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2023/04/10

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  • キルギス旅行記(ユルト滞在編)

    センス・オブ・ワンダー まるで地球の地肌の上をそのまま歩いているような。そんな感じがする旅だった。全てが壮大で、雲や太陽や微風に揺れる草原によって世界が回っているような。細かいことが本当にどうでも良くなって、解放されていくような。そういう感覚を抱いた。この世界には知らないことがたくさんある。広くて、多様で、自分の考えだけに囚われてしまうことが勿体無いと思うほど、それらは面白い。宇宙の一片に地球が存在するように、世界の一片に私は存在している。この壮大な世界は、この一生を賭けても全てを知ることはできないのだろうな。 そんなわかりきった事実を今更ながら、実感するのだった。透き通った空とエメラルドグリ…

  • 手がかりを求めて

    今週のお題「捨てたい物」この記事は、仕事で視察することとなった モロッコのアトラス山脈地帯の集落で見て聞いて感じたことを綴った文章です。2023年9月、モロッコ中部で数十年ぶりに大地震が起こりました。日本でも報道されましたね。 混乱に陥った人々、毎日のように死傷者の数字だけが増えていくネットの情報。山岳部の石造りの家々が崩れた様子が、大きく写真で載せられた新聞。 私は当時、モロッコの首都にいながら、パソコンや新聞を通じてしかその様子を知ることはありませんでした。一生訪れることがなかったはずの場所に、偶然が重なって行くことになった時、 好奇心と戸惑いが混ざったような、なんだか不思議な気持ちになり…

  • ジャズと暴風雨

    数週間前にタンジェに一泊し、UNESCOとハービーハンコック・インスティチュートが主催するジャズコンサートに行った。ハービー・ハンコックやマーカス・ミュラーやメロディ・ガルドーやリチャード・ボナなどの有名アーティストの音楽を堪能し、手が痛くなるまで拍手をし、喉が痛くなるまで歓声を上げ、その夜偶然出会った人達同士で盃を交わした。あの夜にタンジェで出逢った人々のことについて、数時間言葉を交わしただけなのに、その出来事についてうまく言葉にできないでいるのは何故なのだろうか。私は今日それを語りたいと思う。途切れ途切れの記憶になっていても。若干の脚色が避けられないとしても。 忘れてしまう前に、消えてしま…

  • 異国風皐月病

    書きたいことが浮かんでくる。描きたいことが浮かんでくる。 大抵、そういう時ってペンを持っていないから、何を書きたくて描きたかったのか忘れてしまう。これをやろう、あれをやろう。思った1秒後には違うことを考えている。 なるほど人生は忙しい。忙しい。何をするために忙しいんだっけ。回る、回る、目が回る。 猫の手も借りたいくらいに目が回っている。 けれど私は一体なんの上で回っているのだっけ。巡る、巡る、血も陽も生命も巡る。結局一番重要なことを思い出せないまま、1日が終わる。 あれ、これでよかったんだっけ。明日また考えればいいか。 言い聞かせて眠る。眠る。夢の中で回る。巡る。空を飛ぶ夢を見た気がして、目覚…

  • LA VIE EN BLUE

    アートの力は強い。 けれどその力はとても静かで目立たないのかもしれない。まるで地中のマグマのように深い闇の中で静かにその熱を発し続けている。じっくりその静かな蠢きに耳を澄ませないと、 その本来の力というものには気づくことはできない。 職業上、多くのアーティストと出逢う機会がある。 文化やアートにできるだけ常に触れていたい私にとって、そんな邂逅は願ってもみないこと。 出逢うたびに、言葉を交わすたびに、強烈なインスピレーションを受ける。今月は立て続けに魅力的で個性あふれる2人のアーティストについて、綴ってみたいと思う。*モロッコのタンジェで活動する画家、ファッションデザイナー、テーラーのナジュアさ…

  • 10年前の曖昧な記憶と好きな作家の話。

    今週のお題「名作」 大学生の頃、村上春樹の小説が好きで、大学の図書館に並んでいるものは全て読んだ。 そう思っていた。今、『スプートニクの恋人』を読んでいるが、全く読んだ憶えがない。 ミュウやすみれの人格は、一度読んだら忘れないはずだと思うから、やっぱり読まなかったのではなかろうか。まるで自分が全くの他人の記憶を埋め込まれているように感じる。 私の頭の中にはしっかりと、「私は村上春樹の長編小説は全部片っ端から読んだ。」と記憶されているのに。『1Q84』や『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』はしっかり憶えていた。 登場人物は確固としてその信念を変わらず貫いていたし、不思議な世界観に包まれ…

  • 夜の朝食

    モロッコに来て一年が過ぎた。と言っても、モロッコについて深く観察しているわけでも、歴史や宗教観について勉強しているわけでもないから、見たことや聞いたことをそのまま文章にするくらいしかできない。最近は長い間、ブログを公開せずにいたけれど、この時期になると感じることが多くて、ついつい筆を取りたくなってしまう。 それが、年に一回訪れるイスラームの大イベント、ラマダン月。久しぶりに、感じたことを書いてみる。*ラマダン月はイスラーム独自の暦(こよみ)で計算されるので、毎年日付が変わる。今年は3月12日から始まり、終わりは4月10日か11日になると言われている。 ラマダンの始まりと終わりは、国の「宗教省」…

  • 想像力の広げ心地

    今週のお題「最近読んでるもの」 『オールドテロリスト』村上龍朝晩によく雨が降る。時折冷たい風が吹く。 日は短くなり、退勤時間の空が深みのある蒼に染まる。 名前も知らない木に、薄ピンクの花が、ぽつぽつと咲いている。桜とは違う、異国の花だ。 紅葉はないが、確実に秋めいた空気になっている。***職場の隅の忘れられた一角に、書庫のような場所がある。 そこを見つけた時は、なんだか秘密基地を見つけた小学生のような気持ちになった。学生時代に読んだ小説や、古本屋とかでよく見かけるけど開いたことがないような分厚い本とか、90年台の地球の歩き方「モロッコ」や外交史とか中東情勢とか日本経済の本がずらりと埃をかぶって…

  • 土のついたサツマイモ

    今週のお題「芋」 「モロッコに来て不自由することってありますか?」と知り合いの日本人に尋ねてみたことがある。 10年近くモロッコの旦那さんと、3人のお子さんと暮らすお母さんだ。彼女は2秒ほど考えて、さらりと答えた。 「ラップが剥がれないことぐらいかなあ。」確かにその、薄いプラスチックのフィルムは、その筒からなかなか剥がれない。 少し爪が伸びているときにはなんとかそのくっついた頑固なフィルムの端を摘み出すことができるが、 つまみ出した部分とへばりついた部分で裂けてしまい、脳の隅で小さなイライラが募ってしまうのだ。「すごく、わかるなあ。」と思う。けれど、その答えは、さほど大した悩みもなく、 要する…

  • 「力なき正義」の話。

    特別お題「わたしがブログを書く理由」みんなちょっとの勇気を出してみたり、ちょっとの弱音を吐いてみたりしながら生きてる。 みんな違うから、みんないい。たくさんの情報に混乱する時代、いろんなものが受け止めきれない。私もそう。 でも、心が育ちにくいこの世界で、ちょっとでも自分の本質というか、芯の部分みたいなところを表現できる場所が欲しくて。それを、伝えたいから書く。読んでくれる人がいるから書く。 読んでくれて、ありがとう。無力を知ること私は無力だ。それは、何も知らないまま世界に出て、カメルーンという国の小さな街で「ボランティア」として暮らした時に、何度も、何度も感じた気持ち。 目の前に広がるのは、自…

  • いのちの時間

    「1日は24時間です。」そう習うが、本当に、陽が昇ってから沈むまでの時間は、均等で毎日同じなのだろうか。ブーケンビリアが白い壁伝いに咲き乱れ、潮風が吹くラバトの街。 ヒジャブを纏う女性たち。 日向ぼっこをする猫や、隅に座り込んで物乞いをする老人。 夕刻の鋭い太陽光。 滑らかなアラビア語の音。私が生きている世界は、本当に広いなあ。 どこまでも続く本棚に詰められた、大量の書籍のように、一生ではとても知り尽くすことができない。去年も、一昨年も、違う場所にいた。 好きに世界を歩きたくて、無茶をして、でもそれが心地よかったから。一年前の、コスタリカの海を憶えているかというと、その光景は写真頼りで、むしろ…

  • 天と、地球と、人々。

    モロッコに来て、少しずつ友達が増えてきた。華金にお呼ばれした家は、オリエンタルな柄模様のソファが壁沿いに置いていて、広々としたリビングに油絵の抽象画があちこちに飾ってある。 前菜に焼き菓子とミントティー、そしてタジン鍋2つ分のご馳走をいただき、夜中にドライブまで連れて行ってもらった。先日は職場の先輩たちとマラケシュに行った。学生時代に貧乏旅行で訪れた時とは全く違う視点で、歴史ある赤い街を堪能することができた。 *お仕事関係で知り合ったものの、とても仲良くさせてもらっている生花の先生に、先日初めて「草月流」の生花の基本の一部を教わった。 枝、葉、花で、天、地、人々を3次元で表す。小さな水盤と、手…

  • パレード(マラケシュ旅行記)

    モロッコにある盆地、マラケシュという街は商業都市であり、観光地として有名である。大学時代に歩き回ったあの街で、言葉の壁に葛藤の感情を抱きながら、フレンドリーな態度で近づいてくる商人たちの客引きを体験した。カラフルで混沌としている、パワー溢れる街であったと記憶していた。今回は仕事で駐在をしていることからも、前回の観光客としての心持ちとは少し違っていた。また、現地の友達数名との旅だったので、言葉の壁(アラビア語)にそれほど悩むこともなかった。首都ラバトから電車で約3時間、10年前と変わらぬ赤い町がそこにあった。「タンジーヤ」(Tanjiya)という壺の中で煮詰めた牛肉の煮込みをモロッコお馴染みのパ…

  • 【つぶやき】「普通」が蔓延る世界を引き剥がした話。

    今週のお題「盛り」久方ぶりの社会人は、しんどい。 だから、「盛り」すぎて社会人としてのちょっとしたつぶやきが、スケールが変わってベクトルの向きがバグった感じのブログを公表する。*ものさし、という言葉がある。 人の頭の中にある、色んなものをはかる指標のことだ。それは必ずしも30cm定規でもなければ、円を描くためのコンパスであるとも限らない。 そんな曖昧なもので、人は人を測り続けている。その基準となるのが、これまた曖昧で目には見えない「普通」という指標だ。 これも人の頭の中にあるせいで、個人差がある。つまり0という指標が、0ではない「認識」をしている人もいるということだ。 数学は嫌いなので、これ以…

  • 空腹、夕闇、甘味。

    ラマダン月は、陽が昇っている間人々は一才水を飲まず、食べ物を口に入れない。 ムスリム(イスラム教信者)にとって、一日5回の祈りと日中の断食は、信仰を深める大切な儀式だそう。とあるイベントで初めて、「フトゥール」と称される、陽が沈んだ後の1日で初めての食事を振る舞っていただいた。長い断食を終えた後に初めて胃に入れるのは、水、ゆで卵、デーツ。 甘いお菓子と、塩辛い春巻きや炒めた肉を挟んだパンやらが、円卓に隙間なく並べられてく。人々は空腹の中それを見つめ、19:00ちょうどを無我夢中で待っている。 腕時計を見て、空を仰ぎ、「ああ、あと数分」、と呟く。その時間になると、あちこちのモスクから「アザーン」…

  • 猫と、アートと、太陽光。

    ラバトに来て1ヶ月が過ぎた。肌寒かった気候が日に日に暖かくなり、日中は太陽が熱いと感じるほどに。 日差しの強さが、アフリカ。*ラバトの街を歩いていると、突如現れる壁画たちに惹かれる。 観光スポットとかではない、普通の道で突然目に飛び込んでくる。美しいメディナ(旧市街)の街並み。煉瓦色の壁に囲まれたエリアの中には伝統的な市場が広がり、ポツポツと小さなモスク(イスラム教徒がお祈りする場所)が並んでいる。 ただ歩いているだけで、その喧騒と雰囲気にワクワクしてしまう。 皆素通りするなんでもない路地が、実は素敵な庭園のような風景だったり。そこらじゅうに人馴れした猫たちが日向ぼっこしていたり。そんな平和な…

  • パンと水の話

    いのちのみずモロッコは滅多に雨が降らないらしい。確かに、カラッと晴れる日が多くて、太陽光は日本よりも眩しい印象だ。 2月にラバトに着いた時には朝晩は白い息が出るほど冷える割に、昼間は太陽がギラギラと照り付け、海からの風が冷たく気持ちが良かった。雨が降らないということは、水が少ないということ。 これまであった日系企業の人々や農業に携わる人々曰く、「モロッコには水が十分にない」そうだ。ちなみに、この国では水道水は飲めない。 濾過器を通した水を煮沸するか、ミネラルウォーターを購入するのが一般的である。水がない、と言いながら2リットルの飲み水が4ディルハム(約52円)で売られているのは不思議だと思った…

  • スマヒリヤ、モロッコ。

    お久しぶりです。突然ですが、コスタリカから帰国したのち、再びモロッコに来ました。「え、モロッコってあの、サッカー4位やったところ?」 と思った皆様、その通りでございます。すごいですよね。 今年は女子サッカーに期待ですね!日本から直通便ないし、遠いし、どこにあるかよく知られていないこの国で、働くことになりました。 縁もゆかりもないと感じるかと思いますが、モロッコのタコは大阪のたこ焼きに使われているし、一昔前に主婦間で流行った「タジン鍋」もモロッコ発祥です。実感のないままモロッコに着いた私としては嬉しい駐在先。なぜなら大学時代にモロッコ旅をしたから。バックパックひとつで1ヶ月、貧乏な学生旅行とはい…

  • 駄菓子屋讃歌

    駄菓子屋は子どもの夢だと思う。銅のコインを渡すだけで甘いお菓子をくれる「じーじ」や「ばーば」が好きだった。 校区街より外の駄菓子屋に行ってちょっと背徳感を味わいながらも、近所には売ってないお菓子を買うのが好きだった。脳裏の記憶はモノクロで淡い。 でもなんだか思い出すと懐かしくて笑みが溢れる思い出だったりする。大人になって、駄菓子屋はなぜか入りづらい店になった。 入口が子ども向けなわけでも、お菓子を食べないわけでもないのに、 なぜか駄菓子屋では菓子を買わなくなった。なぜだろうな。五円や十円を握りしめて、ちっちゃなガムとかキャンディーを頬張る。 あれが至福の時だった子ども時代に比べると、私は日常に…

  • ムンバイ旅行記

    インドを訪れるのは初めてだった。 なんとなく、カレーと人混みと牛、というイメージだったのだけど・・・まあ、言ってしまえば全くそのとおりだった。でもそれ以上に、やはり現地で感じるエネルギーや雰囲気というのは、いかなきゃわからない。 そんなわけでムンバイに二週間ほど滞在して歩き回って感じたことを書いてみたいと思う。 全部ごちゃ混ぜムンバイはインドの経済都市で、デリーなどとは違って(行った事ないから間違っているかもしれないけど)ヒンドゥー教徒のみならず、イスラム教徒もたくさん暮らしている。 私が宿泊したのが、イスラム教徒が住む界隈で、モスクや小さな商店が立ち並んでいる、非常にゴミゴミした場所だった。…

  • 耐久レース

    できれば人生の中で、不快な感情は抱きたくないものだ。けれどやはりそれは避けられず、面と向かって乗り越えなければいけなかったり、しばらく落ち込んで動けないのを時間に任せて少しずつ前を向いていったり、コツコツと足に豆を作ってでも険しい山を登っていかなければいけなかったりする。先輩たちがいうには「それが人生」だからなんだそうだ。よくカメルーンで働いていた同じ職場の先生たちが(みんなとーちゃんぐらいの年齢かな)、C'EST LA VIE, MA SOEUR (それが人生だぜ、小娘よ。)と言い放ってきたことを覚えている。悔しい時、辛い時、悲しい時、なぜこうも彼らは大らかなのかと驚き、嫉妬した。世界に愛さ…

  • ないものねだり

    すっかり一ヶ月ものを書かずに過ごした。 抜け殻のような7月だった。卒業式が終わり、ペルーの大冒険が終わり、続々と友達がコスタリカを去っていく。 オンラインでフィリピンの授業を受けて課題に追われながらも、寂しいだの帰りたいだのという気持ちでいっぱいになった。相変わらず早朝にハチドリが透き通る声で鳴いている。 午後になると雨が降ったり、時々晴れてハッとするような綺麗な夕日が見えることもある。 そういう時、ふと思い立って画用紙ともらった絵の具で絵を描いた。ギターがあれば歌いたかったんだけど、持っていない。 手持ち無沙汰で、勉強に疲れた時に指に絵の具をつけて白い画用紙の上に色を乗せた。ちょうどNASA…

  • ペルー旅行記

    それはもう突き抜けるほどの青空。その青空を覆い隠すほど高い、ゴツゴツとした岩山が広がる。 標高4800mあたりを走るバスの中で、延々と続くその壮大すぎる光景と、身体中の筋肉がぴんと伸ばされるような寒さに、ただ言葉を失った。*高校生の時だったか、地理の資料集に載っていたマチュピチュ遺跡の写真を見て、ペルーに憧れたのを覚えている。 その時から、ペルーという南米の国に行くことが夢であり、憧れであり、JICA海外協力隊でも第一希望の国であった。(JICAではカメルーンに赴任することになったのだけど)協力隊でフランス語を勉強してから、もっぱらアフリカ仏語圏でのキャリアを考え始めて、もうスペイン語圏である…

  • 卒業

    混ざり合う鳥の声、風の音、紫色の花、ハチドリ、青空、雲、雨と霧、燃えるような夕日。コスタリカの小さな街にある、山上のキャンパスで、未熟ながらも思考しつづけ、発見し、学び、出逢い、別れた。 涙し、笑い、時に怒り、苦しむこともあった。全ての感情が溢れるままに、私は絵を描き、歌を歌い、文章を書いてきた。自由に「私」を表現できることを許してくれるこの環境が、特別であることを噛み締める。ここにいる人々もまた、選択肢に恵まれながらも自己表現やらさらなる自由に焦がれながら思考して学ぶ人たちだったのかもしれない。全員が知り合いとは言えなくても、今年ここにたまたま集まった人間同士が創った雰囲気の中に、私は確かに…

  • アートがあるし。

    人生の多くの出来事は、ロマンもクソもないありきたりな繰り返しなのかもしれない。そういう、同じような日常に異なった景色を見出すことは、 アートが得意とすることなのかもしれないと思って絵を描いた。それはもう欲の溢れた絵。旅に出たい、世界で美しいものを見出したい、混沌の中で凛と生きていたい。雨期の続く毎日に、青空が刺した時。 突き刺さるような雨が街灯に反射して霧に果てていく時。ずっと水中に潜っているような感覚だった。 私はどこまでいくのだろう。どこまで道に迷い続けていいのだろう。触れられるもの、目の前に存在するものそれだけしか、私は信じる事ができないのかもしれない。誰も導く人などいない中、平和を見出…

  • 距離が狂わせたものと、与えてくれたもの。

    「久々に笑顔を見た。」彼はそう言って、パソコン越しに少し嬉しそうだった。 なんだかやっと、長い長いすれ違いを終えて、心を通わせることができたなあと思う瞬間だった。youtu.be歪んだコミュニケーション年末に突然決まったヨーロッパ旅行からはや数ヶ月が経った。 私はコスタリカ、彼はハンガリーで学生をしている。(ヨーロッパ旅行についてはこちら) pyomn310.hatenablog.com将来のこと、それぞれの夢のこと、それぞれの目下の生活のことをどの様にして「二人の」ベストな形にするかどうかを延々と議論し続け、思考し続け、悩んできた。結論は出ないまま、現状の不満でいっぱいになった空気に、二人と…

  • この日常が当たり前なわけがない。

    もしも英語が使えたら、 きっと大人になった私はキャリアウーマンになって、 世界中の人と友達になって、 地球を飛び回りながら楽しく仕事をしていた。 大学時代までの私はそんな夢を見ていた。 ーーそして今の私も、そんな未来の私を想い描いている。#もしも英語が使えたら by クリムゾンインタラクティブ・ジャパン 劣等感 大学時代私は、英米語学科としてとにかく英会話を勉強しながら教職免許を取るための講義を受けていた。特段夢もなく、ネイティブの話す英語を聞き流して愛想笑いをして、バイト代を海外旅行につぎ込んではバックパックをするという学生生活を送っていた。4年間勉強しても英語力が伸びた感覚はなく、むしろ話…

  • BLUR (グアテマラ旅行記)

    Guatemala City-> Atitlan (Panajachel) Atitlan 3 Maya Villeges Atitlan -> Antigua Hobbitenango& Antigua BLUR Guatemala City-> Atitlan (Panajachel) 当時受講していた授業の最終日、終わった瞬間に家を出て、車に乗って、夕方に空港に着いて、その日の夜にグアテマラシティ(首都)にたどり着いた。 帰りは次の授業が始まる前日の夜に飛行機をとって、日付が変わった真夜中に家へ帰った。ハードでありながら、ゆったりスローでマイペースでのどかで、ごちゃごちゃ考え事をしすぎて…

  • やさしいオレンジ

    流れる時間が、かつて大事にしていた気持ちや日々を過去にしていく。色褪せて乾いて、忘れそうになる。自分は一体なぜここへきたのかを。不確かな明日や一ヶ月後や一年後を見て、「不安だ」と嘆く。そして毎日、今日だけを見つめて、すべきことをこなしていく。様々な議論や主義が混ぜこぜになった混沌の中、平和とは何なのかもよくわからなくなりそうになりながら。*特によく知らない国で、知らない言葉で、たくさんコミュニケーションに悩んだ。コスタリカの人々は優しくて、それがまた私には辛かった。ああ、どうしたって私はいつも微笑みを浮かべている彼らと、他愛のない会話ができないまま、帰国を迎えるんだろう。 エコツーリズム大国で…

  • 国連平和大学の授業の話2(環境と開発学部:第一学期)

    国連平和大学の授業(環境学部)大学院のセメスターはこんな感じなので、今は第二学期真っ最中。 今回は主に第一学期の授業について紹介いたします。9月〜12月: 第一学期←ココ (年末年始休暇) 1月〜 4月: 第二学期 (4月上旬:イースター休暇) 4月〜 6月: 第三学期EDPのコースは毎回2つか3つくらいから選択できたので、とっていないクラスもあります。 私が受講した第一学期の授業を紹介したいと思います。 Environment Conflicts and Sustainability Sustainable Agriculture Forest, Forestry and Poverty, …

  • 国連平和大学の授業の話1(学部と全員必須科目)

    つぶやいてばかりのブログなので、久方ぶりに学校のことを書いてみようと思います。旅行のこと、生活のことを綴っていたせいで、「コスタリカで何してるのこの人?」という印象が強いかと思います。 れっきとした大学院生です。ちゃんと勉強もしてます。ただ、勉強に関してはこれまでただ新しいことを学ぶのに必死すぎて振り返る時間がありませんでした。なので、フィリピンのアテネオ大学に引き続き(気になる人は以下参照) 何を学んだか、残りの半年で何を学ぶか、まとめてみようと思います。pyomn310.hatenablog.comこの記事には、まず国連平和大学の学部と、全員必須受講の科目について書いてます。 授業のことだ…

  • コスタリカで林間合宿した話。

    中学・高校時代に「旅行」や「合宿」というと、無条件に心が踊ったものである。クラスメイトと、普段一緒に過ごさないような場所と時間を共にする。荷造りをして、しおりを読んで、ちょっとしたお菓子やカードゲームを用意して、前日は眠れなくなる。そんな感覚を今も覚えている。大学院生になって、まさか大所帯の林間合宿をするなんて思ってもみなかったけれど、まさに27人のクラスでフィールドトリップが実施された。Natural Resource Management(自然資源マネジメント)に関する授業で、コスタリカ最大級のラ・アミスタッド国際公園と世界の生物多様性の2%以上を占めるオサ半島を訪れる、一週間(6泊7日)…

  • 呼吸して春。

    綺麗が溢れている。授業で訪れた牧場や農家は、火山の麓や山奥にあって、街を見渡せる高台や、息を呑むように静かな水源を見た。 無数の牛が放牧された草原で、真面目に先生の話を聞いているふりをしながら、その美しい風景に心を奪われていた。いつか行った海、夕暮れの時間。 無数の色が、太陽を中心に散らばっていて、淋しげで温かな一瞬だった。いつも、言葉が見つからない。 beautifulもcrazyもprettyも普段から使いすぎているせいで、なんだかその特別を表すことができない。そんな宙ぶらりんな語彙不足に苛まれながら、学生の仕事としては環境問題のことについて議論したり書いたりする作業をこなさなければならな…

  • グアナカステの木の下で

    HOME淹れたての珈琲を手に、バルコニーに出る。 ハチドリの声と、リスが木の上を滑るように走る音。 バイクが坂を登るエンジン音に混ざって、大家さんファミリーの笑い声も響く。 お隣さんが、私にスペイン語で話しかける。聞き慣れない音だけど、少しずつ意味がわかるようになってきている。家を出て街に向かう途中、森のさわさわした音や、知らない鳥たちの声がする。 空を見上げると、飛行機が飛んでいる。青い空に書き殴ったような白い雲。長い旅の後、Ciudad Colonに帰ってくるとホッとする。 小さくてのどかな街に居場所があることを、嬉しいなと思う。DEPARTURE月曜日の朝4時。まだ空は夜に沈んで真っ暗だ…

  • A HOME IS A PERSON

    とある友人は電話で、Where is your home? と尋ねた。 自分の「家」のことかと思って、Osakaだと言った。でも、その人は続けた。 Home is not a house. Some say home is feeling, and I say a home is a person. Homeは家とは違うよ。とある人はHomeを感情だと言う。私はHomeは人だと思うね。 Bullet Trip年の瀬。クリスマスの装飾がなされた街。 コスタリカに来てたった4ヶ月。それでも暮らしに馴染んできているのか、随分生活にもいいリズムができていた。けれど、唐突に決意を迫られた知らない国への旅…

  • ろまんす

    それはもう濃い三ヶ月間だった。 大袈裟でもなんでもなく、文字通り、現実離れしていて、空想的で白昼夢みたいなーーロマンス。パラドックス。 コスタリカの強烈な緑と、息を呑むような夕陽。広々とした空と、ハチドリの声。ゆったりとしたコロンの街の時の流れに反して、 大学の勉強は飛ぶように前進するし、スクールバスは1分たりとも遅刻しない。学校で生物多様性と人間の愚かな環境破壊行為を勉強しながら、悲しいくらい美しい自然に癒される矛盾。 世界中の学生がそれぞれの意見と倫理を抱えてやってきて、信じられないスケールでディスカッションが行われる。あれやこれやと並び立てる自分の言葉が、時に立派に思えたり、どうしようも…

  • 懸命より賢明

    私の周りのスーパーアクティブ・アウトドア派な人々が、驚きのスピードで友達を作り、旅を企画して、全力で遊びながら課題の質も怠らない様子を見て、自身も何かしら影響を受けている気がする。少しずつ、変化している実感がある。知らない人に急に話しかける臆病さがちょっとマシになった。 ごく自然に人の円に混ざれるようになった。 たくさん質問が頭に浮かんで、それを声に出すことが楽しくなってきた。それでも私はこのコミュニティの中では「おとなしい」「アクティブでない」「控えめな」人物らしくて、 まあ、それはそれでいいか。と自分のポジションに腰を落ち着け始めところである。文字通り世界中日本で学生していた時は、留学生が…

  • くじらの呼吸

    マリノ・バジェーナ国立公園 朝の四時は、まだ闇の夜がずどんと沈んで静かだった。虫の声を聞きながら珈琲を飲んで、水着やカメラや日焼け止めをリュックに詰め込みながら、眠気を少しずつ取り除いていく。同じアパートに住むギニア人の友達とバス停まで歩く道で、少しずつ道が明るくなって、朝が来た。「私たち以外はみんな寝てるわね」。空っぽな道路で、彼女のフランス語が響く。坂の上から見渡すコロンの街は、まだ眠りの中だ。バスには30人ほどの国連平和大学の学生。毎日キャンパスで顔を合わせる皆と、こんな早朝から遠出をする特別感で眠気は吹っ飛ぶ。ふざけて笑い合って、朝ごはんを食べながらアメリカ人にスラングを教えてもらう。…

  • 「好き」が「才能」になるのはマジだ。

    早いような遅いような時間の経過感覚の中で、新しいことを学びながら問いを並べ続ける。 自分史上最高の好奇心アンテナをはって、自分にとって学びになって楽しいアクティビティを数ある選択肢から厳選する。ランニングもヨガもサルサダンスもスペイン語も全部習いたいし学校に通いたいけれど、こんな限られた時間の中で、毎日レクチャーと課題をこなしながら片手間にするには多すぎるから、選ばざるを得ない。私は授業を最優先にするとして、他に3つのことを頑張ろうと決めた。 そんな3つのことを書きながら、国連平和大学の学生の多様性と寛大なハートについて語ってみたいと思う。温室菜園もともと監督は大学の教授なのだけれど、現在メイ…

  • 異文化ごちゃまぜ、ただいまアジア。

    パンデミックに伴って、国連平和大学の授業は対面とオンライン両方で行われる。 100人以上が同時に受講する大きな講義は、44人のみが教室で参加できるので、グループごとにローテーションが組まれている。始まって一週間、色々な学生を見ていて思ったことを綴りたい。 授業風景挙手すること日本人にとって、「質問タイム」はどのようなものだろう。私は大学時代、質問をするのが大の苦手だった。 「自分が聞き逃していただけかもしれないし」 「こんな基礎的な質問してみんなうんざりしそうだし」 「言葉がうまく纏まらない」 「これ、質問というよりコメントやん」こんなふうに、言葉を発しようとすると様々な考えが脳裏に渦巻く。 …

  • カリブ海弾丸旅行記

    どこまでも伸びていきそうな木々と、白い砂と透明な海。 カラフルな果物と小麦色に焼けたサファーたち。時が止まっているようで、流れているような。騒がしいようで、静かなような。 熱風と燃えるような日光でうだる体を優しく冷ましてくれるさざ波と砂。ただそこに存在する大自然を前に、たちすくんでいる、ちっぽけな自分。Puerto Viejo私が暮らすCiudad Colonから車で約5時間、峠越えをしてカリブ海側の街へ向かう。 レンタカーに詰め詰めで7人乗車し、数日前に知り合った学生同士でお互いの様子を伺い合う。前日に来ることを決めた2人はバスで移動し現地合流。 携帯のSimカードも買わず現金も持たずに飛び…

  • 雨と、酒と、夜と。

    コスタリカの雨にはたくさんの種類がある。ぽつぽつの雨、霧のような雨、大粒のぼたぼたな雨、細かい雨。 午前はびっくりするくらいクリアな青空が広がって、日光がギラギラと地面を照らして陽炎が揺れる。 それなのに午後になると必ず暗い雲がやってきて、毎日おおよそ同じ時間に、冷たい風と雨を運んでくる。雷が鳴ると、真っ暗になった空が一瞬明るくなって全部がフラッシュで飛んだような景色になる。稲妻は太くてギザギザ。まるで絵画のよう。 きっと日々がのんびりゆっくり過ぎていくから、こんな些細な風景の変化が全て美しいと感じられる。カメルーンでもよく「雨」や「麦酒」をテーマに文章を書いた。理由を考えてみると、雨の日はど…

  • おはよう、コスタリカ。

    窓の向こうにはびっくりするくらいの緑色。 青い空が葉っぱの生い茂る森の向こうに広がっている。知らない鳥の鳴き声が、微睡の中で心地よく響く。 朝の5時半くらいから空が白んできて、遠くから鶏と犬が鳴いているのも聞こえる。今朝、とても小さな体を必死に羽を広げて低空飛行している生き物と目があった。 深い青。歌うような鳴き声。 あ、あれはハチドリだろうか。目があった直後に、すっとどこかに飛んでいった。でも、向こうのほうでまた謳っている。人々の声が、冷たい朝の空気をのなかに混ざり始めて、 太陽が顔を出すのは7時ごろ。知らない言葉の響きでさえもどこか懐かしく感じるのは、カメルーンでのあの生活に少し似ているか…

  • アテネオ・デ・マニラ大学の授業の話。

    ※Asian Peacebuilders Scholarshipについてと Ateneo de Manila University の授業内容について知りたい方は、前半読み飛ばしてもらって大丈夫です。以下目次のコラムから読みたいタイトルをクリックしてね。 The Beginning Is The Hardest There Is No Right Or Wrong Beyond Bias Asian Peacebuilders Scholarship とは? スケジュールや授業内容について アテネオ大学の授業を終えて個人的に感じる変化 「学問は一生終わらない会話なんだよ。」 教授は、時としてす…

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