洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 海外の経験#55 大手デンマーク事業者 米国プロジェクト頓挫 株価続落

2023-09-06 13:48:55 | 日記

 

2023年09月06日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#55 大手デンマーク事業者 米国プロジェクト頓挫 株価続落]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

デンマークの世界最大クラス洋上風力発電開発事業者“オーステッド” (Ørsted)は、米国でのプロジェクトの頓挫が相次ぎ、コペンハーゲンに上場している同社株が続落している。

2023年8月30日、決算報告で、米国で計画している洋上風力発電プロジェクトの価値を20億ドル減額せざるを得なくなる可能性があると発表され、同社株価は25%下落、その後、一時、わずかに上向いたものの続落し、起点からの下げ幅は30%となった。

世界の洋上風力発電プロジェクトは、タービンやその他のコンポーネントの購入コストの急激な増加に悩まされている。

日本経済新聞によると、“オーステッド”の2022年12月期の売上高は前年2021年比で7割増の1,322億デンマーククローネ(約2兆6000億円)、EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)が3割増の320億クローネと好調だったが、2022年10月-12月期の状況は一変した。

前年2021年同期比で1割超の増収でも、EBITDAは2割近く減った。

この中でも、特に主力事業として育ててきた洋上風力事業のEBITDAが20億クローネと6割減った。

売上高EBITDA率は8%と、2020年以降で最低となり、2023年12月期も全体で減益を見込んでいる。

同紙は背景として2つの誤算を指摘している。

それは、まずコスト負担の重さで、大型化が進む洋上風力発電プロジェクトは施工・運営の難易度が増し、ただでさえ適切な人材やコストの維持が課題になっていた。

そこに原材料高、金利上昇による景気減速が直撃したためとしている。

プロジェクトに不可欠な風力タービンを手掛けるスペインの“シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー”(Siemens Gamesa Renewable Energy)と、デンマークの“ベスタス”(Vestas)は2022年、最終的に赤字だった。

両社は販売価格を引き上げており、これを仕入れるオーステッドのような運営事業者には逆風だ。

2023年7月には、スウェーデンの“ヴァッテンフォール”(Vattenfall)は、英国イングランド東部ノーフォーク州沿岸沖合“ボレアス”洋上風力発電プロジェクトの開発を中止すると発表した。

これらの背景にも、同様に、原材料の鉄鋼、風力タービン自体に加え、タービンを取り付ける特殊な船舶費用など、あらゆるものの価格の急激な上昇と、融資条件のコスト上昇の存在が指摘されている。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 洋上風力発電と漁業 海外の... | トップ | 洋上風力発電と漁業 日本の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事

  翻译: