妖怪とは、陰陽思想で言うところの陰である。 そして、陽の存在に人間を当てはめるとするならば、幻想郷は果たして外の世界よりも明らかにくっきりと影深い地であるのかもしれなかった。 傷病老死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦。 四苦八苦に塗
制作した二次創作、オリジナルの小説を中心とした雑記ブログです。 ちょっと重めの文章や勘違いを書くのが好きです!
朝露に、草木が濡れている。それは涙の程には見えないけれども、どこか悲しげな光景ではあった。 それを気にしながらも、しかし少女は芝を強く強く踏みつける。走るために、駆け抜けるために。 朝早くから芝生を散らかしているのは、――――という、ウマ娘
少女は名もなきモブウマ娘。――――は、何にもなれなかった。もともと、何でもなかったから。 でも、彼女だって懸命だったから、なにも変えられない、なんていうことはなかったのだ。 ――――という、ウマ娘がいる。 大粒の瞳に栗毛のショートカットに整
モブウマ娘――――。才能に恵まれない彼女は、それでも今はなきウマソウルのために、駆け続けます。己を火に焚べてでも。 スペシャルウィーク世代にて彼女は果たして名を挙げられるのでしょうか?
ピリオドを決めつけられた、暗褐色の世界。 ゴミ捨て場とはそういうもので、私はもう殆どこれに等しい。 終わっていて、もう直ぐに消え去る。死とはそんなものであり、こんなものばかりを私を好んでくれたもの達に与え続けてきたことは慚愧に堪えないことだ
さて、以降は蛇足でつまりこれから述べる【私】とは何かという話に意味はない。 そもそもアイアムアイに自信がなければ【私】と世界にはそれほど差異がないといったのは正直なところ。 だが【私】こと 千里件《せんりくだん》はそもそも未来を知りこの世を
「が、あああぁああっ!」 「あれ、うるさいよ?」 静寂は切創により死ぬ。少女の開いた口からおおよそ人の発するものではないような悲鳴が轟く中、罪悪滔天。 切り裂きジャックのお姉さんは、慈悲もなくただ当たり前のように両足を失った華子の口元へ小ぶ
ゴミ捨て場にて亡くなった命の一つに、足立勇二という青年がいた。彼は花子の友達、足立華子の兄である。 普通、一般の男子であった勇二は一年以上前にこの世のあり得ざる者共が忘れさられて消える前のゆりかごにまで迷い込んだ。 要は怪人やお化けというゴ
第十三話 この物語はフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません
高橋七恵は、赤マントに見出された歪みである。おぞましき愛の赤に染められて人でなしになってしまった、最早心が無機物に近い噂の乙女だ。 「くっつかないわ」 そして、その無感動な心は身体も同じく血の通わぬものにさせた。硬く、脆く、それこそ硝子のよ
物語るばかりの道化が踊った黄昏時に、吉田美袋という少女は死んだ。彼女はやがて嘘みたいに残虐な切り裂きジャックと成り果てる。 そして、明津清太という人間はそもそも嘘だった。薄っぺらの設定、人でなしがこの世に貼り付けた物語は暴かれ赤マントという
少女の日暮れにブザーは鳴らない。むしろ、闇こそが価値で、見えないことにこそ意味がある。 そう、足立華子には、よく分からないものこそその奥に何かがあるかと思えて願わしいものだった。だからこそ、異世界とすら言えるくらいの違った魔物の世界、ゴミ捨
血はぽたりぽたりと垂れ落ちる。あまねく全ては重力に頭を垂れるものとはいえ、それは酷く粘って抵抗し、ようやく肉からはがれ落ちるものだった。 終わった一般家庭の一つ屋根の下、男の子を女の子が刺し貫く、そんな非情が夜に溶けていく。 怪人が人を殺め
喜悦に富んだ人生などそうはない。 或いは空をも飛べずに泥を味わい、やがて己の不幸を感じなくなるまでが普遍であるかも知れなかった。 こと明津清太は、空を飛ぶトクベツ達に地べたを這いずる自分の足では追いつけないことに未だ慣れない不幸な青年である
吉田美袋が物心ついてからはじめて切ったものは、折り紙だった。 赤い紙をぶきっちょに真っ二つ。切れ味の悪いハサミを右に左とさせながら切り裂いたそれの出来上がりは見事に歪んでいた。 これは先に保育園で先生が行っていたほど綺麗な切断面ではない。で
夕焼けに独りぼっちの影法師長く、地べたをなめる。 愉快げに蠢くその黒は、そのうちに街灯に紛れて消えるだろう。 だが、黄昏。色の階調の表現だけで手元のパレットを使い切ってしまいそうな、そんな空の多色の揺らめきの中、少女は微笑む。 まるで嘘のよ
学生が学ぶのは正しいことである。そして、少年少女が愛されることは当然至極、望ましい。 ならば、足立華子という少女は優等である。彼女は小学校を学ぶだけの場所として通い続け、今はなき兄の分も過保護にも両親に愛された。 しかし、正解ばかりを続ける
「清太君、次はこっちー。この、あばれるもんがーを取ってみない?」 「もんがー? いや、うん。このぬいぐるみが何かかはよく分からないけれど、美袋が欲しいのっていうのは分かったよ。……よし」 騒々しい機械がクレジットを求めて光り輝く、そんな遊び
「はぁ……今日も、僕は僕だな……」 そんな言葉は吐息とともに、眼前の鏡を曇らせた。鏡面に映ったくせ毛の少年は、ま白い顔を憂いに染めたままに己を見つめている。 過去と今が本当に繋がっているのか、そう不安になるときが 明津《あかつ》 清太《せい
「止めなさい」 美袋と七恵。まるで友達が友達に手を差し伸ばしたかのように見えて、その実女の子が化け物崩れに拐かされている二人の姿。 見ていられない、そういう思いをマスク越しに表して、ハナコは七恵が美袋に手をかけるのを止めた。 「ふふふ、ハナ
世界が一つであると決めたものは、何か。おおよそ、それは焦点がひとつどころにしか合わない人間の在り来りから来たのだろう。 そう、ぼやけた視界の中で少女は思った。 「だから、私とは合わないんだ」 呟きながら喉元のチョーカーを弄る少女、足立 華子
吉田 美袋《みなぎ》にとって、この世は努めなければ綺麗に見えないものである。 そして、彼女にとって頑張るのなどわけないこと。嫌いからは目を背けて、好きには目を瞠る。見て見ぬ振りをすることで、大凡美袋の世界は美しかった。 くすんでいたって、光
「そういう、こと」 涙の代わりに微かな頬を伝って落ちる、それはまるで紅玉の軌跡。 そんな綺麗の滑りが、悪意の洞から溢れ出たものだなんて、とても思えない。それくらい、彼女の血は純だった。 いや、おどろおどろしさ、というものが五臓六腑にまで行き
人を信じる人に、信じない人。そのスキマに怪人が発生する。 懊悩する口裂け女の花子さん、誕生する切り裂きジャックに、踊る赤マント。 彼らが傷つけあいやがてたどり着いた結論は、果たして。
合わないものは、虐められる。往々にして間違っている者は、正しさに痛めつけられるのだった。 「汚え」 学校に行くことで、初めて七恵は自分が汚いことを知る。だが、それからの脱却方法など分からない。親に聞いても、そんな格好で学校に行ったの、馬鹿じ
将来的に赤マントに口裂け女の少女、ハナコという怪談を生かすためのストーリーテラーとして被害者を知り適正があるからと選ばれて。そして、悪意の全てを平気で直視し語れるように赤く染められてしまう七恵。 しかしその前、中学二年の時分は当然の様にそん
それは幾年かの昔。普通と不通は、少し前に並んでいた。 そう。中学生活も半分を過ぎたそんな最中、四つのクラスのお隣さんとして、足立勇二と高橋七恵は交わらずに暮らしていたのだ。 方や愛を知って、隣人と語り。方や愛を知らずに、隣人を騙り。沢山の中
断崖絶壁が邪魔になっていても、ぶち破って進めば良い。そんな発想は常人には持つことが出来るものではなかった。 普通ならば力が足らずに届かず及ばず、涙を呑むのが当然。挑むまでもなく自信崩折れさせるのが本来であるだろう。 そんなこと、何度も手抜き
投げて、拾ってを続けるその合間に入り込んだのだろうか。使い慣れていた道具の中に、段違いの威力のものが紛れ込んでいる。 そんなことがもし起きていたとするなら、そのおかしな道具を精査するのは当然のことだろう。 そして、メイド十六夜咲夜は己の持つ
鬼人正邪は天邪鬼である。 そのように、彼女は鬼と種族名についてはいるがしかし実際は鬼とは程遠い、捻くれているだけの妖怪だ。 生まれついて、何かが幸せであるとムカつくし褒められているとぞっとする。嫌がることは進んでするし、命令無視なんて当たり
入道雲を青く呑み込む空高く。何にも寄らぬ宙にて少女たちは舞い踊る。魅せるためには弾を交わすことでは足りないと、直に矛を交えて戦う姿は多くに仰がれた。 夏の頃合い、高き日の暑い中。涼みの最中に少女たちの弾幕ごっこは丁度いい祭りごと。やんややん
物部布都は、無私の為政者に欲を囁き人にならせようとした、悪女である。太陽を貶してその手に入れようとした、雲のような女性だった。 そう。その子は一途な、大好きな彼女に生きていて欲しいと思った少女でもあったのだ。 神の子孫に連なる、物部の人。故
東風谷早苗は、考える。異変。数多の神霊のようなものに溢れた空を見て、しかし彼女は眼鏡をくいと上げ、焦ることなく少し足止まった。 「これは、神霊……?」 早苗が人里にて布教の一部という名目で行い始めた寺子屋での歴史講義の最中、厩戸皇子のお話を
霍青娥は、千数百年以上前から邪仙、つまり仙人として生きている女性である。修行こそ人を仙人足らしめているものであり、それほど永く研鑽を積み続けた彼女の力は幻想郷の数多の存在と比べても高みに位置するものとなっていた。 既に神仙の域に到達している
実のところ、風見幽香は臆病者なのではないかと、博麗霊夢は思っていた。 変化を求めぬ自然の具現。幻想郷の秩序に重く座す、そんな姿は並大抵の人妖には威厳溢れるように映るのかもしれない。 だがしかし、それと反するかのように嗜虐的に全てと触れ合わん
風見幽香は能力というものに対しての興味がからっきしない。一部に注目するより全体を見る。それが相手を計るのに間違いのない方法だと考えているからだ。 だから、紅魔館の奥に潜む子猫が破壊の吸血鬼と呼ばれていることは知っていても、それがどれだけ理不
「ぐぅ……」 春麗らか。そよぐ風薫り、朗らかに降り注ぐ日差しは身体を程よく温める。そんな、春の美点を集めたような空の下。霧の湖の畔の紅魔館、その門前にて横になって寛いでいる妖怪が一人。 緑色のチャイナ服をベースに洋服へと改造したかのような衣
高く、そして常の青から色変わった空の上。濃い赤色にその身を踊らせ、その身の二色の内白色をよく浮かび上がらせているのは、博麗霊夢。 移動中の聖輦船に乗り込んだことで知らず知らずの内に魔界まで連れて来られてしまった霊夢は、やっとこの事態がただの
「なるほど、つまり幽香、貴女は封印を解けない、ではなく解かない。しかし、道中の安全確保はしてくれる、と」 「私の開封は何時だって力技。加減を損ねて下手をしたら中身ごと潰しかねないというのは拙いでしょう。だから、私に出来る残ったことはそれまで
「ご主人……私は少し拙いことを知ってしまったのかもしれない」 「これは唐突に……何ですか?」 満点の星空の下にて、クビキリギスの鳴き声響くそんな夜更け。無縁塚近くにある小さな掘っ立て小屋。畳張りのその中にて、寛ぐ妖怪が二人あった。 一人、家
「幽香。魔理沙が貴女に虐められたって、騒いでいたわよ。一時は自然のこととして聞き流そうとしたけれど、出来なかったわ。貴女、どうにも随分と趣向を変えて嫌がらせしたみたいね」 「嫌がらせ、とは少し違うのだけれど」 あいにくの花曇り。しかし、日当
リグル・ナイトバグは蟲の妖怪であり、更に言えば、蛍の妖怪である。 幽香と同じ緑髪で、幻想郷の少女には珍しいパンツルックであるという特徴も目を引くところであるが、その存在の大本が虫というところが、実は一等珍しい部分だった。 虫の妖怪、というの
地底――主に幻想郷では旧地獄、忌み嫌われる妖怪に怨霊溢れる地下の広大な空間を言う――の先へと続く、縦穴を通う妖怪が一人。 本来ならば進入禁止。地底の妖怪が怨霊を封じるのと引き換えに地上の妖怪の不可侵が約束されている――もっとも現在はとある騒
風見幽香はそれなりに、人里へと顔を出すことがある。 勿論、妖怪であるということで、大勢に歓迎されることもないが、しかし普段大人しい客である彼女は行きつけの店において、その来訪は喜ばれた。 幽香が人里にて顔を出す店というのは、大方決まっている
【小説】一人で文学フリマ東京37に行った感想と気づいた点について【ぼっちフリマ】
文学フリマの概要とその魅力、そしてこうするとより楽しめるかなという点まで書いた記事となります。 少しでも、ぼっちでも楽しめる素晴らしいフリマに親しんでいただけると幸いです。
春の陽光、雲なき晴天の下。霧の湖と呼ばれるその水場は青空に合わせたかのように、珍しくも清々しく晴れ渡っていた。 いや、或いは邪魔な霧は、彼女の勘気に触れることを恐れて逃げ去っていったのだろうか。来ることを知った者がそう思ってしまいかねない程
ふと、風見幽香は考えた。そういえば、自分は他人に優しくしたことなんて殆どないな、と。 なら、やってみようかと、そんな風に思い立ったのは、霧雨魔法店上空での霧雨魔理沙との弾幕ごっこの最中であった。 「まあ、思ったからとはいえ、流石に、優しく負
東方Projectの風見幽香さんが主人公の二次小説となります! 当人が口にしたように本当に最強の幽香さんが優しくなってしまったらというお話です。 古い作品故にキャラクターの設定、性格などが独自解釈である場合があります。
「ん……」 「よし、よし」 母娘の関わりは別に、静謐でなくてもいい。 柔らかな触れ合いに、元気に怒りを向け合うことだって自然なこと。 だから、今の私達はきっと間違っているのだろうなと、上白沢慧音は思っていた。 夜のさざめきに、言葉にならない
辻垣内智葉は、臨海女子麻雀部の部長である。 そんな智葉は、常日頃それらしく部内の様子を見渡すことを癖としていた。 もとよりその気風の良さと貫禄、そしてとある事情から学校の外ではお嬢とすら呼ばれる彼女。 カチャカチャうるさい部室内に都度鋭く目
蘭が魔法少女というものにハマったのは、第二の生をお母の作った献立と共に再出発をしたその直後のことだったらしい。 普通の人と同じものも食べられず、家族での食卓にてよく吐いてすらいた彼女は、それでもお姉ちゃんお姉ちゃんと付いてきてくれていた妹に
オレは動物の中ではくまさんが一番に好きだが、別にうさぎさんが嫌いという訳でもない。 いや、むしろよく考えたら結構好きな方かもしれなかったな。何せ、干支に選ばれた程のその俊敏さは中々だし、そもそもちっこくて柔い。可愛いと言えばその通りだろう。
授業、というのは中々に面白い時間だとオレは思う。 イミフが先生の説明によってなるほどに変わっていくのはかなり面白いし、そもそもカツカツ黒板に叩き込まれるチョークの音が結構好きだったりもする。 それに、先生方って結構年取っているのもあって個性
「ふぁ。結局、よく分かんなかったな……」 あくびとともに、ひと言。天才のばかさねちゃんらしからぬ言葉を、誰にも聞かれなかったのは幸いだっただろうか。 まあでも仕方ない。ラブコメにシリアスにファンタジーはオレの専門外だからな。そんな感想を鈍い
人生が万華鏡だとしても、思い返せば最近色々ありすぎた気がする。 キラキラがごちゃごちゃパリン。そんなこんなを続けていたら、オレも大変だ。まあ、これからはそんなことにならないだろう、と思いながらオレは語りを終える。 「――――と、そんな感じだ
暑いにはまだ足りていないけれども、日差しが眩しい今日このごろ。 最近雨天が続いていたので、これはお出かけ日和だと三咲も女友達と買い物に出かけている。オレもそれにならいたいところだったが、ちょっと用事があると学内に留まった。 なんか、クラスの
愛することは、簡単なようで難しい。心のままに素直にぶつかるというのは、どうしたって恥ずかしくなってしまうもの。 薄皮一枚すらない真心は、傷つきやすくって仕方ないから。 『光彦! オレ、お前のこと好きだぞー!』 『また唐突だね……そもそも、好
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オリジナルで描いている漫画、【羽根つき吸血鬼のグラビティ】です! 吸血鬼の少女と最高という謎の位置の男の子を中心としたお話になる予定ですねー。
眼前に赤が、飛び散る。 オレは赤がキライだ。それは当然だろう、自分の死の際に嫌というほど目に入れてしまったものなのだから。 赤は停止、終わりの色。オレは思い出す、赤い血の海に沈んだ前世の《《自分の姿》》を。 『ふふふ』 そしてどうしてだか唐
右手左手を交互に突き出し、わんつー、わんつー。 さて。オレは実は意外な程に、人をぶったりけったりしたことなんてなかったりする。 いや、だって相手が痛いとか嫌だし、手なんて出さなくたってどうとでもなること沢山あるしさ。 もっとも、ばかさねちゃ
「あ、カレー食べたいデス!」 「ふぅん。唐突に中々面白いヤツだな! 後で一杯おごってやるか」 「えっと、ちょっと面白すぎない? さっきまでジェーンちゃんが覗き見てたコンクリ練ってDIYしてる人、びっくりしてるよ? それに重ちゃん。カレーは飲
白河邸にはプロテインが存在しない。それは光彦の身体の隆々ぶりを見るに、恐るべきことだった。 オレはてっきり、お高いプロテインを泥棒の魔の手から逃れさせるためにどこかにひそひそ隠しているものだと思っていたが、それは違う。 昔エロ本隠してたベッ
オレは、これでも絵が得意だ。 何しろ、目の前にあるものを描くなら、オレの頭の中の景色をそのまま写せば良い。そういえば、前世だとその能力を買われて、光彦に格闘キャラのパンチラドットを描かされたこともあったな。今思い出してもドン引きだ。 まあ、
オレは基本的にお金をあんまり持っていない。理由のひとつとしてそれは、使わないからだ。 お年玉とかあんまりいらんからそのまま渡す度によくお母には金かからない子だね、と言われるが、いや、使わないのをただ持ち歩いててもなあ。紙幣とか軽すぎてオレの
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妖怪とは、陰陽思想で言うところの陰である。 そして、陽の存在に人間を当てはめるとするならば、幻想郷は果たして外の世界よりも明らかにくっきりと影深い地であるのかもしれなかった。 傷病老死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦。 四苦八苦に塗
人影数多ありながらもすれ違うばかりの、一面。 地べたを通う誰もが互いに意識していないかと思えば避け合うことばかりは皆上手であるから不思議だ。 せかせかした足の動きに、思わずつられそうになる心地を、彼女はスモークガラスの奥からじっと堪える。自
――――がここのところ空元気でずっといることなんて、エルコンドルパサーは当然気付いていた。 存外彼女は役者であるようだけれども、しかしエルコンドルパサーとて仮面を被る者である。 一枚の奥の少々臆病な内心から覗いてみると――――の笑顔は以前と
竹林の迷いは永遠へと繋がる。露わになったのはそんな詩歌のような幻想の体現。 迷いの竹林の中に佇む永遠亭は古式ゆかしい和風建築の趣であるが、一体それが何時何処の流行りのものであったのかは判然としない。 よくよく見れば灼けず錆びずにその材の真新
神代小蒔は、空には太陽以外に要らないと言い切れる人である。 月はあまりに冷たい色をしていて、星星は暖を取るにはあまりに微か。 ならば、ついうとうとしてしまいたくなるくらいのお天道様こそ大事に、想い思って愛していた。 「私は――星に願いません
メモ代わりにチョコザップで何をやったほうがいいか、というものを他ブログを参考に書いたものとのなります。 リンクを辿ってどうか参考ブログ様へと向かってみて下さい!
イクスは光彦の家、白河家の屋根裏に住み着いてる。 いや、以前見た光景を思い出すに、屋根裏にて大量の漫画本の隙間にて過ごしているといった方が正しいのかもしれない。 千の次の単位は、確か万だったよな。きっとそれくらいは漫画の数はあったろうし、何
先生。 それはここ幻想郷の人里において小さな寺子屋などを運営する教師達の呼称としてよく用いられているものだ。 そして、この頃新たに先生と呼ばれるようになったのは、稗田の家お抱えの賢者とされる上白沢慧音。 里の中程に新設された寺子屋にて彼女は
抜けるような蒼穹。自然こそがこの世の美しさのベーシック。だがある日、それはナンバーツーに堕した。 「よくないよねー」 世界に天井があることがつまらないというのは、一般人杉山ゆずだからこそ考えることだろうか。 いや、それとも彼女が天を射抜かん
アリス・マーガトロイドは魔界生まれの少女である。 そのため生まれつき魔法使いである彼女には、本来衣食住に対する意識は希薄であっても良い筈だった。 だが、神綺という魔界の神を手本にした彼女曰く子供達同士の相互扶助により大いに学んだアリスは心に
親知らず後に鼻から口まで空気の流れを感じたならばどうすべきか。 それに対してまずは対応医への相談を自分はお勧めいたします。 その理由、結論に至った流れを羅列しますので、どうか判断の一助にして下さい。
町田百合というのは最低値、いやそれこそマイナスから開始した小さき命である。 実親ならまだしも余所人が愛するには些か地獄的に過ぎていた子。 踏みしだかれるべき最低値、哀れまれるべき地獄の蓋はだがしかし。 『トップアイドルになるですぅ!』 地獄
ウマ娘達がその速さを競うということは、人が薄氷を渡ることと似ているのかもしれないと、彼は思った。 そもそも遅ければ氷の下に堕ちてしまうだろうし、そしてほんのちょっと力を入れすぎただけで氷は脆くも砕け散って足を取られてしまう。 最悪没した先に
前衛的を通り越した狂的。赤の強弱だけでどうして美観を創れたのか見るものが見たら唸ること間違い無しの紅魔館。 今日も今日とて湖の霧に包まれた館の底。地下を居住地として構え、むしろ館をただの日光を遮る蓋と捉えている出不精の魔女は手近に居た悪魔に
百合は、ひゅ、と緊張に喉からよく分からない音が出たことを感じた。 それが唐突に乱入し楽曲を中断させた招かれざる客に向けられた、数多の視線の物理的に迫る程の印象の圧力によるものであるのは、語るまでもない。 沈黙の中知らずぎゅ、っと握ったマイク
幼少の妄想。人を殺めかねない不安。崇め立てるべき神聖。 それらは妖怪、怪人、神等など。彼ら発生が空想信仰に依る者どもは、空から生まれた単一であるからこそ、多くが親愛など知らない。 だからその存在が絶対であろうがなかろうが、殆どを対面のみで済
紅美鈴というよく分からない妖怪は、出自を辿ると神獣へと行き着く。 ドラゴン、龍。大いなる自然の具現で、混沌たる力の根源。少し傾けば善となり、反対に向いてしまえば悪となる。そんな、茫漠とした上澄み。 そこから誕生したのが、紅美鈴という妖怪だっ
夢幻。それは、創造に至らぬ想像。とりとめもない、不確か。 夢は消えるもので、幻だってそれと同じ。だがしかし、強度が違うばかりで、ひょっとしたら現実もそれらと変わらないものではないか。 胡蝶の夢。邯鄲の夢。主体は果たしてゆらゆらと、思考を待っ
蝶よ花よの言葉はあれども、誠に野花の生は辛いもの。 日に灼かれて虫にたかられ、水を蓄えることすら難儀する。そもそも、身を委ねた地に命を預けることすら生半可な生き物であっては出来ないこと。 だが、それでも花は咲く。歪であっても汚れていようが、
「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」 独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。 逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。 彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、
蘭が魔法少女というものにハマったのは、第二の生をお母の作った献立と共に再出発をしたその直後のことだったらしい。 普通の人と同じものも食べられず、家族での食卓にてよく吐いてすらいた彼女は、それでもお姉ちゃんお姉ちゃんと付いてきてくれていた妹に
オレは動物の中ではくまさんが一番に好きだが、別にうさぎさんが嫌いという訳でもない。 いや、むしろよく考えたら結構好きな方かもしれなかったな。何せ、干支に選ばれた程のその俊敏さは中々だし、そもそもちっこくて柔い。可愛いと言えばその通りだろう。
授業、というのは中々に面白い時間だとオレは思う。 イミフが先生の説明によってなるほどに変わっていくのはかなり面白いし、そもそもカツカツ黒板に叩き込まれるチョークの音が結構好きだったりもする。 それに、先生方って結構年取っているのもあって個性
「ふぁ。結局、よく分かんなかったな……」 あくびとともに、ひと言。天才のばかさねちゃんらしからぬ言葉を、誰にも聞かれなかったのは幸いだっただろうか。 まあでも仕方ない。ラブコメにシリアスにファンタジーはオレの専門外だからな。そんな感想を鈍い
人生が万華鏡だとしても、思い返せば最近色々ありすぎた気がする。 キラキラがごちゃごちゃパリン。そんなこんなを続けていたら、オレも大変だ。まあ、これからはそんなことにならないだろう、と思いながらオレは語りを終える。 「――――と、そんな感じだ
暑いにはまだ足りていないけれども、日差しが眩しい今日このごろ。 最近雨天が続いていたので、これはお出かけ日和だと三咲も女友達と買い物に出かけている。オレもそれにならいたいところだったが、ちょっと用事があると学内に留まった。 なんか、クラスの
愛することは、簡単なようで難しい。心のままに素直にぶつかるというのは、どうしたって恥ずかしくなってしまうもの。 薄皮一枚すらない真心は、傷つきやすくって仕方ないから。 『光彦! オレ、お前のこと好きだぞー!』 『また唐突だね……そもそも、好
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オリジナルで描いている漫画、【羽根つき吸血鬼のグラビティ】です! 吸血鬼の少女と最高という謎の位置の男の子を中心としたお話になる予定ですねー。
眼前に赤が、飛び散る。 オレは赤がキライだ。それは当然だろう、自分の死の際に嫌というほど目に入れてしまったものなのだから。 赤は停止、終わりの色。オレは思い出す、赤い血の海に沈んだ前世の《《自分の姿》》を。 『ふふふ』 そしてどうしてだか唐
右手左手を交互に突き出し、わんつー、わんつー。 さて。オレは実は意外な程に、人をぶったりけったりしたことなんてなかったりする。 いや、だって相手が痛いとか嫌だし、手なんて出さなくたってどうとでもなること沢山あるしさ。 もっとも、ばかさねちゃ
「あ、カレー食べたいデス!」 「ふぅん。唐突に中々面白いヤツだな! 後で一杯おごってやるか」 「えっと、ちょっと面白すぎない? さっきまでジェーンちゃんが覗き見てたコンクリ練ってDIYしてる人、びっくりしてるよ? それに重ちゃん。カレーは飲
白河邸にはプロテインが存在しない。それは光彦の身体の隆々ぶりを見るに、恐るべきことだった。 オレはてっきり、お高いプロテインを泥棒の魔の手から逃れさせるためにどこかにひそひそ隠しているものだと思っていたが、それは違う。 昔エロ本隠してたベッ
オレは、これでも絵が得意だ。 何しろ、目の前にあるものを描くなら、オレの頭の中の景色をそのまま写せば良い。そういえば、前世だとその能力を買われて、光彦に格闘キャラのパンチラドットを描かされたこともあったな。今思い出してもドン引きだ。 まあ、
オレは基本的にお金をあんまり持っていない。理由のひとつとしてそれは、使わないからだ。 お年玉とかあんまりいらんからそのまま渡す度によくお母には金かからない子だね、と言われるが、いや、使わないのをただ持ち歩いててもなあ。紙幣とか軽すぎてオレの
「むぅ」 お日様キラキラ輝く青空の下公園の広いグラウンドにて、オレは大っきな背中を追っかけ駆けていた。 一等賞なんて飽きるほど獲ってきたオレだけど、人に先に行かれることなんて滅多に経験がない。 Tシャツ一枚の下にもりもりとした筋肉の隆起が見
「三番テーブル、天丼2!」 「はい!」 「カサネ、次はカウンター席にBセット持ってきなさい!」 「ほいなっ」 右手に丼ぶり二つ、そして左手におかず日替わり焼肉定食をお盆に持ってオレは指示通りに店内をすたすた。満席の合間を縫って、飯を運ぶ。
「じゃあな、ばかさねー」 「ばかさね君、気をつけて帰るんだよ」 「ばかさねさん。今日は体育の時間、どうもありがとうございました。それではまた明日」 「おお。皆、またなー」 部活に向かう準備をしている奴や、よく片隅でくっちゃべってる(どうやら
オレは双葉 重《かさね》。仲のいい友達には『ばかさね』と呼ばれてる。 下の名前だけじゃ足りないってんで、長く呼ばれちゃってんだ。この愛されっぷり、オレがどれだけの美少女かなんて、語るまでもなく分かちゃうもんだよな。 さて、そんなクールビュー
ばかさねちゃんは元気です!