chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • マイセン窯もあり/鍋島と金襴手(戸栗美術館)

    〇戸栗美術館『鍋島と金襴手-繰り返しの美-』展(2024年4月17日~6月30日)久しぶりに陶磁器が見たくなって渋谷に出かけたら、東急本店(2023年1月31日閉店)の建物がきれいに消えていて驚いた。むかしは渋谷区内に住んでいたので、このへんは徒歩圏だったのだが、私の知っている昭和の風景は、少しずつ消えていくんだなと感慨深かった。さて、本展は、鍋島焼と伊万里焼の金襴手に見られる「繰り返し」デザインに注目する。鍋島焼は、佐賀鍋島藩から徳川将軍への献上を目的に創出されたやきもの。洗練されたデザインが数多見られ、唐花文や更紗文などの「繰り返し」文様もそのひとつ。異国から持ち込まれた更紗の文様に影響を受けた、鍋島の『色絵更紗文皿』(数種類あり)はどれも愛らしかった。使われている色は、青、緑、黄、赤だが、青が基調で...マイセン窯もあり/鍋島と金襴手(戸栗美術館)

  • アイスショー"Fantasy on Ice 2024 静岡千秋楽"ライブビューイング

    〇FantasyonIce2024ライブビューイング(静岡:2024年6月23日、13:00~、新宿ピカデリー)アイスショーFaOI(ファンタジー・オン・アイス)、今年はBツアーに羽生結弦くんが出演しなかったので、Aツアーに比べるとSNS上は格段に静かだった。それでも神戸、静岡の6公演(土曜2公演+日曜1公演)は、しっかり客席が埋まっていてよかった。お子さんや年配の方が多くて、いつものFaOIと雰囲気が違うという声や、地元向けの招待枠があったのではないか、という推測も流れていたが、それもいいと思う。私が初めてFaOIを見たのは2010年の新潟で、トップスケーターのクールな演技を、おじいちゃんおばあちゃんが、家族と一緒にニコニコしながら見ていたのを覚えている。なるほど、地方開催のアイスショーって、こういう「...アイスショー"FantasyonIce2024静岡千秋楽"ライブビューイング

  • 同時代を描く/FROM それぞれの日本画(郷さくら美術館)

    〇郷さくら美術館『第4回FROM-それぞれの日本画-』(2024年5月25日~6月23日)以前から気になっていた郷(さと)さくら美術館に初めて行ってみた。本展は、これからの日本画壇を担う作家たちが、2020年に結成した「FROM」というグループの作品展。押元一敏、川﨑麻央、木下めいこ、武田裕子、田島周吾、長澤耕平、野地美樹子、山浦めぐみの8名の作品が2~3点ずつ展示されている。ポスターにもなっていたのは、川﨑麻央さんの『韋駄天』で、これがとてもカッコよかったので会いに行った。展示室に入ってすぐに展示されていて、カッコよかった。作品は三幅対(ぜんぶ韋駄天)で、彼は中尊である。全くタイプは違うのだけど、次にいいなあと思ったのは、押元一敏さんの『創世』。無機質な岩の重なりをリアルに、少ない色数で描く。墨画のよう...同時代を描く/FROMそれぞれの日本画(郷さくら美術館)

  • かわいくないが可愛い/犬派?猫派?(山種美術館)

    〇山種美術館特別展『犬派?猫派?-俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで-』(2024年5月12日~7月7日)犬と猫を題材とした名品を紹介する展覧会。そろそろ会期が後半なので、混雑も落ち着いたかなと思って出かけたら、びっくりするほど混んでいた。何かイベントでもあったのか?と訝ったが、単純にイヌとネコの魅力が、大勢の人を引き寄せているらしかった。本展には、けっこう個人蔵の作品が出陳されている。宗達の『犬図』は後ろを振り返るブチの仔犬。あれ?府中市美術館で見なかったかな?と思って図録を確認したら、同じように振り返るポーズだけど、こっちの『狗子図』は白犬だった。蘆雪の『菊花子犬図』はポスターにも使われており、大人気。長年の蘆雪ファンとしては、彼の仔犬の「可愛さ」が認知されてきて、とても嬉しい。しかし私が好き...かわいくないが可愛い/犬派?猫派?(山種美術館)

  • 2024年6月鎌倉散歩:長谷寺、鏑木清方記念美術館

    ■長谷寺(鎌倉市長谷)先週末、鎌倉のアジサイが見たくなって、混んでるだろうなあと思いながら出かけた。横須賀線と江ノ電は、覚悟をしていたほどには混んでいなくて、目的地の長谷寺に到着した。短い石段を上がって、山の中腹に開けた高台の本堂に詣でる。もちろんご本尊は、長谷寺式十一面観世音。ということは、奈良の長谷寺と同じ真言宗豊山派なのかな?と思ったら、こちらは浄土宗系の単立寺院だった。しかし伝説によれば、養老5年(721)徳道上人は楠の霊木から2体の観音さまを造り、そのうち1体を大和国の長谷寺にまつり、残りの1体を海に流した。その1体は15年漂流し、天平8(736)年、相模国長井の浜(横須賀市長井)に打ち上げられ、現在の場所に運ばれて、鎌倉の長谷寺が創建されたのだという(江の島・鎌倉ナビ)。2022年には、鎌倉...2024年6月鎌倉散歩:長谷寺、鏑木清方記念美術館

  • 板谷波山と小杉放菴/出光佐三、美の交感(出光美術館)

    〇出光美術館出光美術館の軌跡ここから、さきへII『出光佐三、美の交感波山、放菴、ルオー』(2024年6月1日~7月7日)休館を控えた展覧会の第2弾は、同館の創設者・出光佐三(いでみつさぞう、1885-1981)と同時代を生きた作家たちにスポットライトを当てる。陶芸家の板谷波山(1872-1963)と画家の小杉放菴(1881-1964)は佐三と親しく交流した。さらに佐三が作品の蒐集に意を注いだ2人の画家、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)とサム・フランシス(1923-1994)の絵画も展示する。板谷波山は、葆光釉という独特の技法で有名だが、私はあれが好きではないので、あまり積極的に見てこなかった。今回、初めて50件を超える作品を一気に見たら、いろいろ発見があった。地味な植物をうんと大きく描いた『彩磁八...板谷波山と小杉放菴/出光佐三、美の交感(出光美術館)

  • 京都からパワーアップ/歌と物語の絵(泉屋博古館東京)

    〇泉屋博古館東京企画展『歌と物語の絵-雅やかなやまと絵の世界』(2024年6月1日~7月21日)泉屋博古館、今度はやまと絵か、楽しみだなあ~とわくわくしながら見に行った。第1展示室、『石山切(貫之集下)』は記憶になかったもの。私の好きな定信の筆だが、薄紫の料紙に折枝文と、薄茶の料紙に飛鳥文がにぎやかすぎて、文字が読みにくいのが残念。『上畳本三十六歌仙絵切・藤原兼輔』の解説には「紫式部の曽祖父」の注記つき。まあそうだけど。よく肥えていて、首がない。続いて、松花堂昭乗の『三十六歌仙書画帖』(近世らしく親しみやすい風貌)と『扇面歌・農村風俗図屏風』を見て、あれ?と思った。この展覧会、2023年7月に京都の泉屋博古館で開催された同名の展覧会の巡回展(?)だったのである。まるで忘れていた。ただし、いま京都の展示リス...京都からパワーアップ/歌と物語の絵(泉屋博古館東京)

  • 「面白い」を追いかける/老後は上機嫌(池田清彦、南伸坊)

    〇池田清彦、南伸坊『老後は上機嫌』(ちくま新書)筑摩書房2024.6生物学者の池田清彦先生とイラストレーターの南伸坊氏の語り下ろし(おそらく)の対談。私は南伸坊さんの著作は、もう30年以上愛読しているが、池田清彦さんのことは初めて知った。生物学だけでなく、進化論、科学論、環境問題、脳科学などを論じた著作が多数あり、昆虫採集マニアでもあるという。お二人は1947年生まれの同学年で、今年76歳になる。老人どうしの対談だが、若い者や最近の世相にあまり怒っていないのがいい。他人と違っても、自分の好きなもの、「面白い」と思うものを追い続けていると、こうなるのかもしれない。実は、書店で試し読みをしているとき、南伸坊氏が澁澤龍彦について語っている箇所に行きあたって、本書を買うことに決めた。南さんは、高校生の頃、印象派の...「面白い」を追いかける/老後は上機嫌(池田清彦、南伸坊)

  • 解体される民主主義/「モディ化」するインド(湊一樹)

    〇湊一樹『「モディ化」するインド:大国幻想が生み出した権威主義』(中公選書)中央公論新社2024.5インドについては、ほとんど何も知らない自覚があったので、最近、近藤正規さんの『インド:グローバル・サウスの超大国』(中公新書、2023.9)を読んでみたばかりである。同書は、現在のインドの強み・急成長の理由を解き明かしつつ、山積する政治・社会問題の数々も指摘していた。ちょっとインドに(怖いもの見たさの)興味が湧いたところで、本書の存在がネットで話題になっていたので読んでみた。タイトルからも分かるとおり、本書はインドの「問題局面」にテーマを絞っている。「世界最大の民主主義国」と呼ばれてきたインドは、モディ政権のもとで、急速に権威主義化している。スウェーデンの民主主義の多様性(V-Dem)研究所は、2020年3...解体される民主主義/「モディ化」するインド(湊一樹)

  • 落川・浄光寺の十一面観音立像とギャラリートーク(東京長浜観音堂)

    〇東京長浜観音堂『十一面観音立像、薬師如来立像、阿弥陀如来立像(高月町落川・浄光寺)』(2024年5月18日~6月16日)令和6年度第1回展示の十一面観音立像を見てきた。一回り小さな薬師如来立像と、さらに小さな阿弥陀如来立像という、あまりない三尊形式だった。お寺の名前だけでは気がつかなかったが、お顔を見て、あ、これは!と思った。昨年、「観音の里ふるさとまつり」のバスツアーで拝観させていただいた観音様である。解説に「肉身部には肌色を塗り」とあるけれど、胡粉に朱でも混ぜているのだろうか。眉・目・髭を墨で描き入れ、唇は赤く、童子のような愛らしさがある。薬師如来と阿弥陀如来も黒目と髭が描き加えられており、生き生きと親しみやすい表情をしている。十一面の頭上面もなかなかよい。6月8日は、高月観音の里歴史民俗資料館の学...落川・浄光寺の十一面観音立像とギャラリートーク(東京長浜観音堂)

  • ひとつとや~で始まる/古美術かぞえうた(根津美術館)

    〇根津美術館企画展『古美術かぞえうた名前に数字がある作品』(2024年6月1日~7月15日)かぞえうたのように数字をたどりながら、気軽に楽しく鑑賞できる古美術入門編。近年、同館は、さまざまなかたちで古美術の魅力を紹介する展覧会を開催しているが、これはまた新機軸である。はじめは「姿や技法を示す数字」で陶磁器や漆工・金工が中心。『青磁一葉香合』に始まり、名前に含まれる数字が徐々に大きくなっていく。『染付二匹鯉香合』は、青色で鱗を描かれた鯉と白い鯉が上下にくっついているのだが、一瞬、腹のふくれたフグかと思った。『青磁三閑人蓋置』は、三人が外側を向いて背中合わせに手をつないでいるのが不思議。画像検索すると、外向きが一般的だが、例外的に内向きの三閑人もあるようだ。三角香炉→四方鉢→六角水注→八角鉢…と、角(かど)を...ひとつとや~で始まる/古美術かぞえうた(根津美術館)

  • 2024年6月パレスチナ・デー@東京ジャーミー

    代々木上原のモスク「東京ジャーミー」で開催された「パレスチナ・デー」に行ってきた。昨年12月に初めて参加して、珍しいパンやお菓子をGETできたので、またやらないかな~と思ってチェックしてみたら、今日6月8日(土)開催と分かったので、さっそく行ってきた。前回は行ったのが遅い時間で、売りものがあらかた捌けていて残念だったので、今回はお昼前に到着した。1階のバザーで食べものばかり購入。下段の大きなチーズパン(バジル入り)は、家に帰ってから今日のお昼にしたが、食べ応えがあった。上段左の肉まんを売っていたのはマレーシアの女性たちだったかな。ロビーではパレスチナに関する簡単な解説ツアーをやっていて、若者がたくさん耳を傾けていてよかった。前回は1階を見ただけで帰ってしまったのだが、あとで2階のベランダにもお店が出ていた...2024年6月パレスチナ・デー@東京ジャーミー

  • 金融業界の謀略戦/中華ドラマ『城中之城』

    〇『城中之城』全40集(中央広播電視総台、愛奇藝他、2024年)見たいドラマが少し途切れていたので、豪華な配役に惹かれて本作を見始めた。上海の陸家嘴金融貿易区という「金融城」を舞台に、銀行、証券、信託、投資、不動産等に関わる人々を描いたドラマである。陶無忌は、程家元ら同期とともに深茂銀行に入社し、銀行員生活のスタートを切った。彼の憧れは、同行副支配人の趙輝だった。就職活動中の恋人・田暁慧とともに、早くお金を稼いで家を買い、結婚することが目下の目標だった。突然、深茂銀行上海支店支配人の戴其業が、不慮の交通事故で亡くなった。葬儀で顔を合わせたのは、かつて大学で戴其業に金融学を学んだ四人の中年男性。四人のうち、趙輝、蘇見仁、苗彻の三人は、深茂銀行の同僚でもあった。出世頭は副支配人の趙輝だが、愛妻・李瑩を亡くして...金融業界の謀略戦/中華ドラマ『城中之城』

  • アイスショー"Fantasy on Ice 2024 幕張&愛知"

    ○FantasyonIce2023in幕張、初日(2024年5月24日17:00~)/in神戸、千秋楽(2024年6月2日13:00~、ライブヴューイング)アイスショーFaOI(ファンタジー・オン・アイス)、今年は久しぶりに幕張公演のチケットを取ることができた。調べたら、2019年、ゲストがToshl(龍玄とし)さんだったとき以来である。我が家からのアクセスもよいので、15時頃まで在宅で仕事をして、おもむろに幕張へ向かった。出演スケーターは、羽生結弦、ステファン・ランビエル、ハビエル・フェルナンデス、田中刑事、山本草太、アダム・シャオ・イムファ、デニス・バシリエフス、中田璃士、宮原知子、青木祐奈、上薗恋奈、パパシゼ(ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン)、パイポ―(パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ...アイスショー"FantasyonIce2024幕張&愛知"

  • 21世紀に続く戦後処理/日ソ戦争(麻田雅文)

    〇麻田雅文『日ソ戦争:帝国日本最後の戦い』(中公新書)中央公論新社2024.4日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満州・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第二次世界大戦最後の全面戦争である。日本の敗戦を決定づけただけでなく、東アジアの戦後に大きな影響を与えた戦争であるにもかかわらず、実は正式な名称すらない。確かに「日ソ戦争」という名前は初めて聞いたような気がする。はじめに日ソ開戦までの各国の思惑を概観する。アメリカはソ連の参戦を強く望んでいた。スターリンは、ドイツを倒したら対日戦線に加わるとほのめかすことで、米英を対独戦に集中させた。そして、いよいよドイツ軍の主力が壊滅すると、ヤルタ会談においてソ連の参戦が確約される。ローズヴェルトがスターリンの参戦条件(戦後の利権)を飲んだのは、ソ連の参戦...21世紀に続く戦後処理/日ソ戦争(麻田雅文)

  • 訴訟社会の伝統/訟師の中国史(夫馬進)

    〇夫馬進『訟師の中国史:国家の鬼子と健訟』(筑摩選書)筑摩書房2024.4訟師とは、近代以前の中国で人々が訴訟しようとするとき、これを助けた者たちである。大半の読者にとって「訟師」とは初めて聞く言葉であろう、と著者は冒頭に述べている。確かに私も聞いた記憶がない。ただ、2023年制作の中国ドラマ『顕微鏡下的大明之絲絹案』(天地に問う)で程仁清という人物が「状師」を名乗っていたので、中国語のサイトで調べたら「状師。又称訟師」と出て来たことは記憶にあった。なので、実は本書を読みながら、ずっと脳内で訟師には程仁清(を演じた王陽)のイメージを当てていた。訟師の評判はよくない。真実を嘘とすり替え、無実の人に濡れ衣を着せ、必要のない訴訟を起こして大儲けをする社会のダニで、訴訟ゴロツキ(訟棍)とも呼ばれていた。しかし例外...訴訟社会の伝統/訟師の中国史(夫馬進)

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、見もの・読みもの日記さんをフォローしませんか?

ハンドル名
見もの・読みもの日記さん
ブログタイトル
見もの・読みもの日記
フォロー
見もの・読みもの日記

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用
  翻译: