、途中で休んでまた読み続けられるので、読書ペースが上がっている気がします。
前回の繋ぎ本はエッセイ対談で
阿川佐和子&大石静「オンナの奥義」
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借りてすぐに以前読んだ気もしたのですが、小説ではない事もあり、本を借りる繋ぎとして休みながら読み終えました。
阿川さんが60代で結婚した後の対談で「なぜ結婚にふみ切ったのか」から始まり、お互いの仕事の経緯や更年期問題、親の看取りなどシニア世代ならではの日常対談。
それぞれが既にご自身の生い立ちや経歴をエッセイで書き尽くしているので、以前に聞いて知っている話が多いのですが、インタビュアーのプロ同士が対談するので、その場にいて聞いているような仲間意識が生まれて来る「あるある話」
特に年齢が近い事もあり、それぞれの思い出話がとても身近に感じられ、あの時見ていた番組の話なのだなと時代を遡れる気がします。
ちょうど友人同士で思い出話をするようで、再読であっても問題のないエッセイであり、若い世代には昭和の物語を垣間見れる対談とも言えそうで、古い話と切り捨てる必要のない対談集だと思えたのです。
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